表紙イメージ 経済Trend ロゴ2010年12月号

暮らしの安心を守る社会保障制度を確立する
今月の表紙: 水野裕久 作 「地球」 (ふれあいアートステーション・ぎふ提供)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い作品を厳選してご紹介しています。

巻頭言

資源争奪戦
井手明彦 (日本経団連評議員会副議長/三菱マテリアル会長)

特集
暮らしの安心を守る社会保障制度を確立する

社会保障制度の見直しが喫緊の課題となっている。少子高齢化・人口減少の進展、経済成長の鈍化などにより、現行システムの限界が露呈するなか、税・財政・社会保障の一体改革を推進するためには、何が求められているのか。そのビジョンと方策を議論する。
座談会
森田富治郎 (日本経団連副会長・社会保障委員長/第一生命保険会長)
社会保障の綻びが、国民の不安、社会の閉塞感を生み、それが経済低迷の底流を成している。これから起動する「新成長戦略」の足下を固めるためにも、税・財政・社会保障の一体改革は絶対条件である。時間軸を盛り込んだ、制度改革の全体像を、早急に示すべきだ。また、医療・介護など社会保障分野を成長産業として育成していくためには、障壁となる規制の緩和を政府に求めたい。
馬田 一 (日本経団連税制委員会共同委員長/JFEホールディングス社長)
新たな社会保障モデルを構築するためには、安定財源の確保が不可欠である。消費税は経済活動への影響が最も中立的であり、また、広く国民全体で支える社会保障制度を構築していくための安定財源としてふさわしい税目である。社会保障費用の増加分には消費税の引き上げによって対応するとの原則を確立し、速やかかつ段階的に、少なくとも10%まで引き上げるべきである。
小塩隆士 (一橋大学経済研究所教授)
政権交代によって、社会保障改革をめぐる議論、方向性に変化が出てきた。貧困問題へ取り組む姿勢、高齢層から若年層への給付のシフトを志向するスタンスなどは、評価できる。一方で、「大きな政府」を目指す以上、消費税率の引き上げを含む財源問題など、解決すべき課題も多い。政府は、複数のシナリオと判断材料を国民に明らかにしたうえで、超党派で改革の議論を進めるべきである。
久保田政一 (司会:日本経団連専務理事)

●人口減少社会のもとでの成長と社会保障の好循環を生み出す、新たな社会保障モデルの構築

●新たな社会保障モデルを具現化するために必要な歳出入改革

●成長産業として社会保障分野をどうとらえるか

●税・財政・社会保障一体改革の推進に向けて

これからの社会保障制度のあり方を考える
荻田 伍 (日本経団連社会保障委員会共同委員長/アサヒビール会長)
社会保障改革
〜「財政規律の堅持」と「安心の保障」をどう両立させるか
田近栄治 (一橋大学国際・公共政策大学院教授)
医療制度改革の方向性を考える
〜ドイツの例を参考に
土田武史 (早稲田大学商学学術院教授)
公的年金改革
〜負担と受益の対応関係の明確化に向けて
西沢和彦 (日本総合研究所調査部主任研究員)
国民的なヘルスケアへの取り組みを
〜疾病予防・介護予防で超高齢社会に備える
砂原和仁 (東京海上研究所主席研究員)
消費税は社会保障財源に限定すべきだ
坂本裕寿 (読売新聞東京本社論説委員)

提言
イノベーションの創出に向けた新たな科学技術基本計画の策定を求める
〜科学・技術・イノベーション政策の推進を
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/093/index.html
榊原定征 (日本経団連副会長・産業技術委員長/東レ会長)
中鉢良治 (日本経団連評議員会副議長・産業技術委員会共同委員長/ソニー副会長)
  • 課題解決型イノベーションの推進
  • 司令塔機能の強化
  • 大学・大学院の改革
  • イノベーション創出に向けた仕組みの整備
国際貢献の観点から、官民一体で海外インフラ整備の推進を求める
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/090.html
槍田松瑩 (日本経団連副会長・国際協力委員長/三井物産会長)
  • トップセールス展開の必要性
  • 相手国との政策対話の推進
  • 新たなリスクテイク機能の整備
  • アジア域内の標準化の推進
  • ODA等の国際協力スキームの抜本的な改革
生物多様性保全に向けた取り組み推進の決意新たに
〜生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に参加して
大久保尚武 (日本経団連評議員会副議長・経団連自然保護協議会会長/積水化学工業会長)
〈報告書〉
課題解決型の福利厚生の実現に向けて
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/092/index.html
三浦 惺 (日本経団連副会長・労働法規委員長/日本電信電話社長)
社会貢献活動実績調査結果を踏まえた企業の社会貢献活動の取り組み
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/095/index.html
古賀信行 (日本経団連社会貢献推進委員会共同委員長/野村證券会長)
佐藤正敏 (日本経団連社会貢献推進委員会共同委員長/損害保険ジャパン会長)
世界経済の回復に向けてアジア/APECが果たす役割
エンリケ・センブラノ (メキシコ国際企業連盟(COMCE)メキシコ日本経済委員長)
第46回日本経団連洋上研修に乗船して
坂根正弘 (日本経団連副会長・第46回日本経団連洋上研修名誉団長/小松製作所会長)
「地域主権と道州制を推進する国民会議」のシンポジウムを熊本で開催
〜道州制先進地域の九州が日本を変える
(日本経団連産業政策本部)

● 経営者のひととき
少子高齢化
小野寺 正 (KDDI社長兼会長)
● あの時、あの言葉
知力を磨く
久保田 隆 (千代田化工建設社長)
● エッセイ「時の調べ」
音と人との紬織り
小川理子 (パナソニック社会文化グループグループマネージャ)
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
地球最後の秘境ニューギニア
栗田博之 (東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授/同大学副学長)
● NEW FACE 新会員紹介
スズトクホールディングス
ファースト
松尾建設

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