[経団連] [意見書] [ 目次 ]

新たな規制改革推進3か年計画の策定に望む

7.危険物・防災・保安分野


  1. 自主検査認定範囲の拡大
    1. 自主検査認定範囲の拡大【高圧ガス保安法】
    2. 規制改革要望(2000年10月17日)

      高圧ガス保安法では、保安検査及び特定変更工事に係る完成検査において、自主検査認定制度が設けられているが、適用範囲が限定されている(特定変更工事に係る完成検査の場合、処理量の増加が20%以内の変更工事に限定など)。
      現行の特定変更工事や特定施設の範囲を拡大すべきである。

      所管官庁
      経済産業省

      担当課等
      原子力安全・保安院保安課

      内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

      □措置済み・措置予定  □検討中  ■措置困難  □その他  □記載なし

      認定制度により、保安検査及び完成検査において自主検査を認めているのは、認定審査の際に確認した施設であって、2年以上稼動しているものである。
      これは施設の初期不良を考慮し、運転が安定したものについて自主検査を認めるとの考えによる。
      従って、処理能力の大幅な変更など施設を大幅に改造するおそれのある完成検査や、そうした改造直後の保安検査については、改造後の施設の運転の安定性が確認されないことから、自主検査を認めることは出来ない。

      中間公表に対する評価と再要望

      日常の運転管理・設備管理にあたる事業者自身が、関係法例を遵守し自己管理・自己責任のもとで、運転管理・設備管理状況を掌握し総合的見地から落成検査や性能検査を行うことは、安全確保上必要不可欠である。
      従って、高圧ガス設備処理能力の20%以上の増加を伴う変更などについては、保安検査や完成検査の認定追加申請の対象に含め、改造直後の設備についても自主検査の対象とすべきである。
      また、既存設備において初期不良に係る問題が既に解消している設備・機器を新たに設置する場合においては、稼動期間によらず自主検査化を認めるべきである。


    3. 自主検査認定範囲の拡大【消防法】
    4. 規制改革要望(2000年10月17日)

      消防法では完成検査認定制度が設けられているが、この制度は消防の検査証を取得する手順の一環であり、最終的には所轄署による許可が必要である。また、特定危険物タンクや大型タンク、及び変更工事に係る施設の仮使用については、認定制度の対象外である。
      現行の完成検査認定制度の対象を特定危険物タンクの変更まで拡大するとともに、自主検査の結果をもって、完成検査とするよう制度を変更すべきである。また、大型タンクの保安検査についても自主検査認定制度を設けるとともに、変更工事に係る施設の仮使用の承認を不要とする認定制度を設けるべきである。

      所管官庁
      消防庁

      担当課等
      危険物保安室

      内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

      □措置済み・措置予定  □検討中  ■措置困難  □その他  □記載なし

      市町村長等が実施する完成検査等の際に自主検査結果を活用することができるとしているものは、保安上の観点から特定の変更工事に限られているものであり、制度の拡大又は変更は困難である。
      大型タンクの保安検査については、当該タンクで災害が発生したときの周囲に及ぼす影響を勘案すると、自主検査結果をもって保安検査に替えることはできない。
      また、仮使用の承認は、変更の工事に係る部分以外の部分を、完成検査を受ける前においても仮に使用することに対して与えられるものであり、工事中における施設全体の保安確保上、当該承認を不要とすることはできない。

      中間公表に対する評価と再要望

      日常の運転管理・設備管理にあたる事業者自身が、関係法例を遵守し自己管理・自己責任のもとで、運転管理・設備管理状況を掌握し総合的見地から落成検査や性能検査を行うことが、安全確保上必要不可欠である。
      従って、危険物施設(特定屋外タンクを含む)についても一定の基準を満たす事業者について諸手続きを簡素化し、自主検査をベースとした認定制度とすべきである。


    5. 自主検査認定範囲の拡大【労働安全衛生法】
    6. 規制改革要望(2000年10月17日)

      労働安全衛生法では、毎年実施する性能検査及び設備設置時の落成検査は所轄署又は指定された検査代行機関が行うこととされており、事業者による自主検査は認められていない。
      現行の運転時検査認定制度を拡充し、ボイラー・一圧の毎年の性能検査(運転時又は冷缶時)を自主検査とするとともに、新たに落成検査を自主検査とする認定制度を設けるべきである。

      所管官庁
      厚生労働省

      担当課等
      労働基準局安全衛生部安全課

      内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

      □措置済み・措置予定  ■検討中  □措置困難  □その他  □記載なし

      ボイラー等は内部に膨大なエネルギーを保有しており、一旦事故となれば大きな被害をもたらすものであることから、その安全を確保するため検査は厳正に行う必要がある。ボイラー等の検査については、優良な安全管理体制を確立し、かつ、優良な安全管理実績を有する事業場を対象とした自己確認等のインセンティブ制度について検討する予定である。

      中間公表に対する評価と再要望

      日常の運転管理・設備管理にあたる事業者自身が、関係法例を遵守し自己管理・自己責任のもとで、運転管理・設備管理状況を掌握し総合的見地から落成検査や性能検査を行うことが、安全確保上必要不可欠である。
      また、高圧ガス関連設備とボイラー等の潜在危険性は、直火を用いない設備は基本的に同等であり、海外では廃熱ボイラー及び第一種圧力容器については、高圧ガス設備と同じ技術基準(ASME Code Section VIII)で設計・製作、維持管理されることが一般化している。これにより、システム(化学プロセス)の管理を操作圧力で区分するのではなく、システムとして一体的に管理することができる。
      従って、自己確認等のインセンティブ制度については高圧ガス保安法認定制度と同等の制度とすべきである。


  2. 施設地区等の配置規制に係る運用基準の見直し
  3. 規制改革要望(2000年10月17日)

    石油コンビナート等の第1種事業所では、施設地区の新設または変更において、石災法に基づき配置面での規制がなされている。
    現行の施設地区配置の運用基準では、主たる製造施設地区内へ配置出来る他の施設地区の配置は、混在面積を、500m2以下に限定し、これを越える場合には、貯蔵施設地区、用役施設地区、入出荷施設地区等に細分化して配置するよう指導されているが、これを見直し、合理的な施設地区の配置が可能な運用基準を制定すべきである。

    所管官庁
    経済産業省
    消防庁

    担当課等
    原子力安全・保安院保安課
    特殊災害室

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  □検討中  ■措置困難  □その他  □記載なし

    石油コンビナート等災害防止法のレイアウト規制は、周辺住民等への影響を少なくするとともに危険度の異なる施設を分類することにより当該事業所の安全の確保と当該事業所における消火活動を効率的に実施することを目的として実施している。(経済産業省、消防庁)
    その趣旨からレイアウト規制に適合させることは必要であるが、レイアウト規制の適用が物理的に困難な場合等には、安全の確保を前提にガードレールの設置、通路幅員の拡幅等代替措置を講ずることを認めており、弾力的な運用を図っている。(経済産業省)

    中間公表に対する評価と再要望

    本法施行から約25年が経過した。その間の石油、化学業界を取り巻く事業環境の変化や行政改革への要求に対応すべく、安全の確保を前提に、レイアウト規制の運用基準の見直しを行うべきである。

    1. 事業環境の変化に対応した規制
      わが国の化学業界では今後も、少量、特殊高機能化学製品の差別化を図る必要がある。これらはコンビナート区域にあっても、危険物等の保有量が少なく、小規模なプラントである。これら小規模製造施設に対しても、大規模製造施設と同じ思想で、一律にレイアウト規制をしようとすることは、社会的、事業環境の変化をなんら考慮していない措置と言える。コンビナートの実態を十分把握し、現実に対応した指導通達とすべきである。
      特に、製造施設地区内に設置できる他の施設の混在面積を500m2以下に限定する現行の運用基準については、直ちに見直しを行うべきである。
    2. 行政改革・地方分権の推進による申請コストと審査コストの削減
      事業者はレイアウト協議の度、北海道、沖縄等遠地より本省庁まで出向き、また、消防庁の担当官は、現場チェックのために全国に出向いている。効率化を図る上で、本法のレイアウト規制指導には地元(消防局等)で対応すべきである。


  4. 引火点130℃以上の油の危険物からの除外
  5. 規制改革要望(2000年10月17日)

    現在、規制緩和の検討がなされており、引火点250℃以上の高引火点液体を危険物から除外する方向が出されている。
    国際的水準(93℃)との整合性も考慮し、従来から高引火点として定義している130℃以上の油を危険物から除外すべきである。

    所管官庁
    消防庁

    担当課等
    危険物保安室

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  □検討中  ■措置困難  □その他  □記載なし

    130℃以上の引火点を有する引火性液体であっても引火の危険性を有するものであり、また、危険物施設における当該引火性液体に関する火災は多数発生しているため、危険物から除外することはできない。
    なお、引火点130℃以上の引火性液体を100℃未満の温度で取り扱う場合には、危険物施設の位置、構造及び設備の技術上の基準を緩和しているところである。

    中間公表に対する評価と再要望

    例えば製鉄業においては、使用する危険物の大半は油圧装置の封入油若しくは潤滑油である。これらを使用する機器を新たに工場内に設置する際、既存設備との関係で保有空地を十分に確保できない場合が多い。
    本来、引火点130℃以上の液体を危険物から除外することを求めるものであるが、中間公表の通り、『引火点130℃以上の引火性液体を100℃未満で取り扱う場合、危険物施設の位置、構造、設備の技術上の基準を緩和している』ということであれば、まずは保有空地に関する基準の緩和を進めるべきである。


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