表紙イメージ 経済Trend ロゴ2009年4月号

経済危機からの脱出と新たな発展への道筋
今月の表紙: 岩名麻江 作 「どばっと満開」 (ふれあいアートステーション・ぎふ提供)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い絵画を厳選してご紹介しています。

巻頭言

半導体が起こすイノベーションの乗数効果
西田厚聰 (日本経団連評議員会副議長/東芝社長)

日本版ニューディールの推進を求める
御手洗冨士夫 (日本経団連会長)

特集
経済危機からの脱出と新たな発展への道筋

世界的な景気低迷が深刻さを増し、日本経済は急速に悪化している。消費の低迷や企業業績の落ち込みに歯止めがかからない。難局打開への方策は何か。未曾有の経済危機に対し、取るべき政策や政府が果たすべき役割、また、中長期の成長力強化に向けて講ずべき課題や企業に求められる姿勢などを議論した。
座談会
佐々木幹夫 (日本経団連副会長・貿易投資委員長/三菱商事会長)
政治がリーダーシップを取り、財政出動も含め政策を総動員してこの危機に対処しなければならない。また、各国の保護主義的な傾向が懸念される。日本は自由貿易の立場を守り、保護主義は世界全体の利益にならないことを強く主張し、WTO/FTAの取り組みが後退しないよう働きかけることが必要だ。
古川一夫 (日本経団連副会長/日立製作所副会長)
直面する難局を乗り切るには、景気を下支えする具体策の実行が急務である。一方、将来を見据えた、日本の成長力を強化する国家的プロジェクトの推進は欠かせない。日本の製造業は今後、低炭素社会に向けた環境指向の省エネ製品類の研究・開発に注力し、国際競争力を取り戻すことが肝要である。
畔柳信雄 (日本経団連評議員会副議長・経済政策委員会共同委員長/三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)
日本経済が海外経済に対してレバレッジの高い構造になり過ぎていたことが、今回の経済危機の大きな要因である。今後は、内需拡大の促進に官民挙げて取り組まなければならない。金融は経済の血流である。世界の金融機関は、収益至上主義ではなく、安定した信頼と利便性に軸足をおいた経営が求められる。
藤田昌久 (経済産業研究所所長/甲南大学教授)
世界経済の本格的な復活は数年かかるだろう。社会システムの構造的変革を推進し、国内需要を喚起していくことが日本経済を立て直す処方箋となる。その鍵は地域の活性化にある。国民全体でイノベーションに取り組み、生産性の高い社会システムをつくりだすことが重要な課題である。
久保田政一 (司会:日本経団連常務理事)

●日本経済に対する現状認識と問題点

●日本経済の今後の見通し

●今後取るべき政策と、政府が果たすべき役割

●今後の企業の役割と経営戦略

わが国のイノベーション創出に向けた今後の課題
奥村直樹 (総合科学技術会議議員)
【 戦略的に取り組むべき有望分野 】
自動車におけるエネルギー転換の可能性
〜トヨタ自動車が取り組む環境・省エネ等に向けた技術開発の推進
上田建仁 (トヨタ自動車常務役員)
  • 自動車を取り巻く環境
  • 石油消費量の削減
  • エネルギー転換
  • 究極のエコカーを目指して
化学産業の低炭素社会実現に向けた取り組み
河内 哲 (住友化学最高顧問)
  • 化学産業の特徴とそれを活かした取り組み
  • 化学産業の社会への貢献
  • 先端技術開発における当社の取り組み
  • 低炭素社会に向けた化学産業の使命
医療用ロボットの今後の展望
〜先端治療用医療機器産業振興への期待
佐久間一郎 (東京大学大学院工学系研究科教授)
  • 医療機器、特に治療機器産業の将来性
  • 治療へのロボット技術の応用
  • 経済界の医療機器産業振興への取り組みを期待
米国の景気刺激政策にみる成長戦略
岡野 進 (大和総研資本市場調査本部長)
  • 米国経済は当面は危機克服モード
  • オバマ政権の成長戦略 = グリーン・ニューディール
  • 輸出産業の構築が必要
【 競争力強化と成長戦略に向けた環境整備 】
円滑な物流ネットワークの構築に向けた基盤整備の推進
長谷川雅行 (日通総合研究所常務取締役)
  • 今こそ重要インフラの整備を
  • 戦略的かつ効率的な運用をめざして
電子行政サービスによるイノベーション
〜新たな社会発展の基礎
須藤 修 (東京大学大学院情報学環教授)
  • クラウド・コンピューティングとイノベーション
  • データ疎結合と共通コード
  • データ連携と新たなサービス創出
残しながら、蘇らせながら、創っていく
飯沼喜章 (三井不動産常務執行役員)
  • 地域コミュニティの核となる商業施設を
  • 地域再生、地域経済の活性化にも努力
  • 「経年優化」を目指す
日本経済再生のための政府の役割
深尾光洋 (日本経済研究センター理事長)
  • 短期的な景気対策
  • デフレが続く場合のマイナス金利政策
  • 知的移民の受け入れ
【 地域経済の活性化 】
アジア諸国の架け橋となる沖縄の未来を描く
〜沖縄単独州構想
仲地 博 (沖縄大学教授/沖縄道州制懇話会座長)
  • 自らの将来像をいかに描くか
  • 沖縄単独州で活力ある地域づくりを
  • 「架け橋」「多様性」「ネットワーク」・・・・・・
ビジネスチャンスとしての農業の展望
〜農業は「経営」の時代に、そして「産業へ」
長谷川久夫 (日本農業法人協会会長)
  • 全国唯一の農業法人ネットワークとして
  • “供出”からの脱却
  • 農業者のステージを作る
  • 品質を競い合え
  • 再生産できる価格で売れ
  • 顧客を選べ
  • 農業のビジネスチャンス
【 貿易・投資の自由化を通じた経済の活性化 】
貿易・投資の自由化を堅持し経済の活性化を
佐藤芳明 (日本経団連経済連携推進委員会企画部会長/東芝常任顧問)
  • 拡大する金融・経済危機の影響
  • 懸念される保護主義の拡大
  • 保護主義抑止に向けて働きかけを継続
  • 貿易・投資活性化に向けた積極的な取り組みを
アジアのEPA時代における企業スタンス
〜ビジネス環境作りに積極的に参画すべき
青木高夫 (日本経団連日本ベトナム経済委員会日越経済連携タスクフォース座長/本田技研工業渉外部長)
  • 1980年代の熱気
  • FTA/EPAの時代へ
  • ルール作りへの参画

広報委員長対談『チャレンジ!果敢にトライ!』
右脳で勝負!
井山裕太 (囲碁プロ棋士 八段)
清水正孝 (日本経団連副会長・広報委員長/東京電力社長)
提言
国民全体で支えあう持続可能な社会保障制度を目指して
〜安心・安全な未来と負担の設計
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/011/index.html
森田富治郎 (日本経団連副会長・社会保障委員長/第一生命保険会長)
  • 総論 ― 社会保障制度をめぐる環境変化と課題
  • 各論 ― 医療・介護、年金、少子化の改革の方向性
  • 段階的な改革の推進 ― 財源確保に向けたスケジュール
少子化対策を国の最重要課題として位置づけ、財政の重点的投入を求める
「少子化対策についての提言」を公表
池田守男 (日本経団連少子化対策委員会共同委員長/資生堂相談役)
  • 少子化対策の方向性を明確化し重点分野に取り組むべき
  • 子どもたちの居場所づくりが最優先の課題
  • 国の最重要課題にふさわしい財政投入が必要
  • 企業の役割はワーク・ライフ・バランスの推進
  • 子を慈しみ育てる文化を取り戻す
戦略的な宇宙開発利用の推進に向けて
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/013.html
谷口一郎 (日本経団連宇宙開発利用推進委員長/三菱電機相談役)
  • 戦略的宇宙開発利用の重要性
  • 宇宙開発利用を巡る状況
  • わが国の宇宙開発利用推進に向けた課題
  • 宇宙基本計画への要望
  • 宇宙開発利用に関する体制・法制の整備
デジタル化・ネットワーク化時代に対応する複線型著作権法制を提言
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/007.pdf
和田洋一 (日本経団連知的財産委員会著作権部会長/スクウェア・エニックス・ホールディングス社長)
  • デジタル化・ネットワーク化の進展
  • 複線型著作権法制の制度設計
  • 実効的な権利保護の実現に向けた取り組み
  • 産業と文化の発展を促進する複線型著作権法制の構築
報告書
技術系留学生の質・量両面の向上が不可欠
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/014.pdf
西山 徹 (日本経団連産業技術委員会産学官連携推進部会長/味の素技術特別顧問)
  • 日本における留学生の現状
  • 課題解決への取り組み方針
  • 今後の取り組みについて

● 経営者のひととき
継続は力
福井茂雄 (昭和産業会長)
● あの時、あの言葉
「会社は潰れても鉄路は残る」
組合役員の発した言葉に発奮
大塚 弘 (京成電鉄相談役)
● エッセイ「時の調べ」
美意識を資源に
原 研哉 (グラフィックデザイナー)
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
生涯続くUWCの縁
藤井佐知子 (欧州復興開発銀行シニアリスクマネージャー)

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