[経団連] [意見書]

「経済産業省における法令適用事前確認手続に関する細則」に対する意見

2001年5月11日
(社)経済団体連合会
行政改革推進委員会
専門委員会

本年3月27日に、行政機関による法令適用事前確認手続(いわゆる日本版ノーアクションレター制度)に関する統一指針が閣議決定された。これを受け、各省庁は細則の策定作業を進めている。

経団連としては、既に、政府の統一指針とりまとめの際に意見を提出し、その中で、本制度の整備過程等において、公正で透明な手続きにより行なわれるべきことを指摘したところである。今般、経済産業省が、他省庁に先駆けて細則案を策定し、パブリック・コメント手続に付したことを評価しており、本制度が、新たな事業活動を迅速な展開を望む民間事業者にとって、より利用しやすく公正・透明性の高い制度となるよう、以下の点にも配慮されたい。

なお、本制度は、民間企業のとりまく環境変化の著しい分野や新しい商品・サービスの創造が期待できる分野(例えば、金融、IT関連、医療・福祉、環境等)を中心に、2001年度より幅広く実施すべきであり、経済産業省のみならず、関係省庁において、早急に細則案を取りまとめ、パブリック・コメント手続に付すべきことを期待する。


[ 要望事項 ]

1. 制度の対象法令(条項)の範囲の拡大

(1) 純粋直罰規定の前提となる法令解釈も対象に

業務範囲等の行為規制が課されている場合でこれに違反した場合に適用される罰則、いわゆる純粋直罰規定の前提となる法令の解釈も対象とする。

(2) 地方公共団体に分権されている事務に関する法令解釈も対象に

地方公共団体に分権されている事務(法定受託事務、自治事務)に関する法令解釈を制度の対象とする。

2. 照会手続の円滑な運用

(1) 複数課室にまたがる事案の窓口設置

照会窓口について、経済産業省内(外局を含む)の複数の課等に関連する可能性のある事案に関し、照会者の相談に応じ関連する課等を教示する、あるいは担当課等に移送する窓口を、大臣官房内に設ける。

(2) 資格要件に関する照会者への理由付記等

照会者に対し、資格要件を備えていない旨を通知する際には、その具体的理由を付して通知するとともに、適切に補正がなされた場合は審査を開始する。また、理由を記した書面(電子的手法を含む)の交付を照会者から求められた場合には、これを交付する。

(3) 照会書の補正要件の明確化等

照会窓口が照会者に対して照会書の補正を求めることができる場合を極力具体的に明示するとともに、補正要求の際には、その内容及び理由を明確に示す。また、照会者が補正に応じない旨を明らかにした場合には、直ちに審査を開始し、回答期間内に回答(回答しない場合は理由を付してその旨)を照会者に示す。

3. 回答手続の運用改善

(1) 解釈、見解の付記

照会者への回答に際しては、回答の理由となる当該対象法令(条項)の解釈を極力具体的に付記するとともに、照会者が示した見解や結論を導き出した論拠に対しては、当局の見解を示す。

(2) 回答の迅速化、回答期間の延長期限の設定

回答期間内においても極力回答の迅速化を図る。また、回答期間を延長する場合、その上限(例えば照会を受け付けた日から60日以内)を設定する。

(3) 無回答事案の対応

無回答事案について、その理由を具体的に示し、回答が可能となるために必要な情報や既に明らかにされている逐条解説、一問一答集、同種類似の照会に対する既往の回答等の内容、所在等も提供する。

4. 公表遅延に係る運用改善

(1) 公表遅延要件の具体的内容の明確化等

公表の遅延を認める要件である「公表を遅延する合理的理由が認められる場合」について、情報公開法に定める不開示情報が合理的理由に該当することを明確にする等具体的内容を明らかにする。また、「公表を遅延する合理的理由が消失した場合」の運用(理由の明確化、照会者への通知等)を明確にする。

(2) 公表遅延の諾否期限の設定

公表遅延が応諾されない場合、あるいは公表遅延期間が希望に沿わない場合、公表遅延を希望した照会者が照会の取消しの申し出ができるよう、回答を行うに先立ち十分な期間(例えば14日前まで)を設けて、公表遅延の諾否等について回答する。

5. 見直し規定の導入

一定期間経過後、制度の実施状況を調査して、細則の見直しを行う規定を設ける。

以 上

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