[経団連] [意見書] [ 目次 ]

新たな規制改革推進3か年計画の策定に望む

13.農業分野


  1. 小麦の内外価格差の是正
  2. 規制改革要望(2000年10月17日)

    1. 国内産小麦の生産性向上を図り、小麦の政府買入価格を目標を定めて段階的に引き下げるとともに、政府売渡価格を継続的に引き下げる。
    2. 一般輸入におけるマークアップの一層の引き下げを図る。
    3. 国内産麦の位置づけ、国内産麦の生産振興とその費用負担のあり方などを巡る検討をさらに深め、内外価格差の是正に直接つながる制度を構築する。

    所管官庁
    農林水産省

    担当課等
    食糧庁計画流通部計画課

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    ■措置済み・措置予定  □検討中  □措置困難  □その他  □記載なし

    • 小麦の政府買入価格については、その年々の生産費、需給動向、物価その他の経済事情を参酌し、毎年定めることとされており、また、政府売渡価格については、その年々の家計費及び米価その他の経済事情を参酌し、毎年定めることとされている。
    • 政府売渡価格の算定方式については、民間流通への移行に伴い、政府買入れが不要となった際には、費用負担関係の透明性が一層向上するような新たな算定方式に移行することとしている。
    • 「新たな麦政策大綱」に基づく施策の見直しに際しては、内外価格差の現状、国際化の進展に対応していくため、生産者、実需者及び政府それぞれが新たな麦政策の方向に即したコスト削減等の総合的な努力を行なう必要がある。

    中間公表に対する評価と再要望

    「新たな麦政策大綱」に基づき、国内産麦の民間流通への移行が進んだ点は、小麦に関する内外価格差の是正と国内産麦の品質向上の観点から評価できる。しかし、既に、民間流通への移行が相当程度進み(平成13年度産麦の民間流通は99.7%になる予定)、政府買入れが不要になりつつあるなかで、費用負担関係をより一層明確にし、内外価格差の是正に直接つながるような新たな制度に転換すべき時期となっている。
    現在、国内産麦の生産維持を図るため外国産麦の売買差益を財源とする「麦作経営安定資金」が設けられているが、本制度は消費者負担型であり、消費者の視点を重視する今回の農政改革にはそぐわない制度と言える。
    今後、生産性の高い、地域の中核的農家を育成する観点から、国民の同意が得られる形で、対象農家を限定して、直接所得補償を行なう政策への抜本的な見直しを早急に図る必要がある。


  3. 砂糖の価格制度のさらなる見直し
  4. 規制改革要望(2000年10月17日)

    現行の最低生産者価格支持のための調整金徴収制度を見直し、国内原料糖生産維持のためのコストについては、国民の支持が得られる範囲で、特に維持する必要性が認められる農家に対し限定的に直接的な所得補償を行なう等の形で補うこととし、結果として、最低生産者価格、及び国内砂糖価格の引下げが実現するよう、抜本的な見直しを図るべきである。

    所管官庁
    農林水産省

    担当課等
    生産局特産振興課

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  □検討中  ■措置困難  □その他  □記載なし

    平成11年9月に決定された「新たな砂糖・甘味資源作物政策大綱」に基づいて法律改正等を行い、平成12年10月から新たな糖価調整制度が開始されたところである。この中で、市場原理を活用した最低生産者価格及び国内産糖価格等の形成の実現を図るほか、輸入糖調整金を時限的に減額するとともに、関係者の再編・合理化を積極的に推進することとしている。

    中間公表に対する評価と再要望

    「新たな砂糖・甘味資源政策大綱」に基づいた種々の見直しは、市場を踏まえた適正な価格形成という観点から一歩前進と言える。
    しかし、生産者農家対策等のコストを輸入等調整金として徴収し、国内砂糖価格を支持するという点で消費者負担型の制度であることは変わらず、今日進められている消費者の視点を重視する農政改革にはそぐわない。
    特に救済すべき農家に対しては、社会政策的観点から、既存の農業関連予算を見直すなかで別途財源を確保して、国民の合意が得られる形で、直接所得補償形式により対応することが望ましい。


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