表紙イメージ 経済Trend ロゴ2009年9月号

生物多様性を育む社会に向けて〜企業への期待
今月の表紙: 城戸久務 作 「秋日」 (ギャラリー史 提供)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い絵画を厳選してご紹介しています。

巻頭言

国際協力を通じた成長戦略
槍田松瑩 (日本経団連副会長/三井物産会長)

特集
生物多様性を育む社会に向けて〜企業への期待

2010年10月、名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(CBD/COP10)が開催され、世界各国から約一万人の代表が集う。日本経団連では、このCOP10を見据え、今年3月「日本経団連生物多様性宣言」を発表した。生物多様性という地球環境にかかわる新たな課題にどう取り組むべきか、さまざまな視点から議論する。
座談会
大久保尚武 (日本経団連評議員会副議長・自然保護協議会会長/積水化学工業会長)
日本経団連は、1992年以来、「自然保護基金」を通じて国内外のNGOを支援するなど、17年にわたる実績を積み重ねてきた。地球温暖化問題から生物多様性へのパラダイムシフトにも「生物多様性宣言」を公表し、いち早く対応した。会員企業へのさらなる啓発が今後の課題である。
養老孟司 (東京大学名誉教授)
生物多様性は、概念として頭で理解しただけでは、単なるスローガンで終わってしまうだろう。「ああすればこうなる」式の単純な思考では生物界の複雑な関係性は捉えられない。感性でこれを捉えるには、自然と触れ合う機会を増やすことで、失われつつある人間の五感を取り戻す必要がある。
徳川恆孝 (WWFジャパン会長)
持続可能な循環型社会を構築するうえで必要とされる、Reduce(廃棄物の抑制)・Reuse(再使用)・Recycle(再資源化)の3Rは、江戸時代における庶民の間で実践されていた。そうした文化的資源を生かして、COP10では、日本独自のスタンスで環境問題のリーダーシップを取ることが期待される。
椋田哲史 (司会:日本経団連常務理事)

●生物多様性を志向する企業の課題と実践

●生物多様性問題の理解・浸透を図るために

●日本の独自性を活かした環境への取り組み

●COP10に向けた世界と日本の課題

●生物多様性問題へ経済界に期待すること

日本経団連の取り組み
「日本経団連生物多様性宣言行動指針とその手引き」について
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/026/koudoushishin.pdf
石原 博 (日本経団連自然保護協議会企画部会長/住友信託銀行企画部社会活動統括室審議役)
企業活動アンケート結果から見る企業活動の課題
香坂 玲 (名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授)
「企業と生物多様性」に関する国際情勢について
古田尚也 (IUCN(国際自然保護連合) シニア・プロジェクト・オフィサー)
COP10への期待
川口文夫 (中部経済連合会会長)
【 生物多様性をめぐる国際情勢と日本への期待 】
「日本経団連生物多様性宣言」に寄せて
アハメド・ジョグラフ (生物多様性条約事務局長)
  • 経済成長とエネルギー消費との分離を可能にした日本
  • 生物多様性保全の未来に鍵を握る日本の産業界
  • 日本の新しい挑戦
  • 持続可能性なくして発展なし
日本経済界と手を携えCOP10成功を目指す
ジェフリー・マクニーリ (IUCN(国際自然保護連合)チーフ・サイエンティスト)
生態系バランスの維持は持続可能な発展における柱
ビヨン・スティグソン (WBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)事務総長)
【 企業の生物多様性への取り組み 】
社有地を活用した自然環境教育の取り組み
〜自然体験の教育支援を通じて、持続可能な社会の構築を目指す
猪野博行 (東京電力副社長)
  • 東京電力の自然保護活動
  • 次世代を中心とした環境教育支援活動(東京電力自然学校)
  • 未来をつくる力を育むための教育
「トヨタ生物多様性ガイドライン」の理念と活動
高田 充 (トヨタ自動車常務役員)
  • 基本的考え方
  • 主な取り組み事例
本業における生物多様性への取り組み
能勢秀樹 (住友林業取締役専務執行役員)
  • 「生物多様性」視点での事業の再点検へ
  • 国土の1000分の1、社有林での取り組み
  • ビジネスと生物多様性保全の融合に向けて
自然環境の再生による“いきいき”とした都市環境の創造
野呂一幸 (大成建設常務 設計本部長)
  • 環境財としての自然資源
  • 地域を知るための不可欠な環境カルテ
  • 都市の再生と自然の再生の実践
生物多様性と「環境マインド」
吉積敏昭 (三菱電機常務執行役生産システム本部長)
  • 環境ビジョンを策定
  • 環境に優しい行動を発想する社員を育てる
  • 自然の摂理を学ぶ野外教室を開催
  • 地球環境の未来を見据えて
公益信託日本経団連自然保護基金および日本経団連自然保護協議会の活動について
http://www.keidanren.or.jp/kncf/
日本経団連自然保護協議会事務局
【 NGOとの連携/KNCF支援事例 】
バードライフ・アジアの活動について
〜生物多様性保全の取り組み
クリスティ・ノザワ (バードライフ・アジア代表)
  • アジアの豊かな生物多様性を守る
  • 今後の課題
地球の薬箱を救え
〜薬用植物認証制度フェアワイルドに向けて
石原明子 (トラフィック イーストアジア ジャパン代表)
  • 野生生物にとって有害な取引をなくすことが使命
  • 企業とともに
マングローブを守る
〜「緑の絨毯作戦」から「緑と青地球作戦」へ
加藤 茂 (マングローブ植林大作戦連絡協議会会長・成蹊大学理工学部特別研究招聘教授)
  • 大規模植林でよみがえる生態系
  • マングローブの拡大を目指して
生物多様性の宝庫
〜オランウータンの森を残していくためには
鈴木 晃 (日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会代表)
  • 長期の活動の必要性
  • 多様性の保全〜個へのまなざしを
トキ野生復帰を支える棚田・里山維持管理システムの構築と地域環境教育
本間航介 (新潟大学農学部附属フィールド科学教育研究センター准教授・朱鷺プロジェクト事務局)
  • トキの行動モニタリング
  • 厳冬期のトキの採餌行動
  • 真価はこれから

住宅投資を梃子に景気回復を
〜最近の住宅政策と今後の課題
渡 文明 (日本経団連副会長・住宅政策委員長/新日本石油会長)
観光立国の実現は日本経済再生への鍵
大塚陸毅 (日本経団連評議員会副議長・観光委員長/東日本旅客鉄道会長)
経済危機における労働関係法令の遵守
〜第103回 日本経団連労働法フォーラム
日本経団連労働法制本部
〈解説〉
改正労働基準法について
日本経団連労働法制本部

● 経営者のひととき
笑う門には健康来る!
斎藤敏一 (ルネサンス会長)
● エッセイ「時の調べ」
野菜が持つ可能性
柿沢安耶 (野菜スイーツ専門店「パティスリー ポタジエ」 オーナーパティシエ)
● NEW FACE(新会員紹介)
日本駐車場開発
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
UWCは私の原点
高端正幸 (新潟県立大学国際地域学部准教授)

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