表紙イメージ 経済Trend ロゴ2010年11月号

国際標準化戦略を考える
今月の表紙: 中野毅彦 作 「秋景富士」 (アートビリティ登録作品)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い絵画を厳選してご紹介しています。

巻頭言

政治的決断をもってEPA推進を
勝俣宣夫 (日本経団連評議員会副議長/丸紅会長)

特集
国際標準化戦略を考える

政府の「新成長戦略」や「知的財産推進計画2010」などで国際標準化に焦点が当てられている。こうした状況のもと、グローバル競争時代における国際標準化の今日的意義を確認するとともに、国際標準化に関してわが国企業が克服すべき課題や今後進むべき方向性などについて、企業の経営戦略の観点から議論した。
座談会
榊原定征 (日本経団連副会長・産業技術委員長/東レ会長)
グローバル競争に勝ち残るためには、事業戦略、研究開発戦略、標準化を含めた知財戦略を三位一体でとらえた経営戦略が不可欠の時代となった。日本経団連では、研究開発の成果をグローバルに展開するうえで、国際標準化が重要と位置付けている。人材育成を含め、国を挙げた取り組みが強く求められている。
野間口 有 (日本経団連評議員会副議長・知的財産委員長/三菱電機名誉相談役)
国際標準は、グローバル時代のビジネスにおけるインフラである。わが国においてもようやく国際標準化の重要性への認識が高まってきたが、同時に、国際標準に合致していることを証明する適合性評価などの認証業務にも積極的に取り組むべきである。また、アジア諸国は有力なパートナー候補であり、国際標準化戦略を進めるうえで重視すべきである。
藤澤浩道 (IEC(国際電気標準会議)副会長/日立製作所研究開発本部技師長)
これまでは国際標準を作成することに光が当たってきたが、近年、適合性評価制度への関心が高まっている。今後は、特に第三者機関による国際標準への適合性評価が要請される機会が増えてくると予想される。日本企業のなかでも、標準化の重要性への理解を深め、人材育成につなげていくことが必要だ。
渡部俊也 (東京大学先端科学技術研究センター教授)
国際標準化への取り組みは、あくまでも企業による戦略的な活動が基本であるが、技術の複合化、プレイヤーの多様化により、異業種連携、産官学連携で対応しなければならないことも増えている。東京大学をはじめ日本にはアジアからの留学生も多く、彼らがアジア企業の標準化を含めた知財マネジメントのレベルの向上に貢献している。
西谷 清 (司会:日本経団連知的財産委員会国際標準化戦略部会長/ソニー業務執行役員SVP)
技術が特定業種にとどまらず、電機や自動車といった分野間で相互乗り入れを始めており、IECやISOなど国際標準化機関では、システムとして標準化が進められている。こうした状況下で、日本企業は、国内・海外の複数の企業と連携して国際標準化に取り組む必要に迫られており、戦略的な対応が不可欠となっている。

●経営戦略に位置付けられる研究開発・知財戦略

●標準化を担う人材の育成への取り組み

●アジア展開の現状と課題

国際標準化と事業戦略
〜国際競争力の強化を担う政策・経営ツールとして
小川紘一 (東京大学総括プロジェクト機構知的資産経営総括寄付講座特任教授)
互換性確保から市場獲得に向けた戦略へ
〜国際標準化への取り組み
日本発のUHV技術を国際標準に
財満英一 (東京電力技術部部長)
  • 東京電力の国際標準化への取り組み
  • 世界展開が期待されるUHV技術
  • UHV技術の標準化戦略
    1. IEC上層機関からの働きかけ
    2. 国内協力体制の構築
    3. 世界での仲間づくり
  • 現状および今後の展望
水ビジネスに関する国際標準化への取り組み
吉村和就 (グローバルウォータ・ジャパン代表/麻布大学客員教授/国連環境技術顧問)
  • 世界水ビジネスの進展と国際的なルールの必要性
  • 水ビジネスに熱心なフランス
  • 知られざるISOの歴史的背景――国益の反映
  • 知られざるWTOの歴史的背景
  • 国を挙げて国際標準化に取り組め
英国での鉄道ビジネスの展開と鉄道の国際規格化活動への取り組み
横須賀 靖 (日立製作所 社会・産業インフラシステム社交通システム事業部主管技師(兼)企画本部国際標準化推進室室長)
  • 英国での電車ビジネスへの参入
  • 欧州鉄道市場と要求規格対応
  • 英国での活動とグローバル展開
  • 鉄道市場の状況と規格面での課題
  • 鉄道分野における日本と日立の規格対応活動
    • 国際規格センターの発足
    • 日立の標準化対応
交通システム(ITS)と次世代自動車
花井利通 (ITS Japan常務理事)
  • ITSを取り巻く環境と課題
  • グローバルなITSの方向性
  • 持続可能なモビリティー社会の実現に向け、国を挙げた取り組みを
Column
世界市場を制覇する国際標準化戦略
原田節雄 (日本規格協会国際標準化支援センター主幹)
光学ガラス標準化戦線異状あり
松本宏一 (日本光学硝子工業会ISO/TC172/SC3国際幹事)
国際標準化における「ものづくり」という信頼
後藤正智 (富士通IT戦略本部システム企画統括部システム企画部担当課長)

提言
豊かで明るい国民生活を実現するために
〜平成23年度税制改正に関する提言
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/078/index.html
渡辺捷昭 (日本経団連副会長・税制委員長/トヨタ自動車副会長)
  • 税制抜本改革のあり方
    • 消費税の拡充
    • 所得税の基幹税としての機能回復
    • 法人税負担の軽減
    • 社会保障・税共通の番号制度の早期導入
  • 平成23年度税制改正に関する提言
    • 経済活性化などに係る税制措置
    • 環境税、自動車・燃料関係諸税
都市再生やPFIの活用を通じてわが国の成長基盤をつくる
〜平成23年度都市・土地・PFI税制改正に対する要望
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/073.html
岩沙弘道 (日本経団連副会長・都市・地域政策委員長/三井不動産社長)
山口昌紀 (日本経団連都市・地域政策委員会共同委員長/近畿日本鉄道会長)
  • 都市再生・地域再生の加速
  • 民間活力の活用促進
豊かな住生活の実現と住宅市場の活性化に向けて
〜平成23年度住宅関連税制・予算等に対する要望
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/074.html
宗岡正二 (日本経団連副会長・住宅政策委員長/新日本製鐵社長)
関口憲一 (日本経団連住宅政策委員会共同委員長/明治安田生命保険会長)
  • 住宅市場の着実な回復には税制支援の継続が重要
  • 住宅市場の活性化に向け政策効果が高い支援策を
  • 中長期的な住宅税制のあり方の検討が必要
低炭素社会実行計画を政府の温暖化政策の柱に
〜地球規模の低炭素社会の実現に向けて
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/076.html
坂根正弘 (日本経団連副会長・環境安全委員長/小松製作所会長)
天坊昭彦 (日本経団連環境安全委員会共同委員長/出光興産会長)
  • 温暖化対策における技術の重要性
  • 国際的なイコールフッティングの確保
  • 低炭素社会実現のための具体的要望
  • 新たな政策手法の導入に対する懸念
企業による循環型社会構築の取り組みを進めるために
〜循環型社会のさらなる進展に向けた提言
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/077.html
吉川廣和 (日本経団連環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会長/DOWAホールディングス会長)
  • 技術開発・設備投資の促進と副産物の用途開発
  • 「自ら利用」の促進と企業間連携による資源循環
  • 廃掃法の特例を活用した資源の有効活用の促進
  • 効率的な資源循環の促進
企業結合に関する独占禁止法上の審査手続・審査基準の適正化を求める
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/094.html
佐久間総一郎 (日本経団連経済法規委員会競争法部会長/新日本製鐵執行役員)
  • 企業結合の基本的考え方
  • 現行制度の問題点と見直しの方向性
    1. 事前相談制度について
    2. 届出制度について
    3. 審査基準について
子育てに優しい社会の実現に向けて
〜求められるワーク・ライフ・バランス施策の積極的な取り組み
斎藤勝利 (日本経団連少子化対策委員会共同委員長/第一生命保険副会長)
前田新造 (日本経団連少子化対策委員会共同委員長/資生堂社長)

● 経営者のひととき
観察「見て見つめて見きわめる」
竹中登一 (アステラス製薬会長)
● あの時、あの言葉
アロガント
岡本 晋 (ITホールディングス社長)
● エッセイ「時の調べ」
2011年ラグビーワールドカップに向けて
太田 治 (ラグビー日本代表ゼネラル・マネージャー)
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
昭和末期の米国留学
阿部昌樹 (大阪市立大学大学院法学研究科教授)
● NEW FACE 新会員紹介
エイジス
ソネットエンタテインメント
ブラックロック・ジャパン

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