[経団連] [意見書]

「IT国家戦略」に関する緊急アンケート結果について

―産業界が必要とするIT政策は何か―

2001年1月22日
経団連産業本部

IT革命を推進し、21世紀の日本が活力に溢れた経済社会となるためには、様々な改革に早急に着手し成果をあげることが不可欠である。政府は、「5年以内に日本を情報通信の世界最先端国家」とすべく、1月22日に「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」で「IT国家戦略」を決定し、3月末にはそのアクションプランとも言うべき「重点計画」を策定することとしている。この「重点計画」がどこまで踏み込んだ内容となるか、特に初年度にどれだけの成果をあげることができるかは、21世紀の繁栄の試金石である。

このため、経団連では、主要会員企業・団体を対象に、「IT基本戦略」に盛り込まれた施策の中で「特に重要な施策」、「2001年度中に実現すべき施策」、ならびに「改革の成果をあげるための課題」を聞き、80名から回答が寄せられた(調査期間:2000年末〜2001年1月12日、調査対象:情報通信委員会委員等計238名)。

この結果、業種の違いを超えて産業界として最も重要と考えられているのは、電気通信行政の大転換であることが明らかになった。79%の企業・団体が電気通信事業者の競争促進に向けた通信事業関連規制の大幅見直しと事後チェック型行政への転換を「特に重要」とし、その68%がこれを2001年度内に実現すべきとした。この他、産業界の強い期待は、

  1. 電子契約や情報財取引ルール等の整備、
  2. 個人情報保護基本法案の成立、
  3. ノーアクションレター制度の導入、
  4. 電子政府化の前提である行政の業務改革の実施(類似業務の統廃合、ペーパレス化等)、
  5. 大学改革の積極的推進
に示された(別紙参照)。

「改革の成果をあげるための課題」としては、67%の企業・団体が「明確・具体的なスケジュールの提示」、60%が「省庁間の施策の有機的連携(縦割り排除)」をあげ、このための政治のリーダーシップが強く求められる、とされている。

経団連では、これら産業界のニーズの高い施策を早期に実現すべく、2月にも「重点計画」の策定に向けた提言を取りまとめ、政治に改革のリーダーシップを求めていくこととしている。



(別紙)
産業界から見た特に重要なIT関連施策
改革の成果をあげるための課題


「IT国家戦略」に関する緊急アンケート結果 詳細


【本件お問合せ先】
経団連産業本部 岩間・油木
    電話 03-3279-1411
以 上

「IT国家戦略」に関する緊急アンケート結果 別紙


産業界からみた特に重要なIT関連施策

「特に重要」と回答した
企業・団体(%)
【超高速ネットワークインフラ整備関連】
 1.通信事業諸規制を競争促進の方向で大幅に見直しおよび
事前規制を透明なルールに基づく事後チェック型行政に転換
79
 2.1年以内に全国民に極めて安価なインターネット常時接続を提供56
【電子商取引ルール関連】
 1.電子契約や情報材取引ルール等の整備64
 2.個人情報保護基本法案の成立60
 3.ノーアクションレター制度の導入56
【電子政府の実現関連】
 1.電子政府の前提として行政の業務改革の実施
(類似業務の統廃合、ペーパレス化等)
60
 2.行政手続や行政運営のインターネット化を可能にする法令等の見直し54
 3.明確な目標設定と進捗状況の評価・公表51
【人材育成の強化関連】
 1.大学改革の積極的推進64
 2.IT指導の人材の登録・派遣制度導入53
 2.小中高のインターネット接続環境整備53


改革の成果をあげるための具体的課題

「課題」と回答した
企業・団体(%)

 1.明確・具体的スケジュールの提示
(いつまでに何を実施するか等)
67
 2.省庁間の施策の有機的連携(縦割り排除)60
 3.新IT戦略本部によるフォローアップ31
 4.新IT戦略本部事務局の権限のあるポジションへの民間人の登用30
 5.国・地方共通のプラット・フォーム作り28
以 上

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