企業行動憲章の発表から5年が経過したが、その間、企業行動上の様々な問題が生じ、国民の間で企業に対する不信感が高まっている。また、企業をめぐる環境にも以下のような大きな変化が生じている。このような状況を踏まえて、これ迄の企業行動を振り返り、21世紀に向けて真に豊かで活力ある市民社会にふさわしい企業行動のあり方を確立するため、今般、憲章を改定することとした。
このような中で、企業行動のあり方について、消費者・ユーザー、株主、地域社会、従業員、取引先などの各ステークホルダーズとの関係を含め、見直しが求められている。企業は、企業行動憲章の趣旨を体現し、自ら変化に果敢に対応することによって、こうした社会変革の主役としての役割を果たさなければならない。
会員企業は、次に定める企業行動憲章の精神を企業の具体的行動として実行することを申し合せ、内外に宣言する。
企業は、公正な競争を通じて利潤を追求するという経済的主体であると同時に、広く社会にとって有用な存在であることが求められている。そのため企業は、次の10原則に基づき、国の内外を問わず、全ての法律、国際ルールおよびその精神を遵守するとともに社会的良識をもって行動する。
社会的に有用な財、サービスを安全性に十分配慮して開発、提供する。
公正、透明、自由な競争を行う。また、政治、行政との健全かつ正常な関係を保つ。
株主はもとより、広く社会とのコミュニケーションを行い、企業情報を積極的かつ公正に開示する。
環境問題への取り組みは企業の存在と活動に必須の要件であることを認識し、自主的、積極的に行動する。
「良き企業市民」として、積極的に社会貢献活動を行う。
従業員のゆとりと豊かさを実現し、安全で働きやすい環境を確保するとともに、従業員の人格、個性を尊重する。
市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体とは断固として対決する。
海外においては、その文化や慣習を尊重し、現地の発展に貢献する経営を行う。
経営トップは、本憲章の精神の実現が自らの役割であることを認識し、率先垂範の上、関係者への周知徹底と社内体制の整備を行うとともに、倫理観の涵養に努める。
本憲章に反するような事態が発生したときには、経営トップ自らが問題解決にあたり、原因究明、再発防止に努める。また、社会への迅速かつ的確な情報公開を行うとともに、権限と責任を明確にした上、自らを含めて厳正な処分を行う。