[経団連] [意見書] [ 目次 ]

新たな規制改革推進3か年計画の策定に望む

2.医療・介護分野


  1. レセプトの一次審査に関する保険者の自主的管理の容認
  2. 規制改革要望(2000年10月17日)

    レセプトの一次審査を、支払基金だけでなく、個々の健康保険組合が自主管理できるようにすべきである。

    所管官庁
    厚生労働省

    担当課等
    保険局保険課

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  ■検討中  □措置困難  □その他  □記載なし

    個々の保険者が一次的にレセプトを審査することについては、

    1. 年間7億件を超える診療報酬の審査支払を円滑に実施できる効率的な体制を確保する必要があること
    2. 医療機関に対して、保険者ごとにレセプトの請求先を変えるという新たな事務負担を課す場合、医師が患者の治療に専念できなくなり、医療機関、患者双方にとって好ましいこととは思われないこと
    3. 新たな特定の保険者のレセプトのみを審査前に抽出する作業を支払基金で行うことは、審査支払の効率性という観点から望ましいこととは思われないこと、また、たとえそれが実務的に可能であったとしても、当該作業に要する事務コストは支払基金に審査支払業務を委託している保険者全体の手数料に影響すること
    4. また、保険者が一次審査を行うに当たり、診療担当者側も納得のいくような公正な審査を保険者が行うことができなければ、診療担当者からの再審査請求の件数が増加し、かえって医療保険システムの審査支払が円滑に実施されなくなる可能性があること
    等の十分慎重な検討を要する課題があり、関係者の意向も踏まえ、検討する必要がある。

    中間公表に対する評価と再要望

    独占的に審査支払業務を受託する支払基金が、効率的に業務を行なっていることを示すのに足りるような情報は公開されていない。現在、多くの健康保険組合が、再度レセプト点検を実施し、再審査請求を行なっており、支払基金は、健康保険組合の信頼を得られていない。
    支払基金の業務を変更しなくとも、先駆的な医療機関と健康保険組合とが個別に契約を結び、被保険者に対して当該医療機関での受診を勧めることによって、当該健保組合のレセプトのかなりの部分が当該医療機関に集約され、レセプトデータを直接電子媒体でやりとりし、審査・支払業務を電子化することが可能となる。個別契約ベースであれば、仕分けに伴う業務負担もそれほど重くなるとは考えられず、医療機関にとっても決済期間が短縮されるというメリットがある。健康保険組合側にとっても、コスト合理化に加えて、被保険者の疾病予防の充実が図られるメリットがある。このような取組みを認めることによって、他の医療機関、健康保険組合の取組みを促すべきである。


  3. 健康保険組合の適用・給付業務の外部委託
  4. 規制改革要望(2000年10月17日)

    健康保険組合の適用・給付業務の外部委託を可能とすべきである。

    所管官庁
    厚生労働省

    担当課等
    保険局保険課

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  ■検討中  □措置困難  □その他  □記載なし

    保険給付の決定や保険料の徴収といった公的医療保険を実施していく上で根幹となるべき業務は固有の事務として国の代行機関である組合自らが実施すべきものであるが、公的医療保険制度の枠組みの中で、運営の効率化を図るため、健康保険組合が組合事務を補完する観点からその事務処理の一部を民間事業者等に委託することは可能であると考える。具体的にどのような業務を委託したいと考えているか、明確にしていただきたい。

    中間公表に対する評価と再要望

    健保組合内で人材を育成し、ノウハウを蓄積するには、多くの時間とコストを要する。むしろ、既に専門的な知識・ノウハウ・人員を要する外部業者へ委託した方が、被保険者に対する良質な医療の提供や医療保険コストの効率化につながる。
    今後、外部委託を進めるに当たっては、外部委託する業務の範囲、委託者と受託者との間の責任分担のあり方等について、実務に携わる関係者の意見も踏まえて検討する必要があり、今後ともよく意見交換をしてまいりたい。


  5. 健康保険組合の事務処理手続等の簡素化、電子媒体化
  6. 規制改革要望(2000年10月17日)

    保険給付の時効が3年であることを踏まえ、保管スペース及び保管料の軽減を図る観点から、保管期間を3年程度に短縮すべきである。併せて、原本性確保等の条件整備を行なった上で、電子媒体による保存を可能とすべきである。
    健康保険に関する事業主からの各種届出書(添付書類を含む)について、電子媒体による届出を認めるべきである。併せて、健康保険の届出事務について、本社での一括適用を認めるべきである。

    所管官庁
    厚生労働省
    社会保険庁

    担当課等
    保険局保険課
    運営部企画課

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  ■検討中  □措置困難  □その他  □記載なし

    健康保険組合における診療報酬明細書の保存期間については、民法の債権の消滅時効が10年とされていることから(民法第167条)、10年と指導してきたところであるが、なお種々の観点から検討し、結論を得る。
    また、保存方法についても、電子媒体での保管について、原本性の確保等の問題を踏まえつつ、検討する。
    事業主から健康保険組合への磁気媒体による届出については、磁気媒体による届出システムの研究、健康保険組合の受入体制の確保等の課題も考慮しつつ、認める方向で引き続き検討する。
    健康保険組合を設立している事業所に対する一括適用については、それまで各事業所において行っていた事務を本社において一括して行うことによる本社の事務量の増加によって、健康保険事業の円滑な運営に支障がないよう、当該事業所に使用される被保険者の身分関係、指揮監督、報酬の支払等の直接の人事管理を受けているかどうか等に基づき社会通念上決定するものと指導しているところであるが、すでに厚生年金制度において一括適用が認められている健康保険組合の事業所については、一括適用を認める方向でその事務取扱方法を含め検討する。

    中間公表に対する評価と再要望

    企業や健保組合内部の業務の電子化は急速に進んでおり、当該規制によって、紙ベースでの届出や書類の保存を求められると、業務の効率化が妨げられる。したがって、各種届出及び保存の電子化を早急に認めるべきであり、そのための条件について、企業や健保組合の実務担当者の意見を踏まえて検討すべきである。特に、政府管掌健康保険組合については、届出の電子化が平成13年を目途に実現することとされており、そのシステムを参考に、組合管掌健康保険組合についても、早急に電子媒体による届出を可能とすべきである。
    また、全国展開する企業でも、情報処理システムの発達により、人事管理を一元化する所が増えており、業務の実態に合わせて、早急に一括適用を認める必要がある。


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