経団連企業行動憲章

1991年9月24日
(社)経済団体連合会
1996年12月、改定版を発表しました。
2002年10月、『企業行動憲章』を発表しました。

本憲章の目的と企業行動総点検の要請

わが国企業の行動が内外に多大な影響を与えるものとなっている今日、自らの行動に企業は極めて重大な責任を有している。それだけに証券・金融業界の一連の事件を契機に、国民から信頼され、国際的にも通用する企業行動の確立が求められている。とりわけ企業行動の展開における経営トップの役割の重大さが改めて認識され、その自省・自戒とともに自社の高いモラルの維持に対するリーダーシップの発揮が、強く望まれている。

企業と消費者・生活者との共生の必要性、企業にあっては個人の尊重、株主の権利への配慮、さらには国際化の進展といった企業を取り巻く社会環境の変化とともに、社会が企業に求める役割も変化している。今日の企業は、公正な競争を通じて適正な利益を追求するという経済的存在であることと同時に、人間が豊かに生活していくために奉仕する、広く社会全体にとって有用な存在であることが求められている。そのために企業は単に法を遵守するにとどまらず社会的良識を持って行動しなければならない。企業の構成員は消費者・生活者としても社会と関わりを持っており、企業は社会の一員として社会の理解と信頼をより確かなものにしなければならない。

このような観点から、わが国企業は改めて商慣行と自らの行動を厳しく見直す必要がある。「わが国の商慣行は閉鎖的かつ不透明である」との批判に根拠を与えることなく、自由・透明・公正な市場の実現に努め、わが国の経済システムに対する国際的な信頼を確立することこそ喫緊の課題である。その際、特に留意すべきことは、最近「企業行動の原理が社会の意識と乖離し、外部からわかりにくいものとなっている」との批判がなされている点である。こうした批判に応え、企業としても自己規律のあり方が外部からも見える形にする努力を払わなければならない。

各企業および業界はすでに各種規則等により自己規律に努めているが、この際、各企業の経営トップや業界団体が率先して本憲章の趣旨を社内及び業界内に徹底し、改めて企業行動や商慣行のあり方等を総点検することを要請する。企業行動総点検の努力が重ねられ、自己責任原則が確立されてこそ、はじめて市場は自由・透明・公正なものとなる。

企業の業態や事業の特性等に配慮した総点検作業の中で、本憲章が会員企業の参考となることを期待する。経団連としても本憲章に基づく各企業・業界の点検結果をフォローアップするとともに、商慣行の見直し等に取り組んでいきたい。さらにフリートークフォーラムなど広報・対話活動等を通じて消費者・生活者とのコミュニケーションを深め、企業行動と社会的常識の乖離を埋めるよう努める。

経団連企業行動憲章

1.企業の社会的役割を果たす7原則

(1) 社会的に有用な優れた財・サービスの提供に努める。
(2) 社員のゆとりと豊かさの実現に努め、社員の人間性を尊重する。
(3) 環境保全に配慮した企業活動を行う。
(4) フィランスロピー活動等を通じて積極的に社会貢献に努める。
(5) 事業活動を通じて地域社会の福祉の向上に努める。
(6) 社会の秩序や安全に悪形響を与える団体の活動に関わるなど、社会的常識に反する行為は、断固として行わない。
(7) 広報・広聴活劾等を通じて常に消費者・生活者とのコミュニケーションを図り、企業の行動原理が社会的常識と整合するよう努める。

2.公正なルールを守る5原則

(1) すべての法令およびその精神を遵守する。

とりわけ自由市場経済の基本ルールである独禁法の趣旨を社内に徹底し、独禁法遵守プログラムを作成する。
また、社員が事業活動上の法律的疑問点について助言を得られる体制を整える。

(2) 企業行動全般を公正かつ透明なものとする。

違法な行動はもちろん、経済的合理性を欠く過当な競争あるいは不当な手段による利益の追求や、国際的に説明のできないような不透明な行動をしない。

(3) 自己責任原則を徹底する。

公正・透明・自由な競争を通じ、ビジネス機会を開拓する際の市場行動の結果は各経済主体の利益・損失に公正に反映されるべきであり、自らが負うべきリスクや損失は他者に転嫁しない。
また、いやしくも行政との癒着という誤解を招かないよう行政依存を慎む。

(4) 情報は公正に入手・使用する。

情報は合法的な手段で入手し、適正な管理基準の下に保管・使用する。

(5) 国際的に通用する商慣行の形成に努める。

長年にわたって当然のことと考えてきた諸制度・諸慣行も、公正性・透明性の観点から積極的に見直し、国際的に通用するものとなるよう努力する。

3.経営トップの責務3原則

(1) 企業の経営トップは自らの責務として本憲章の趣旨実現に取り組む。
(2) 関係する諸法令の遵守と本行動憲章の趣旨を社内に徹底する。

社員が企業人としても社会的常識を逸脱した行動をしないよう、社員教育等の制度を充実し、企業の社会的役割に対する理解を深める。
その際、社会貢献活動や企業の社会的評価の向上に寄与する活動を積極的に評価する。

(3) 企業行動に関する社内チェック機能を持つ部門を設置し、担当役員を置くなど、企業の実態に応じた社内体制を整備する。

監査機能を強化し、違法・不公正あるいは社会的常識に反する企業行動は、事実の確認により処分対象とする。

以上

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