[経団連] [意見書]

第4回 経済運営と経済情勢に
関するアンケート調査結果

2001年1月15日
(社)経済団体連合会

  1. 調査の概要
  2. 経団連経済政策委員会(委員長:櫻井 孝頴 第一生命保険会長)では、下記により
    「第4回経済運営と経済情勢に関するアンケート調査」を実施した。

    1. 調査対象
    2. 経団連常任理事(団体会員を除く)および会長・副会長。合計 208名

    3. 調査期間
    4. 2000年12月 4日〜12月20日

    5. 回答率
    6. 全体 58%(208名中 120名)

    (参考)過去の調査実施状況

    第1回調査
    調査期間1999年8月27日〜9月9日
    調査対象経団連常任理事(会長・副会長、団体会員除く)
    回 答 率58%
    第2回調査
    調査期間2000年1月11日〜1月27日
    調査対象経団連常任理事(会長・副会長、団体会員除く)
    回 答 率64%
    第3回調査
    調査期間2000年6月12日〜6月22日
    調査対象経団連常任理事(会長・副会長、団体会員除く)
    回 答 率59%

    なお、第1回、第2回調査は試行調査であり、調査結果については基本的に公表していない。


  3. 調査結果
  4. 【当面の経済動向について】

    1. 2000年度および 2001年度の実質成長率の見通し
      1. 2000年度、2001年度とも 1.5〜2.0%未満との見通しが最も多いが、2001年度の成長率は 2000年度を下回るとの見通しが全体の 44%を占めている。
      2. 2001年度上期・下期の前年同期比の実質成長率を比較すると、下期が上期を上回るとの見通しが 50%を占めている。

      2000年度および 2001年度の実質成長率の見通し

    2. 2001年度成長を牽引する需要項目(複数回答)
    3. 2001年度の成長は、設備投資・個人消費を中心とした民需が牽引するとの見方が大勢を占めた。

      2001年度成長を牽引する需要項目

    4. 株式相場(日経平均株価)の見通し
      1. 2000年度末は 15,000円との見通しが最も多い。
      2. 2001年度中の最安値は 14,000円、最高値は 18,000円との見通しが最も多い。
      3. 2001年度末は18,000円との見通しが最も多いが、次は16,000円となっている。

      株式相場の見通し (2000年度末)
      株式相場の見通し (2001年度中の最高値・最安値)
      株式相場の見通し (2001年度末)

    5. 対ドル円相場の見通し
      1. 2000年度末は 110〜115円未満との見通しが最も多い。
      2. 2001年度中の最高値は 100〜105円未満、最安値は 115〜120円未満との見通しが最も多い。
      3. 2001年度末は 105〜110円未満との見通しが最も多い。

      対ドル円相場の見通し (2000年度末)
      対ドル円相場の見通し (2001年度中の最高値・最安値)
      対ドル円相場の見通し (2001年度末)

    6. 財政政策の景気対策としての効果(択一)
    7. 「短期的な景気拡大効果はあるが、中長期的には景気抑制効果と相殺し合い、景気対策としては一時的なものにとどまる」との見方が、64%を占めた。

      財政政策の景気対策としての効果

      <その他の意見>
      • 財政支出の内容とタイミングに当を得れば、中長期的な効果も期待できる
      • 基本的には短期的な景気拡大の起爆剤としての効果はある程度認められるものの、
        経済波及効果の低い分野に関する投資の場合は中長期的なマイナス面はより深刻と
        なろう。使途は厳選すべき
      • 短期的な景気拡大効果はあり、中長期的な効果の有無は財政支出の中身や日本経済
        に対する市場の信認次第であり、一概には言えない
      • 財政政策は適切に発動されれば有効であるが、現在の日本の財政状態では、更なる
        財政による下支えは危険である
      • 支出の内容により、有効な景気対策となりうる
      • 構造改革を遅らせ、民需の自立的な回復を妨げる



    【経済運営関係】

    1. 財政構造改革を進めるに当たっての、歳出削減の着手時期(択一)
    2. 「景気の本格的な回復後」着手すべきとの意見が 49%と最も多いが、 「景気動向にとらわれず」あるいは「景気の回復後直ちに」着手すべきとの意見も合計すると 44%とほぼ拮抗する水準に達した。

      財政構造改革を進めるに当たっての、歳出削減の着手時期

      <その他の意見>
      • 景気の動向に留意しながら長期的再建計画を繰り上げ、個別の施策・制度の効率性、
        有効性を見通して歳出の一層の効率化、質的改善に着手するべき
      • PFI、政府機関の民営化を含めた政府部門のスリム化をまず行なうべき

    3. 構造改革に向けての適切な政策の組合せ(択一)
    4. 財政構造改革と社会保障改革と税制改革を一体のものとして進めるべきとの意見が 92%を占めた。

      構造改革に向けての適切な政策の組合せ

    5. 中長期的な国民負担率のあり方(択一)
    6. 国民負担率は 50%未満に抑制すべきとの回答が、90%を占めた。

      中長期的な国民負担率のあり方

      <その他の意見>
      • 財政構造改革推進のためもあって、現在の37%をなるべく早期に上昇させるべき。
        その際、50%未満を最終目標とするかは、今後の課題となる。
      • 社会保障制度の内容にもより、一概に言えない
      • 50%でも高いと思われる。できれば40%以下を目標とすべき
      • 50%という数値にこだわる必要はないが、何らかの歯止めは必要

    7. 中長期の経済運営にあたり求められる成長戦略(複数回答)
    8. 「規制改革およびIT革命等に対応した新しい法制整備」・「多様な事業展開を可能とする会社法制・関連税制の整備」が必要との意見が上位を占めた。

      中長期の経済運営にあたり求められる成長戦略

      <その他の意見>
      • 少子化対策
      • 行財政改革、非製造業の競争促進
      • 若年層の基礎学力の向上(各国に遅れをとらないための教育水準の維持)
      • 学校教育を含めた人材育成のあり方見直し
      • 民営化の推進
      • 道路整備など物流効率化のためのインフラ整備

    9. 日本の潜在成長力(択一)
    10. 望ましい構造改革・成長戦略が実施された場合、2000〜2025年度平均の潜在成長力は 2.0%以上とする見方が、全体の 74%を占めた。

      日本の潜在成長力

以 上

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