[経団連] [意見書]

企業及び事業者団体の消費者契約法施行にあたっての対応状況等について

〜「消費者契約法の施行準備等に関するアンケート」の集計結果〜

2001年4月20日
経団連 経済本部

  1. アンケートの趣旨
  2. 経団連では、2001年4月1日より施行される消費者契約法について、わが国における立法の是非と法律の方向性の議論にあたり、1998年12月に意見書を公表し、規制緩和と自己責任原則に沿う「消費者契約法」の立法について時代の趨勢や各国の現状を勘案すれば基本的に賛成である、との立場を示した。
    一方、意見書の中では、「現行問題のない取引については、新法の波及による無用の混乱を起こしてはならないものと思料する」と、立法が一般の事業活動について無用のコスト負担をかけることの無いよう求めている。
    こうした観点から、経団連では消費者契約法の立法が事業者に与えた影響について検証するために、経団連会員の企業、事業者団体における本法の施行準備状況等についてアンケートおよびヒアリングによる調査を行った。
    また併せて、企業,事業者団体における消費者教育への取組みと、消費生活センター等の裁判外紛争処理機関における事業者の紛争処理の経験についても調査した。

  3. 調査方法
  4. 対 象:
    経済法規委員会ならびに消費者法部会、その他各種事業者団体(計 151社、33団体)
    時 期:
    2000年11月〜2001年3月
    回 収:
    計 65社、13団体 (有効回答 54社 10団体)
    方 式:
    各設問に対する自由回答および個別のヒアリングによる確認

  5. アンケート結果の具体的内容
    1. 消費者契約の締結段階について
    2. (1) 企業の対応状況

      消費者契約に関わるほとんどの企業が、消費者契約法の施行にあたって何らかの対応を行っている。
      具体的な対応の中身としては、消費者トラブルの未然防止のための対応が中心を占めた。
      実際に契約締結過程に関わる第一線の営業・販売担当者や系列の販売会社、販売代理店等に対して、消費者契約法に関する研修・教育等を行い、周知を図ったという回答が最も多く、それに、情報提供や販売方法のあり方に関するマニュアル等を策定、あるいは改定したという回答が続いた。その他、重要事項について消費者にわかりやすく説明する資料の作成や、商品説明パンフレットの見直しなどの対応例が紹介された。
      一方で、一部ではあるものの、後日の紛争発生に備え、商品のリスク等に関する情報提供や消費者の契約意思などについて、新たに確認のための書面を作成することとし、書類の保存についてのルールを定めることとしたといった対応も見られた。

      [表1-1] 企業の主な取組み
      1.営業員、販売員、系列販売会社等に対しての周知20社
      2.マニュアル、Q&A、ガイドライン等を策定・改定17社
      3.契約締結過程について点検したが新たな取組みの必要はなかった7社
      4.消費者用の「重要事項」についての説明資料の作成4社
      4.商品説明パンフレットの見直し4社
      (注) その他、申込書や契約書を読みやすくなるよう見直した、商品のリスク等に関する情報提供や消費者の契約意思などについて確認のための書面を作成・保存することにした、など。

      (参考1:取組みを行わなかった理由)
      1.消費者契約の締結過程に関わることが全くない11社

      企業の取組み事例

      A社の取組み
      社内関連部門を横断的に組織したプロジェクトチームを組成し、契約締結時の説明の充実のための諸方策を多角的に検討している。
      この中で、商品の内容について特に重要なものとして説明を行うべき事項を、法令及びお客様からのお申し出に基づきチェックを行い、それを、より、お客様がわかりやすい形で説明・提示するための方法及び営業職員への教育方法についての検討を行っている。
      上記の検討を1月中には終了し、以降実際に社内研修等により徹底を図っていく予定である。

      (2) 事業者団体の対応状況

      それぞれの業種において、何が契約の重要事項にあたるかなど法律の解釈について検討・確認を行う、情報提供や販売方法についてガイドラインを策定するといった動きが見られた。

      [表1-2] 事業者団体の取組み
      「重要事項」等法律の解釈について検討し、当局と確認した4団体
      情報提供や販売方法についてガイドライン等を策定した2団体

      事業者団体の取組み事例

      全国銀行協会の取組み
       <「消費者と契約のあり方に関する留意事項」の制定>
      消費者契約法の制定に先立って、1999年3月に「消費者との契約のあり方に関する留意事項」を制定し、会員銀行あて通知した。
      これは、金融ビックバンを迎えるなかで、多様化が進む金融商品・サービスについて、消費者の理解をより深め、消費者自らが必要な情報にもとづいてこれらの商品、サービスを選択・活用できる環境を整えていく必要があるとの認識のもと、消費者契約法の制定に向けた検討状況等を参考にしながらまとめたものである。
      このなかでは、
      1. 金融商品・サービスに関する情報提供、
      2. 重要事項の説明、
      3. 契約締結意思等の確認、
      4. 契約書面の写しの交付
      等、契約の締結にあたって留意しなければならない事項をまとめている。

       <「金融商品販売法に関する意見交換結果」の取りまとめ>
      2000年4月に「金融商品販売ルール等検討部会」を設置し、主として金融商品販売法の「重要事項」に関する説明義務に関して意見交換を重ね、2000年10月にその意見交換結果を取りまとめ、会員銀行あて、還元した。
      また、このほか、消費者契約法の「重要事項」について経済企画庁にヒアリングを行う等、遵守すべき事項の明確化に努めた。

      日本自動車販売協会連合会の取組み
      「消費者契約法の対応について」(対応のポイント、取引・契約の事例の考え方)という印刷物を作成し、昨年10月〜11月にかけて、全国11ヶ所で研修会を開催した(講師は顧問弁護士)。
      その後、県別の研修会開催の要望もあり、数箇所追加で開催した。

      住宅生産団体連合会の取組み
      消費者契約法について、専門委員会にて検討を行い(2000年6〜9月)、「住宅生産者のための知っておきたい消費者契約法−ガイドブック−」及び「住宅の請負契約における顧客とのトラブル回避のためのガイドブック」を作成。住団連の主催する全国4箇所(東京、大阪、福岡、名古屋)におけるセミナーにて、テキストとして使用するとともに、別途販売を行っている。

    3. 消費者契約の内容について
    4. (1) 企業の対応状況

      製造業など消費者との直接の契約がない企業、あるいは、チェーンストアなど消費者との契約にあたって契約書を使用していない企業を除き、ほとんどの企業が、自社の契約条項について消費者契約法に沿ったレビューを行っている。
      調査対象の企業の中では、契約内容に何らの問題も見つからず、契約条項を改定する必要がなかったとする企業が多数を占めた。
      また、契約条項の改定を行った、あるいは、予定している企業の中でも、「消費者契約法に抵触する(おそれがある)から」という理由で改定した企業だけではなく、これを機会に契約の内容をより平易・明確なものにするという理由で取組むとする企業も見られた。

      [表2-1] 企業の主な取組み
      1.契約内容について点検したが、改定する必要が無かった16社
      2.契約内容について点検中である15社
      3.契約条項の改定を既に行った7社
      4.契約条項の改定を行う予定である1社


      (参考2:取組みを行わなかった理由)
      1.消費者との契約関係がない7社
      2.消費者との契約にあたって契約書を使用していない2社
      (注) 参考1の「消費者契約の締結過程に関わることがない」と回答した企業より参考2の「消費者との契約関係がない」と回答した企業が少ない理由は、メーカーは消費者に直接製品を販売しない場合でも、消費者との間に製品に関する保証契約を結んでいることによるものと思われる。

      企業の取組み事例

      B社の取組み
      消費者向けのソフトウェア製品の使用許諾契約、ネットワークサービスの利用約款等につき、免責・責任制限条項を中心に見直しを検討中。

      C社の取組み
      消費者向け製品の保証書には、すでに「この保証書によってお客様の法律上の権利を制限するものではありません」との表示を行うことが業界団体の規約となっており、原則として新たな対応の必要がないと考えている。

      (2) 事業者団体の対応状況

      業界として現行の標準約款を見直したものの問題は無かったとする団体があった一方、問題となる可能性のある条項について改定する、あるいは、消費者契約法施行を機に約款の内容をより平易・明確なものにできないか検討するといった動きがあった。
      また、不当な条項についてガイドラインを策定する、各社の契約条項の見直し事例等を取りまとめたものを配布する、あるいは、新たに消費者専用の標準約款を策定する、といった事例が紹介された。

      [表2-2] 事業者団体の取組み
      業界の標準約款について検討をおこなった3団体
      (注) その他、不当な条項に関するガイドラインの策定、契約条項見直しに関する事例集の配布、消費者専用約款の策定など。

      事業者団体の取組み事例

      日本自動車販売協会連合会の取組み
      昭和59年来、モデル注文書及び裏面特約条項、売買契約条項を定め、注文書の監修を実施している。
      現状、不当条項に該当するような条項は無いと判断している。

      生命保険協会の取組み
      平成11年5月以降、行政担当者を招いて会員会社向けの勉強会を計4回実施し、その中で解釈等についての確認を行った。
      生命保険会社では、個別に約款を作成しているが、当法律の施行により、修正が必要とされる条項はないものと思われる。

    5. 消費者対応窓口について
    6. (1) 企業の対応状況について

      従前より苦情相談窓口等を整備しており、消費者契約法の立法に伴っての新たな対応はないとする企業が多数であった。
      一方で、新たな類型の消費者トラブルの増加を懸念する、あるいは、これを機に消費者対応を充実しCS(顧客満足)の向上を図る、といった観点から、消費者窓口等の新設・強化を行う、消費者からの苦情相談への対応に関するマニュアルを策定または改定するといった企業も見られた。

      [表3-1] 企業の主な取組み
      1.従前より苦情相談窓口等を整備しており新たな対応はない24社
      2.消費者窓口等の新設・強化9社
      3.苦情相談対応マニュアル等の策定・改定8社
      4.消費者窓口等の担当者の研修・教育6社
      5.検討中6社

      企業の取組み事例

      D社の取組み
      従来からお客様相談室を設けて対応しており、最近ではインターネットによる消費者相談コーナーを新設してトラブルの解決を図っている。また、ガイドブック「お客様相談の心構えと実務」により全国統一した判断基準を定めて対応している。

      (2) 事業者団体の対応状況

      企業の対応状況と同様、従前より苦情相談窓口等を整備しているとする事業者団体が多かったが、従前より契約トラブルについては消費生活センターを紹介している、会員企業に対して苦情相談窓口の強化を要請する予定である、とする団体も見られた。

      [表3-2] 事業者団体の取組み
      従前より業界としての苦情相談窓口・手段を設けている4団体
      (注) その他、法律成立後会員会社の相談業務担当者を対象に行政担当者を招いて勉強会を実施した、従前より契約トラブルに関しては消費生活センターを紹介している、会員企業に対して苦情相談窓口の強化を要請する予定である、など。

      事業者団体の取組み事例

      日本自動車販売協会連合会の取組み
      従前より自販連本部及び53支部に消費者相談窓口を設け、消費者(消費生活センター)と販売会社の間に立ち、公平な立場でトラブルの円満解決を図っている。また、組織内に「消費者問題専門部会」を設置し、消費者問題の研究に努めている。

      生命保険協会の取組み
      業界団体として本部に生命保険相談所、全国の地方事務室に相談連絡所(53ヶ所)を設置し、契約者をはじめ広く消費者からの生命保険に関する相談・照会に応じている。近年の相談件数の増加に伴い、電話回線の増加、相談員の増員により相談処理体制の充実・強化を図ってきており、消費者契約法の施行により、特段の対応をとるまでもないものと考えている。

      全国銀行協会の取組み
       <「苦情の受付と解決促進に関する規則」の制定>
      1999年9月に、全国各地に54か所設置している銀行よろず相談所に共通する「苦情の受付と解決促進に関する規則」(全銀協ホームページ等で公表)を制定し、同年10月1日から施行した。
      また、同規則にもとづいて「銀行よろず相談所全国連絡会議」を設け、苦情の受付や対応についてレベルアップを図るとともに、苦情紛争処理(弁護士仲裁センターへの取次ぎを含む)のマニュアルを作成した。

       <「銀行よろず相談所運営懇談会」の設置>
      2000年10月に、全国各地の銀行よろず相談所の運営に関して外部からの意見等を聴取するため、法律学者、消費者行政機関、消費者団体、弁護士会といった外部有識者からなる「銀行よろず相談所運営協議会」の設置を決定し、2001年1月より活動を開始した。

    7. その他の取組み
    8. (1) 企業の対応状況について

      その他の企業の取組みとしては、消費者契約法の内容について、社内LAN掲示板や社内報に掲載するといった方法で、全社的に周知を図ったとする企業が多かった。
      また、消費者契約の内容に関連して、今後新たに消費者契約を締結する、あるいは約款を作成する際には、全て法を意識した専門的なチェックを行うとする企業もあった。

      [表4-1] 企業の主な取組み
      1.消費者契約法の内容について全社に対する周知13社
      2.今後の消費者契約については法務部等で専門的なチェックを行う2社

      企業の取組み事例

      E社の取組み
      消費者契約法の趣旨、概要について、関係部署等に個別に通知するとともに、様々な社員教育の機会に周知を図っている。また、4月1日の施行の直前に、改めて全社的に注意を促す予定である。

      F社の取組み
      消費者契約法の内容、留意点を全社に通知し、周知を図るとともに、消費者向け取引を手がける場合には全てその説明パンフレット、広告文面、契約書類等を法務部門でチェックする。

      (2) 事業者団体の対応状況

      法律の内容や業界における注意点等について、説明会や資料等を通じて周知をはかったとする団体があった。

      [表4-2] 事業者団体の取組み
      法律の概要等について会員企業等に対する説明会を開催した6団体
      法律の概要・留意点について会員企業等に通知した3団体

      事業者団体の取組み事例

      日本自動車販売協会連合会の取組み
      「消費者契約法の対応について」(対応のポイント、取引・契約の事例の考え方)という印刷物を作成し、昨年10月〜11月にかけて、全国11ヶ所で研修会を開催した(講師は顧問弁護士)。
      その後、県別の研修会要望もあり、数箇所追加開催。


      (注) 以下、5、6の調査結果取りまとめは、消費者契約法の施行に直接関連するものではない。


    9. 企業、事業者団体の消費者教育への取組み
    10. (1) 企業の取組みについての分析

      商品・サービスや関係する制度についての情報をまとめ、小冊子や広報誌、マスコミ、インターネット等を通じて広報活動を行い、周知を図ることで消費者教育を行っているとする回答がもっとも多かった。
      次いで、消費者窓口に寄せられた個別の問合せ・相談に回答することで情報提供を行い、消費者教育を図るとする回答が多かった。個別の対応は、消費者のニーズにきめ細かい対応ができる一方、窓口担当者や消費者によって対応の中身にバラツキが出る懸念があるが、こうした観点からも[表3-1]の3.に示された、苦情相談マニュアル等の策定・改定が行われているものと思われる。

      [表5-1] 企業の主な取組み
      1.広報活動(小冊子、広報誌、マスコミ、インターネットなど)22社
      2.窓口へ寄せられた問合せへの回答による情報提供(注)13社
      3.教育機関、消費者講座、公共機関への人材(講師など)派遣4社
      4.消費者向けの講座2社
      4.国民生活センターや消費者団体への情報提供2社
      (注) インターネットのホームページ上に解説した問い合わせ窓口での情報提供を含む。

      企業の取組み事例

      G社の取組み
      • (財)経済広報センターとのタイアップ行事として、全国各地の消費者代表の方々への、環境への取組みや製品安全に関する情報の提供等。
      • 各地消費者センターが主催する消費者啓発講座への講師派遣。
      • 各地消費者センターの行事へ啓発資料提供(ex.大阪府消費者プラザのACAP紹介コーナーへ啓発資料常設展示。)
        (注) ACAP:(社)消費者関連専門家会議
      H社の取組み
      商品、制度等についての消費者向けパンフレットを作成し、消費生活センターへ配布している。

      I社の取組み
      商品に関し、インターネットのホームページで消費者に対するQ&A集を作成中である。

      (2) 事業者団体の対応状況

      事業者団体の大半が、商品・サービスや関係する制度についての情報をまとめ、小冊子や広報誌、マスコミ、インターネット等を通じて広報活動を行い、周知を図ることで消費者教育を行っている。特に事業者団体として取りまとめた小冊子は、各地の消費生活センターにて配布されることが多い。
      その他、消費者窓口に寄せられた個別の問合せ・相談に回答することで情報提供を行う、高等学校の教諭を対象としたセミナーを行う、といった例も見られた。

      [表5-2] 事業者団体の取組み
      広報活動(小冊子、広報誌、マスコミ、インターネットなど)5団体
      (注) その他、消費者窓口に寄せられた個別の問合せ・相談に回答することで情報提供を行う、高等学校の教諭を対象としたセミナーを行う、など。

      事業者団体の取組み事例

      日本損害保険協会の取組み
      消費者契約法の立法以前より、消費者や消費者団体等に対して以下の情報提供活動等を行い、損害保険業や保険商品に関する理解の促進を図っている。
      (1) 消費者に対する活動
      • 損害保険の概況や、日常生活とかかわりの深い保険商品等を解説した各種冊子等を無償配布
      • 全国の消費者団体、自治体等が主催する消費者講座
      • 勉強会等への講師派遣等
      (2) 学校教育に対する活動
      • 高校教師を対象に、損害保険の動向や関連情報等をまとめた情報提供誌を全国の高校等へ配布
      • (財)経済広報センターが主催する教員に対する研修の受入先となり、損害保険に関する講習等を実施
      (3) 消費者団体に対する活動
      • 相談員向けの損害保険に関する相談事例集、ガイドブックを消費者団体へ無償提供
      • 消費者の苦情、相談等に関する情報収集、要望把握のため、消費者団体との懇談会を実施

      日本化粧品工業連合会の取組み
      化粧品に関わる各種情報を盛り込んだ「コスメチックレポート」を年4回作成し、都道府県、市町村の消費者センターに配布し、これらの機関を通じての消費者啓発を続けている。

      日本自動車販売協会連合会の取組み
      通産局、消費生活センターの担当者を対象に「自動車相談ブロック懇談会」を平成4年以来、毎年各地で開催し、相互理解に努めている。

      生命保険協会の取組み
      従前より、消費者に生命保険についての知識・理解を深めていただくため、以下のような情報提供資料を作成し、当協会本部および全国54ヶ所の地方事務室に配備するとともに、冊子については、希望者に無償で提供している。また、会員各社のディスクロージャー資料のファイルおよび会員各社が作成している「生命保険の種類のご案内」については、本部および全国の地方事務室に備え置くとともに、全国の消費生活センター(約350ヶ所)に無償で配付し、備え付けをお願いしている。
      (1) 保険種類の内容・商品選択に関する情報提供
      1. 「生命保険の種類のご案内」ファイル
      2. 生命保険種類一覧<冊子>
      3. 生命保険契約ガイド<冊子>
        (契約時の注意事項や保障の見直し、上手な継続方法等をわかりやすく解説)
      4. 生命保険商品ガイド<冊子>
      (2) 生命保険会社の業務および財産の状況に関する情報提供
      1. 「生命保険会社のディスクロージャー資料」ファイル
      2. 「虎の巻〜生命保険会社のディスクロージャー」<冊子>
        (生命保険会社のディスクロージャー資料の読み方をわかりやすく解説)
      また、迅速かつ正確に情報を発信するための手段として、インターネットのホームページを通して、「生命保険の基礎知識」「生命保険用語解説」「目的にあった生命保険の種類」等の基礎的な情報提供、ディスクローズに関する情報提供、生命保険に関する協会および各社の相談窓口の告知等を行ってきた。
      (生命保険協会ホームページアドレス http://www.seiho.or.jp/

    11. 各種裁判外紛争処理機関について (回答12社)
    12. (1) 利用した経験のある機関

      取引問題に関しては、消費生活センターを筆頭に、国民生活センター、弁護士仲裁センター、訪問販売協会の利用例が紹介された。
      品質問題に関しては、PLセンターのほか、建築紛争審査会、通産省製品技術センター(当時)などの利用例があった。

      (2) 裁判外紛争処理機関のメリット

      全般的な裁判外紛争処理機関のメリットとして、裁判に比べて少額で早期解決が図れることを指摘する企業がその大半を占めた。決着に要する期間としては、概ね2週間〜1年ということであった。
      取引問題に関する消費生活センターのメリットとして、特に指摘されたのは、センターの中立性であり、メーカーとの相対交渉では消費者の納得が得られないケースでも、第三者による中立性が消費者の納得を得やすいとの声があった。
      一方、品質問題に関するPLセンターのメリットとして、利用経験のある企業のほとんどが、審査委員の技術的あるいは法律的専門性を挙げている。

      (注) 単純比較はできないが、平成10年度の民事通常訴訟事件の平均審理期間(第一審)が9.3ヶ月であるのに対して、全国の弁護士仲裁センターの仲裁申し立てから解決するまでの期間は83日となっている。消費生活センターの苦情処理に関しては、厳格な手続きがない等の理由から、解決までに要する期間に関するデータはない。
      (3) 裁判外紛争処理機関のデメリット

      裁判外紛争処理機関のデメリットとして、裁判外紛争処理機関の性質上、企業側が柔軟な姿勢を見せても消費者が頑なな態度をとりつづける限り、最終的な解決に至らないこと、つまり強制力がないことが指摘された。
      その他、消費者が何を主張しているのか見えてこない、示談金の算定根拠がわからない、解決がロジカルではない、など解決に至る道筋の不透明性を指摘する声も数例あった。また、紛争処理機関の担当者によって知識のレベルにばらつきがあることを指摘する企業もあった。
      今後、こうした企業の声に応え、紛争処理手続についてのガイドラインを明確にする、紛争処理機関の担当者の研修を充実するなどといった対応がとられることが期待される。

  6. まとめ
    1. 調査対象となった経団連会員企業、事業者団体のうち、消費者取引に関わるほとんどの企業、事業者団体が、消費者契約法の施行にあたり、何らかの準備作業を行っている。

    2. 現段階で事業者にある程度のコスト負担があることは確かであるが、対応の内容については各業種・業態、各事業者団体、各企業によって様々であり、コスト負担の程度について一概に結論付けることはできない。

    3. 一方で、消費者契約法の立法を機に、消費者への情報提供を積極的に行う、契約条項を分かりやすく改める、などの対応を、消費者の信頼を勝ち取る営業戦略の一環として進める企業、事業者団体も見られた。

    4. 消費者契約法が、健全な市場の育成に資するか、消費者による法律の濫用や事業者の過剰な対応を招き、市場に無用の混乱を引き起こすかは、消費者契約に対する消費者と事業者の立法趣旨と対応の定着の度合いと、司法改革や行政の消費者政策の行方に負うところが大きく、引き続き注意深く見守る必要がある。

以 上

日本語のホームページへ