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長期低迷を続けてきた日本経済は、規制改革をはじめとする構造改革と政府による需要拡大政策とによって、ようやく回復に向おうとしている。本格的な回復、さらには発展へとつなげていくためには、動き出したばかりの構造改革を着実に推進することが不可欠である。
ちなみに、経団連は昨年12月6日、アメリカ、EU、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの政府・経済界・学界の代表者の参加を得て規制改革国際シンポジウムを開催したが、規制改革は産業と消費者の双方に利益をもたらし、長期的に持続可能な経済成長を実現するために不可欠であることがコンセンサスとして確認された。
既得権益を守ろうとする力に負けて改革を先送りすれば、これまでの努力が水泡に帰し、元の木阿弥となることは火を見るより明らかであり、将来においてさらに困難な事態を招くだけであると確信する。
本年3月に予定されている「規制緩和推進3か年計画」の再改定に向け、政府は内外から意見・要望を募集し、経団連では昨年10月19日、451項目の規制改革要望を政府に建議した。これに対して、各省庁は本年1月、内外からの要望に関する検討状況を中間的に公表した。
そこで経団連では、今般、経団連要望事項に対する各省庁の回答状況を精査し、対応が不十分と判断される事項の中で特に緊急度・重要度が高く、3月末の再改定に是非とも盛り込むことを希望する39項目について再要望することとした。
政府においては、3月末の計画改定において、経団連の再要望事項を全面的に盛り込むよう望む。
なお、今回の各省庁からの中間公表に関して、特に2点を指摘したい。
第一に、税・補助金に関連する要望について、関係省庁から回答がなされなかったものがある。これは、政府が、規制緩和委員会から規制改革委員会への改称に際して、税・補助金についても、「規制改革の推進に密接に関連するものとして検討が必要と判断される事項」については検討対象とするとしたことに反するのではないかと考える。規制改革委員会においては、これらの問題についても各省庁が検討および回答を行うよう指導するとともに、委員会としても積極的に検討すべきである。
第二に、規制改革委員会が採り上げて検討を行なっているにも拘わらず、省庁が要望元との直接交渉で結論を引き出そうとするケースも見られる。良識的な取り組みを望みたい。
最後に、現在の3か年計画は来年度が最終年度となるが、政府は規制改革に対する取り組み姿勢にいささかも揺るぎがないことを内外に示すため、規制改革に取り組む体制をより一層強化し、新たな計画を策定することを早急に明言すべきである。
総理のリーダーシップに強く期待したい。