表紙イメージ 経済Trend ロゴ2008年10月号

豊かな住生活の実現に向けて/
新型インフルエンザにいかに備えるか
今月の表紙: 宮崎亮太 作 「かぼちゃ」 (アートビリティ登録作品)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い絵画を厳選してご紹介しています。

巻頭言

今求められている「日本の技術」の役割
佃 和夫 (日本経団連副会長/三菱重工業会長)

特集
豊かな住生活の実現に向けて

今年末から来年の三月末にかけて、住宅ローン減税を初めとする住宅関連の数多くの税制措置が軒並み期限切れを迎える。ライフスタイルに応じた住まい方の多様化という住宅を取り巻く環境変化を踏まえ、いま求められる住宅政策ならびに新たな住宅税制のあり方を探る。
座談会
金子一義 (自由民主党住宅対策促進議員連盟会長)
住宅政策は政府の骨太方針において、内需の重要な柱のひとつに位置づけられている。耐震、省エネ、バリアフリー等の性能を備え、定期的な管理を受けた長寿命住宅は社会的価値を有する。従来の単なる住宅ローン減税、持ち家政策だけではない、ライフスタイルの多様化に幅広く対応できるような住宅支援制度を実現していきたい。
渡 文明 (日本経団連副会長・住宅政策委員長/新日本石油会長)
住宅は個人の重要な資産であるとともに、社会インフラでもある。住宅ローン減税の継続・拡充は当然であるが、住宅投資減税を導入し、質の高い住宅の建設も促進するべきである。良質で住みやすい住宅は、一代で終わるのではなく次の世代にもつながり、生活基盤の充実化に資する。
園田眞理子 (明治大学理工学部建築学科准教授)
真に豊かな国になるためには、住宅という生活の基盤を安定させなければならない。住宅政策の軸足を若年世代のみならず熟年世代にも置き、団塊世代が本当に安心して老後を暮らせるようにすることが重要である。それには、住宅をストックとして、社会インフラとして、周辺の居住環境も含めた新しい目で評価し、流通させる必要がある。
立花貞司 (司会:日本経団連住宅政策委員会企画部会長/トヨタ自動車専務取締役)
住宅へのニーズは、人々のライフステージ、生き方あるいは考え方を反映して時代とともに変わる。住宅政策もニーズの変化や多様化に対応していくことが必要である。住宅の価値は単体の価値だけではなく住環境にも左右される。地域の街づくり、景観の維持といった観点からも重要になってくる。

●ライフスタイルの変化と住まい方の多様化

●これからの住宅の理想的な姿

●住宅を取り巻く課題

●今、求められる住宅政策

提言
豊かさを実感できる住生活の実現に向けて
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/062/index.html
日本経団連産業第一本部

特集
新型インフルエンザにいかに備えるか

鳥インフルエンザウイルスが変異し、ヒトからヒトへと感染伝播する新型インフルエンザが発生すれば、相当数が罹患し社会生活に大きな影響を及ぼすと指摘されている。
社員・家族の健康と安全を確保し、かつ事業継続を図るために企業はどう対処すべきか、また政府の対策はいかにあるべきか。各界の取り組みと今後の課題を議論した。
座談会
川崎二郎 (与党鳥由来新型インフルエンザ対策に関するプロジェクトチーム座長)
政府は、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄量を世界トップレベルにまで引き上げたほか、医療従事者に対するワクチンの接種を始めるなど、他国に先んじた日本独自の対策を始めた。今後は、経済界との連携を一層深め、状況変化に応じた対策の見直しを図りつつ、被害を最小限に留める体制を整えていく。
岡部正彦 (日本経団連国民生活委員長/日本通運会長)
当社では新型インフルエンザ対策委員会を立ち上げ、パンデミックフェーズごとの行動基準の策定を急ぎつつ、社員への啓蒙、保護具や水・食料の備蓄、予防対策の励行等の対応を進めている。海外駐在員の退避、残留の判断は極めて重要で、政府には新型インフルエンザの動向把握と正確な情報の早期提供を求める。
藤本 孝 (東京電力副社長)
パンデミック時においても、電気エネルギーの供給を確保することが当社にとって最大の使命である。そのためには、ワクチンの優先接種の対象範囲が、社会機能維持に関わる全ての者に拡げられることを期待する。また、長時間労働や少人数による業務遂行が予想される緊急時には、法令の弾力的運用についての配慮をお願いしたい。
岡部信彦 (国立感染症研究所感染症情報センター長)
新型インフルエンザは、医療分野に留まらず、国全体での対策を整えなければならない。感染が広がれば細かい個々の対応は、市町村などの自治体が負わざるを得なくなる。地域の特殊性も踏まえながら、対策の検討を急ぐべきである。感染被害を少なくするには、個々人の日常からの自己管理、健康管理が基本となる。
久保田政一 (司会:日本経団連常務理事)

●新型インフルエンザの特徴と対策の現状

●国内の感染拡大防止に向けた課題

●海外にいる在留邦人・出張者などの健康と安全確保に向けた課題

●パンデミック時における社会機能の維持に向けた課題

新型インフルエンザの脅威と対策
田代眞人 (国立感染症研究所ウイルス第三部長)
提言
国民の健康と安全確保に向けて新型インフルエンザ対策の一層の推進を
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/043.html
高尾剛正 (日本経団連国民生活委員会企画部会長/住友化学取締役常務執行役員)
【 政府の取り組み 】
新型インフルエンザに対する政府の対策
上田博三 (厚生労働省健康局長)
  • 総合的な対策
  • 新型インフルエンザワクチン
  • 抗インフルエンザウイルス薬
  • 社会的な対策
新型インフルエンザ対策
〜在外邦人の安全のために
深田博史 (外務省領事局長)
  • 情報収集に注力し、的確な情報提供に努める
  • “安全”の選択肢を第一に〜「早めの退避」が原則
  • 確実・迅速な対応に向けて
  • 「自分の身は自分で守る」の意識で備えることを基本に
【 自治体の取り組み 】
東京都の新型インフルエンザ対策について
齋藤 實 (東京都総合防災部情報統括担当課長)
  • これまでの経緯
  • 発生段階に応じた対策の実施
  • 首都機能を維持するために
  • 都民・事業者と連携して取り組む
【 企業の取り組み 】
日本航空の新型インフルエンザへの対応
繩野克彦 (日本航空副社長)
  • 航空運送事業者としての問題意識
  • 鳥インフルエンザ流行時から対策を講じている
  • 具体的な対策の推進
  • 行動基準を社会全体で共有すべき
  • 正しい知識をもとに先を読んだ冷静な判断を
新型インフルエンザ 〜パンデミック対策と課題
小島俊郎 (日立製作所リスク対策部長)
  • 社内ネットでe-ラーニングを実施
  • 先手管理で無理なく退避出国
  • 有事に直面したら動かない
  • 官民の協力で社会機能を維持
理念に基づくイオンの新型インフルエンザ対策
長尾博昭 (イオングループ人事総務リスク担当)
  • イオンの新型インフルエンザ対策構築の背景
  • イオンのインフルエンザ規定
  • 今後の課題
【 事業活動に関わる取り組み 】
新型インフルエンザに対応した事業継続計画(BCP)、対策計画をどう策定するか
丸谷浩明 (事業継続推進機構理事長建設経済研究所研究理事)
  • 全ての企業で行うべきこと
  • 事業継続のために必要な重要業務の選別と戦略
  • 事業継続のための対策
在外企業の新型インフルエンザ対策と今後の課題
矢野冬生 (日本在外企業協会常務理事兼海外安全センター長)
  • アンケートに見る企業の準備状況〜早急な対応が期待される
  • 在外企業の対策について〜事前の対策が被害を最小限に抑える
  • 決めておくべきことは事前にきっちりと
【 米国における対応 】
新型インフルエンザ対策に関する、米国政府の国際的なパートナーおよび国内関係機関との連携
ロバート・F・セキュータ (在日米国大使館経済担当公使)
  • 国内外での対応の推進
  • 政府機関・民間部門などの協力
  • 国際的連携と社会全体の参加が成功への鍵
新型インフルエンザの大流行に備えて
〜3Mの対策
キャロル・C・レイ (3M医務部門担当ディレクター)
  • 3Mのパンデミック対策計画〜チェックリストを策定
  • 拠点ごとの社員教育にも取り組む
  • 3Mが社会に対してできること

社会貢献シンポジウム報告
CSR時代の社会貢献活動
古賀信行 (日本経団連社会貢献推進委員会共同委員長/野村證券会長)
佐藤正敏 (日本経団連社会貢献推進委員会共同委員長/損害保険ジャパン社長)
調査
2008年春季労使交渉・協議に関するトップ・マネジメントのアンケート調査結果
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/066.pdf
日本経団連労政第一本部

● IT先進企業の経営革新〜活躍するCIOに聞く
ITの概念を変えたインターネットという怪物
石黒不二代 (ネットイヤーグループ社長兼CEO)
● エッセイ「時の調べ」
生の声で思いを伝える
林家正蔵 (落語家)
● NEW FACE
エフピコ

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