[経団連] [意見書] [ 目次 ]

新たな規制改革推進3か年計画の策定に望む

12.通商分野


  1. 税関の執務時間外の輸入申告、貨物積卸
  2. 規制改革要望(2000年10月17日)

    税関執務時間を延長し漸次24時間、365日体制に移行することで、現在、執務時間外の貨物の取扱(輸入申告、積卸)に際して課されている手数料を廃止されたい。

    所管官庁
    財務省

    担当課等
    関税局総務課、業務課、監視課

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  ■検討中  □措置困難  ■その他  □記載なし

    • 税関の執務時間は平日の8:30〜17:00である。
    • 需要の多い税関では365日、24時間職員を常駐させており、その他の税関でも要員が確保できれば時間外の取扱が可能。
    • 税関職員の時間外勤務の実費として手数料を徴収している。
    • (執務時間外の)輸入申告については、事前に予備申告をした上でNACCSを利用した搬入即時許可が可能。
    • 執務時間外の貨物の積卸については、監視カメラ設置による監視体制の強化等に鑑み、事前許可制から事前届出制に移行することを検討中。

    中間公表に対する評価と再要望

    1. 税関職員が365日、24時間常駐しているにもかかわらず、平日の8:30〜17:30以外は手数料が必要というのは不合理であり、手数料の廃止が望まれる。
    2. 執務時間外の貨物の積卸について、早急に事前許可制から事前届出制に移行するよう要望する。


  3. 輸出規制対象地域及び要件の削減
  4. 規制改革要望(2000年10月17日)

    補完的輸出規制の対象地域を大幅に削減(特に、韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、タイ、マレーシア等のアジア諸国を中心として、輸出貿易管理令別表第4の2の国々を拡大)するとともに、規制要件の中の需要者要件を廃止すべきである。

    所管官庁
    経済産業省

    担当課等
    貿易経済協力局貿易管理部
    安全保障貿易管理課

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  □検討中  ■措置困難  □その他  □記載なし

    我が国の補完的輸出規制は全地域を対象としているが、不拡散政策を遵守していると認められる諸国(輸出貿易管理令別表第4の2に掲げる諸国)に対しては、経済産業大臣が許可を要すると通知する場合を除き、許可は不要とされている。今後、各国が自国における輸出管理制度を整備し、国際的な輸出管理レジームの全てに参加する等を通じて、不拡散政策を遵守していると認められる場合には、これら輸出貿易管理令別表第4の2に掲げる諸国と同様の取扱となりえるところである。
    また、我が国の補完的輸出規制に対し、諸外国においてはより対象を広げた形でのキャッチ・オール規制が導入されているところであるが、これらの諸国では単なる「ポジティブ・ノウ」に加えて、「ハブ・リーズン・ツゥ・ノウ(知るに足る)」要件を課している。この後者に対応するものとして我が国では、「輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令」の別表に掲げる行為を行なった旨が取引の過程で示された場合とすることとし、規制の実効性を担保している。この需要者要件に該当する場合には、当該貨物の懸念用途への転用のおそれが払拭されないことから、国際的な平和及び安全の維持を十分に確保することはできず、当該要件を廃止することは極めて困難である。

    中間公表に対する評価と再要望

    1. 規制対象地域:我が国の補完的輸出規制の対象地域は、まず全地域を対象として、別途、規制対象としない国を輸出貿易管理令別表第4の2に掲げている(いわゆるネガティブ・リスト方式)が、欧米諸国においては、規制対象となる国のみを規定している(いわゆるポジティブ・リスト方式)。結果として、我が国の規制対象国の数は、欧米諸国に比べて格段に多くなっており、事業者の負担が非常に大きい。特に、上記要望に掲げた国(韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、タイ、マレーシア等)は、基本的に欧米諸国では、核開発等の懸念がないことから、規制対象となっていない。事業者の甚大な手間とコストを考えると、我が国のみが、欧米諸国と異なる規制を導入する必要性及び根拠は見当たらない。
    2. 規制要件:我が国の補完的輸出規制の需要者要件は、欧米諸国の「ハブ・リーズン・ツゥ・ノウ(知るに足る)」要件に対応するとされている。しかし、需要者要件が判断基準を客観的に明らかにするために設けられているのに対し、「ハブ・リーズン・ツゥ・ノウ(知るに足る)」要件は、主観的な判断基準によるものであり、基本的に性格が異なる。欧米諸国の「ハブ・リーズン・ツゥ・ノウ(知るに足る)」要件については、我が国の用途要件及び行政指導によるノウ規制によって、十分にカバーされている。欧米諸国の規制に比べて広範かつ柔軟性に欠け、事業者への負担が大きい我が国の需要者要件は廃止すべきである。


  5. 電気用品技術基準の国際基準への整合化
  6. 規制改革要望(2000年10月17日)

    現行基準を早急に廃止し、国際規格であるIEC規格に整合的なJISを採用すべきであり、整合化について、時期及び計画・スケジュールを示すべき。

    所管官庁
    経済産業省資源エネルギー庁
    原子力安全・保安院

    担当課等
    電力安全課

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  □検討中  ■措置困難  □その他  □記載なし

    強制法規である電気用品安全法上、法目的の異なる法令に基づく任意規格の採用は困難。 IEC規格への一本化については、製品の設計変更、製造、検査設備の変更等を伴い、事業者への影響が大きいこと、また製品コストアップによる利用者への影響が大きいこと等から、早急な一本化は過大な負担を招くこととなり困難。
    なお、IEC規格の取り込みについては、引き続きIEC規格の新たな発行や改訂に併せ対応して行く予定。

    中間公表に対する評価と再要望

    「経済構造の変革と創造のための行動計画 ―新たな経済成長に向けての新行動計画―」(2000年12月1日閣議決定)の「II.国際的に競争力を持った事業環境の整備、3.国境を越える事業活動を円滑化するための環境整備、(1)基準・認証制度等の見直し、<2>JIS制度の改善」において、「可能な限りJIS規格と強制法規の技術基準等との整合化を図ること」及び「民間能力を活用した効率的かつ国際的にも一層整合性の取れた工業標準化制度とすること」を明確に打ち出しており、「早急な一本化は過大な負担を招くこととなり困難」という今回の回答では、明らかに対応が不十分である。
    また、「IEC規格への一本化については、事業者への影響が大きい」とあるが、現行のように、二本立ての技術基準を継続する方が事業者に対し二重の負担を強いていることになる。
    さらに、IEC規格は、技術が急速に進歩するなか、社会の現実と技術基準との乖離を防ぐため、定期的(5年毎)に技術基準を見直すルールがあるが、電気用品安全法(電気用品取締法)ではこのようなルールはない。実際に、我が国では、平成2年以来、技術基準の改正が全くなされておらず、消費者保護の観点からも安全予防の機能を果たしているとは言えない。
    少なくとも、早急に、IEC規格の取り込みに関して、今後の計画・スケジュールを明確に示すべきである。


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