経団連の最近の動き

(2001年7月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.311 ( 7月27日発行)より

通信・放送政策部会を開催

通信・放送政策部会(部会長:潮田壽彌 味の素専務取締役)では、技術革新等の環境変化に対応した新しいメディア制度のあり方について掘り下げた検討を行っている。その一環として、7月24日、ネットリサーチの竹内英次郎 代表より、放送・通信の融合問題について説明をきくとともに、これまでの議論を取りまとめた報告書案について議論した。
竹内代表からは、

  1. 通信・放送の融合は伝送路の共通化である、
  2. 放送の本質はコンテンツであり、放送をめぐる問題は伝送路よりコンテンツ、販路が重要になっている、
  3. メディア産業におけるバリューチェーンを成り立たせるためには、コンテンツ生産者である放送業界、物流事業者である通信業界とが切磋琢磨する必要がある、
等の説明があった。
また当日は、電気通信分野の競争政策に関する検討状況等についても報告があった。

産業技術委員会情報通信技術専門部会を新設

本年度から5年間の第2期科学技術基本計画では、重点分野の一つとして情報通信分野が取り上げられている。これを受け、現在、総合科学技術会議では、今後5年間の研究開発のあり方を具体的に示すべく、ネットワークがすみずみまで行き渡った社会への対応と世界市場の創造に向けた「高速・高信頼情報通信システム」の構築などの投資分野の重点化や研究開発の進め方を中心に、情報通信分野の推進戦略の検討が進められている。
こうした動きに対応して、今般、産業技術委員会の下に情報通信技術専門部会(部会長:吉川誠一 (株)富士通研究所取締役)を新設し、わが国としての情報通信分野における技術開発戦略のあり方について、産業界の視点から検討を行っていくこととした。

No.310 ( 7月19日発行)より

第16回東富士フォーラムを開催
「21世紀の地球と日本〜真の豊かさを求めて〜」

第16回東富士フォーラム(議長:大賀副会長)が、7月12日から14日にかけて経団連ゲストハウス(御殿場)で開催され、今井会長はじめ、副会長、評議員会議長・副議長、委員長が参加した。
今回は、21世紀に入って初めてのフォーラムということで、「21世紀の地球と日本」というテーマで、長期的な視点から意見交換を行った。
まず、次世代への『地球』の継承について、東京大学の松井孝典教授と山地憲治教授を迎え、地球温暖化やエネルギー問題等を中心に議論した。次に、経済団体のあり方について、筑波大学の辻中豊教授による問題提起の後、今後の経済団体の役割や政治・行政との関係等について意見交換した。さらに、今後50年の日本の目標について、東京大学の伊藤元重教授と北岡伸一教授を迎え、経済、政治、外交、社会などの諸問題について幅広く議論した。

WTO新ラウンド交渉の立ち上げに向けて

自由、多角および無差別を原則とし、紛争処理機能を備えたWTOにおける一層の自由化、ルールの強化・整備は、わが国通商政策の最重要課題である。本年11月には、カタールで開催される閣僚会議において、WTO新ラウンド交渉の立ち上げの帰趨が決まることとなっている。
そこで7月17日、「WTO新ラウンド交渉立ち上げにあたっての基本的立場」と題する意見書を取りまとめた。この中で、わが国産業界の関心が高い分野として、

  1. 鉱工業品の関税引下げ、
  2. 国際投資ルールの構築、
  3. アンチダンピング協定の見直し、
  4. 電子商取引の発展促進、
  5. 知的財産権の保護強化、
  6. 貿易円滑化の促進、
  7. ビルト・イン・アジェンダ(サービス貿易および農業貿易)、
を挙げ、こうした項目が新ラウンド交渉のアジェンダとなることを強く求めた。今後、欧米等の産業界とも連携を強化しつつ、わが国政府を始め、内外各方面に発信し、その実現を強く働き掛けていく。

むつ小川原開発推進委員会の総会を開催

むつ小川原開発推進委員会(委員長:前田 前田建設工業会長)は、7月17日、総会を開催し、2000年度の事業報告、収支決算ならびに2001年度の事業計画、収支予算を了承した。むつ小川原開発推進委員会は、新むつ小川原(株)の活動を支援するために、昨年11月に設立された新委員会である。約10億円を目標とする特定資産の運用益を中心に、むつ小川原開発へのプロジェクト誘致などの活動を予定している。幸い会員企業の十分な理解を得て、順調に特定資産も積みあがっており、今後は新設の企画部会を中心に青森県、六ヶ所村、政策投資銀行、国土交通省など六者協議会との連携を密にしながら、新むつ小川原(株)が予定通りに土地を売却して、有償減資が行えるよう積極的に活動していきたい。会員の方々の引き続きのご支援、ご協力をお願いしたい。

No.309 ( 7月13日発行)より

「当面の税制をめぐる課題についての提言」を発表−連結納税の具体的提案も

経団連では、従来、年次税制改正に関する提言を9月に取りまとめている。本年は、それに先だち、7月11日に税制委員会(委員長:森下洋一 松下電器産業会長)を開き、「当面の税制をめぐる課題についての提言」を取りまとめた(17日の理事会で機関決定の予定)。
今回の提言は、政府税制調査会における連結納税制度の議論の進展、証券税制の議論が秋の臨時国会で予想されること、地方分権改革推進会議の設置等の状況を踏まえ、これらの課題について現時点での考え方を明らかにしたものである。
特に、連結納税制度については提言添付の「連結納税制度導入に係る主要論点に対する意見」で詳細にわたる制度設計を提案した。米仏型の所得通算方式を前提に、連結の対象を100%子会社に絞込む一方、実際に同制度を適用する連結子会社を任意に選択できることとした点がポイントである。
一方、証券税制に関しては、株式譲渡益の申告分離課税の税率引き下げ、譲渡損の繰越を要望している。また、昨年自治省が提案した支払給与を課税ベースの中心とする事業税の外形標準課税については改めて容認できないことを明確にした。

石原行政改革・規制改革担当大臣との懇談会を開催

7月10日、行政改革推進委員会(委員長:大賀典雄副会長)は、石原行政改革・規制改革担当大臣との懇談会を開催し、特殊法人改革をはじめとする行政改革および規制改革の取組みについて、意見交換を行った。
席上、石原大臣から、改革にはスピードが重要であり、

  1. 特殊法人改革については8月中にまとめる個々の事業の見直し案をもとに、整理合理化計画を年内に策定したい、
  2. 規制改革については7月中に重点検討6分野(医療、福祉・保育、労働、都市再生、教育、環境)に関する改革の基本的考え方を示したい、
旨、説明があった。
経団連側から、総論賛成・各論反対を慎み、政府の行政改革・規制改革の取組みを全面的に支援する旨を表明するとともに、規制改革に関して、
  1. 「規制改革推進3か年計画」の課題を1年以内に前倒し実施すること、および
  2. 新規産業・新規雇用の創出が期待される重点検討6分野から具体的な改革事項を早急に提示すること、
を要望した。

No.308 ( 7月 6日発行)より

第2回新団体設立準備委員会を開催

来年5月の日経連との統合を控え、新団体設立準備委員会(座長:藤井義弘 日立造船相談役)は、6月25日、第2回会合を開催し、新団体の運営等の基本方針案をとりまとめた。本年2月の第1回会合以降、両団体の実務家レベルから成るタスクフォースで行われてきた検討結果を踏まえたもので、新団体の定例会合としてどのようなものを開催するか、会員の範囲・役員選任基準をどうするか、どのような委員会を統合するか、出版物をどうするか等について統合後の方向を示した。同案については、7月9日の会長・副会長会議に諮られる予定である。

温暖化国際交渉について川口環境大臣との懇談会を開催

7月5日、川口環境大臣との懇談会を開催した。
この中で、今井会長ほかから国際交渉について、

  1. 日米欧が協調した国際枠組みに向けて粘り強く交渉して欲しい、
  2. シンクや京都メカニズムなどの目標達成手段を先に詰めた上で、各国ごとの削減目標と期限を改めて議論してはどうか、
といった意見が出された。また国内の温暖化対策について、
  1. 環境省は、環境自主行動計画に基づく産業界の取組みを不当に低く評価しており、遺憾である、
  2. 原子力発電の促進に環境省がもっと積極的に取り組むべきである、
  3. 民生・運輸部門の対策についても産業界から知恵を出していきたいが、民生・運輸部門の対策の遅れを産業部門にしわ寄せすることには反対である、
等の発言があった。
川口大臣からは、
  1. 京都議定書に沿った形で、米国の参加を粘り強く働きかけ、2002年発効を目指して引き続き交渉を続けたい、
  2. 米国は、いつまでに対案を出すのか明らかにしていない。国際情勢は、いつまでも米国の出方を待つという雰囲気ではない、
  3. 米国に対し、早く自らのスタンスをまとめ、交渉のテーブルにつくよう産業界からも働きかけて欲しい、
  4. 産業界は、引き続き国内の温暖化対策を進め、透明性のある形でその取組みを公表するよう努めて欲しい、
との発言があった。


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