日本経団連意見書：2003年度日本経団連規制改革要望 (2003-10-21)

＜基本的考え方＞
経済のグローバル化、サービス化、情報化等が進展し、ビジネス環境が大きく変化するとともに、働く者も働き方を自らで選択する傾向が強まっている。企業、労働者ともに多様な雇用機会を創出、拡大し、働き方の選択肢を多様化させるためには、雇用・労働分野の更なる規制改革を早急に進めるべきである。

派遣労働者特定行為（事前面接等）の全面解禁【新規】
派遣対象業務の拡大と派遣期間制限のさらなる見直し
企画業務型裁量労働制に係る規制の緩和
有期労働契約に係る規制の緩和
ホワイトカラーエグゼンプション制度の導入
外国人研修・技能実習制度の見直し
過重労働による健康障害防止措置の見直し【新規】
産業別最低賃金の廃止【新規】
フレックスタイム制における時間外労働時間の計算方法の見直し【新規】
労災保険の適用事業所に関する規制
雇用保険の継続事業の一括の要件の見直し
労災保険における継続事業のメリット制の増減幅拡大【新規】
障害者雇用調整金・報奨金の授受方法の拡大【新規】
勤労者財産形成制度の見直し
ハローワークにおけるフランチャイズの独立オーナー募集の登録【新規】
技能検定における学科試験の免除【新規】
キャリア形成促進助成金（訓練給付金）の支給対象の拡大【新規】
移動高年齢者等雇用安定助成金の受給要件の緩和【新規】
６０歳定年退職時の手続き簡素化【新規】
派遣元事業主から派遣労働者に対する通知等のＥメール等の解禁【新規】
雇用保険申請（給付金の申請を含む）事務の電子化

２．医療・介護・福祉分野

＜基本的考え方＞
医療サービスの高度化・効率化を推進するためには、構造改革特区における状況等をみながら、営利法人による保険医療機関の経営を特区以外にも広げていくとともに、医療機関に関する評価体制や情報提供の充実を図る必要がある。
また、介護保険については、制度施行後５年後の見直し作業が始まっており、多様なメニューの中から、自己負担とサービス内容に応じて選択できるなど、利用者の選択肢を拡大することが求められている。

社会保険診療報酬支払基金から保険者に送付するレセプトの電子媒体化
調剤報酬明細書の審査請求の見直し【新規】
国保連によるレセプト審査・支払業務のアウトソーシング化
保険者と医療機関の直接契約に係る規制緩和【新規】
営利法人による保険医療機関の経営
営利法人が経営する病院の地域医療支援病院としての承認
いわゆる「混合診療」の容認【新規】
電子化された診療録の外部保存と情報活用
特殊ＣＴ撮影、特殊ＭＲＩ撮影の診療報酬における施設基準の特定機能病院に対する緩和
医療機関及び医療用医薬品に関する広告規制の緩和
新医療用具の保険適用時期の適正化、及びいわゆる「混合診療」の容認
医療用具製造承認の一部変更承認に伴う保険適用希望書の簡略化【新規】
在宅医療で使用する注射薬の規制緩和
介護保険の給付対象となる福祉用具等の指定制度の弾力化
「厚生労働大臣が定める福祉用具貸与に係る福祉用具の種目」の拡大【新規】
保育所の施設基準の見直し【新規】

３．企業年金分野

＜基本的考え方＞
企業年金（厚生年金基金及び確定拠出年金、確定給付企業年金）は、経済情勢の変化を見据えて企業側並びに従業員側の要望に対応できるように、柔軟な制度設計が容認される必要がある。
とくに、確定拠出年金については、拠出限度額を大幅に引き上げるとともに、マッチング拠出や、脱退一時金の受給要件の緩和を含め中途引出しの容認など、自己責任、自助努力による老後の生活保障の確保を支援するために、柔軟な運用を図ることが求められている。

確定拠出年金における中途引出し要件の緩和
確定拠出年金の加入対象者の拡大
確定拠出年金における掛金の拠出限度額の引上げ【新規】
企業型確定拠出年金における掛金の本人拠出の容認【新規】
確定拠出年金における自社株ファンドのインサイダー規制の適用除外【新規】
厚生年金基金から確定給付企業年金への権利義務承継の容認
厚生年金基金の代行返上に伴う基本部分の上乗せ部分の一時金清算の容認
厚生年金基金の代行部分における免除保険料率の個別化の容認【新規】
厚生年金基金の代行返上資産の物納要件緩和【新規】
確定給付型の企業年金における給付引下げに係る承認基準及び手続きの緩和
確定給付企業年金（老齢給付金）における支給要件の緩和【新規】
確定給付企業年金の財政検証に伴う掛金追加拠出の要件緩和【新規】
会社分割による新会社や会社合併等における基金の連合設立認可要件の緩和【新規】
受給権者の給付減額手続きにおける最低積立基準額相当の支給の見直し【新規】

４．社会保険分野

＜基本的考え方＞
社会保険労務の諸法に係る各種手続きについては、対象手続きの９割以上が2003年度末までに電子申請・届出（オンラインで提出）が可能となる状況にあり、今後は、一層の手続き簡素化を図る必要がある。
また、抜本改革に向けて保険者機能のあり方が問われており、保険者ならびに被保険者それぞれにおいて適切なインセンティブの働く機能、仕組みの導入が求められている。

任意継続被保険者制度の見直し
特例退職被保険者制度の資格喪失要件等の緩和【新規】
新規事業所編入（同一健保組合内事業所における会社設立）に関する規約変更の緩和
健康保険組合の事業所編入基準の緩和【新規】
国民年金第３号被保険者の届出方法の一部見直し
児童手当受給（資格）者に対する年金加入証明書の提出回数の削減

５．教育分野

６．流通分野

＜基本的考え方＞
我が国の流通システムに内在する高コスト構造を是正するとともに、消費者利便の向上や選択肢の拡大を図るため、事業者の自由な事業展開や創意工夫の発揮を妨げ、事業者に過度の負担を課している規制を見直す。このため、薬事法、大規模小売店舗立地法、たばこ事業法、食品衛生法、酒税法等に基づく、各種参入・価格・必置規制等の撤廃・緩和を進めるとともに、各種許認可手続きの簡素・合理化等を図る。さらに、地方公共団体に委ねられている許認可事項等に関しては、法の趣旨から逸脱した運用を厳に慎むよう求める。

〔薬事法関連〕

医薬品の一般小売店における販売
医療用配合剤に関する規制緩和【新規】
Fast Track開発プログラムの確立【新規】
公的細胞バンクの創設【新規】
薬局、薬店における自己血糖測定器の広告規制の緩和、自己血糖測定用試験紙の販売解禁【新規】
卸売一般販売業の設備要件（毒薬保管庫）の簡素化【新規】
医療用具研究開発促進のための臨床研究の規制緩和【新規】
電子体温計、電子血圧計の規制の一元化【新規】
生物由来材料医療機器に関する承認申請手続きの緩和【新規】

〔大規模小売店舗立地法関連〕

「大規模小売店舗立地法第４条に基づく指針」の見直し（必要駐車場台数・騒音基準の見直し）【一部新規】
「大規模小売店舗立地法」に係る届出前の事前協議を求める運用の廃止
大規模小売店舗の新設・変更者に関する運用の適正化【新規】
「大規模小売店舗立地法施行規則」の見直し（開店時刻・閉店時刻の変更に係る届出基準の見直し）

〔その他〕

小売店が実施するオープン懸賞の解禁
小売店を特定するクーポン券の発行の容認
たばこの小売価格の自由化と小売販売における需給調整規制の廃止
たばこ小売販売業における認可基準の明確化
カップ自動販売機で取り扱うことが可能なカップの見直し【新規】
一般酒類小売業者などによるインターネット上での酒類販売の容認
酒類の販売に係る人的要件の見直し

７．土地・住宅・都市再生分野

＜基本的考え方＞
長引く不況からの脱却、豊かでかつ見た目にも美しい生活空間の創造に向けて、土地・住宅に関する集中的な政策が不可欠であり、その実現過程で民間セクターの活力を最大限生かせるよう、思い切った規制緩和が求められている。具体的には、共同住宅・オフィスビルにおける容積率の緩和、斜線規制の見直し、PFI推進のための各種規制の撤廃等を図るべきである。

第1種低層住居専用地区における店舗建築制限の緩和【新規】
主任技術者・監理技術者への出向者の就任制限緩和
建築業許可要件の緩和
工場立地法に係る規制緩和
建築物の耐震改修計画の認定範囲拡大【新規】
電気通信工事業者における監理技術者要件の拡大
付置義務住宅制度・開発協力負担金等の見直し
共同住宅・オフィスビルの容積率算定基準のさらなる合理化
共同住宅における屋内駐車場の容積率緩和限度の見直し【新規】
学校における天井の高さの見直し【新規】
国土利用計画法23条に基づく土地取引後届出制度の廃止【新規】
宅地建物取引業法33条に基づく広告開始時期制限の緩和【新規】
市街化調整区域内における店舗開設基準の緩和【新規】
駅構内の開発許可基準の緩和【新規】
不動産特定共同事業契約成立前の書面交付時の説明手段の簡素化【新規】
宅建業法における取引一任代理の最低資本金基準の緩和【新規】
橋梁に添加される管路等の占用料の合理化・一本化
複合型分譲住宅における店舗の改修工事の要件緩和【新規】
PFI事業における減価償却制度の見直し【新規】
商業地域における道路斜線制限の緩和【新規】
PFI事業における民間収益施設の流動化【新規】
オフィスビルの住宅転用を目的とした規制緩和【新規】
宅建業法上の仲介手数料の規制緩和【新規】
複合映画館の建設に係る用途地域規制の緩和
都市計画法に定める開発行為の適用除外への特定規模電気事業の追加【新規】
公有水面埋立地における権利移転の柔軟化【新規】
要役地分筆登記に地役権者の承諾書を添付した場合の転写の取扱い
耐火貫通口の工法における認定手順の簡素化【新規】
再開発促進区における建築基準法上の規制緩和【新規】
自動車整備工場の立地に関する規制緩和
公有地の信託事業の場合の公共用施設の建設等の制限の緩和【新規】
定期借家制度の見直し【新規】
病院施設における避難経路の基準緩和【新規】
市街地再開発事業における建築基準法第86条の地権者全員同意要件の撤廃
都市計画法37条制限解除の積極的適用
公有地の拡大の推進に関する法律の見直し

８．廃棄物・リサイクル／環境保全分野

＜基本的考え方＞
本格的な循環型社会を実現するため、廃棄物の減量化・適正処理の推進とともに、リサイクルの促進を図ることが重要である。そうした観点から、廃棄物処理法等の諸規制について、「不法投棄は厳しく罰し、中間処理・リサイクルは規制を緩和して推進する」という方向で抜本的に見直していくことが必要である。具体的には、無価物であっても循環可能なものはリサイクルを促進するために廃棄物処理法を見直すといった根本問題のほか、分社化等に対応した廃棄物処理法の見直し、廃棄物処理施設の許可申請手続に伴う提出書類の簡素化等、微量ＰＣＢ製品に係る規制の見直し等を実施すべきである。

無価物等のリサイクルを促進するための規制改革
河川から採取される流木等についての廃棄物処理法上の扱いの弾力化
パレット等の紙・木屑についての廃棄物処理法上の扱いの弾力化
廃棄物処理法上の「建設汚泥」の取扱いの見直し
建設工事で用いられる泥土の脱水施設に対する廃棄物処理法の適用除外
分社化等に対応した廃棄物処理法の見直し
「広域指定制度」の改善ならびに改正廃棄物処理法により創設された「広域的処理に係る特例制度」の実効性確保【新規】
改正廃棄物処理法により創設された「産業廃棄物と同様の性状を有する一般廃棄物の処理に係る特例措置」の実効性確保【新規】
再生利用認定制度の対象範囲の拡大と事務処理の迅速化【新規】
多量排出事業者による産業廃棄物処理計画の策定・報告義務の負担軽減
廃棄物処理施設の設置・変更の許可申請手続に伴う提出書類の簡素化等
都道府県等による事前協議制の見直し
廃棄物処理施設の設置に伴う都市計画審議会の開催頻度の増大等
環境対策設備等の新増設に係る環境アセスメントの運用の弾力化
海面埋立による最終処分場の建設に係る規制緩和
貨物駅・港における産業廃棄物の収集・運搬に係る規制の見直し【新規】
微量ＰＣＢ製品に係る規制の見直し【新規】
焼却施設からのダイオキシン排出量測定方法の見直し
建設リサイクル法の対象となる工事基準の見直し
大気汚染防止法・水質汚濁防止法の申請期間の短縮
水質汚濁防止法ならびに下水道法に基づく届出書類の様式の見直し【新規】

９．危険物・防災・保安分野

＜基本的考え方＞
危険物・防災・保安分野は、「安全」を政策目的とした分野の規制改革ということで担当省庁の対応もとくに慎重であり、また縦割りの調整が進みにくい状況となっている。こうした中、本年度は、技術開発の進展等により対応が可能と考えられる課題や、実態を踏まえた対応が求められる要望、民間の経験、実績を踏まえた自主的な対応の推進等の視点から要望を取りまとめた。なお、保安諸規制の重複適用の排除は、引き続き抜本的な合理化、整合化が必要であることから、引き続き重点課題としている。

〔石油コンビナート関係〕

保安法令の重複適用の排除
特定事業所に課せられる防災要員、防災資機材の確保等の緩和【新規】
石油コンビナート等災害防止法の性能規定化【新規】
防災資機材としての大容量泡放射砲の採用【新規】

〔労働安全衛生法関係〕

ボイラー、第一種圧力容器の検査証有効期間に関する規制緩和【新規】
労働安全衛生法の認定制度における自主検査の導入【新規】

〔火薬類取締法関係〕

製造業者に係る軽微な変更の工事等の対象拡大【新規】

〔消防法関係〕

危険物一般取扱所の設置に関する規制緩和【新規】
危険物施設における「単独荷卸し」実施の適用対象の拡大【新規】
消防法の認定制度の範囲拡大及び自主検査の導入【新規】
引火性液体危険物の定義の見直し【新規】

〔高圧ガス保安法関係〕

炭酸ガス(CO2)冷媒に関する高圧ガス保安法適用除外の拡大【新規】
アンモニア冷媒に関する除害方法の明確化【新規】

10．情報・通信分野

＜基本的考え方＞
わが国産業の競争力強化および国民生活の質的向上に向け、経済社会活動の様々な分野でITを最大限に活用できるよう、情報通信の需給両面において改革を推進する必要がある。具体的には、通信事業に関する規制緩和の徹底、無線設備等の技術条件の見直し、衛星放送事業に係る規制緩和、電気通信機器の基準認証制度の見直し、行政手続の合理化・電子化などを進める必要がある。

〔通信・放送〕

電気通信事業者と外国政府等との協定等の認可制の廃止
IRU（Indefeasible right of user：破棄し得ない使用権）方式による芯線貸しに関する道路占用目的変更規制の緩和
周波数利用目的の緩和
2400MHz帯小電力データ通信システムのスペクトル拡散率の緩和【新規】
微弱無線局の電界強度の緩和【新規】
高周波利用設備の設置許可基準の緩和【新規】
無線局の免許申請手続の緩和【新規】
委託放送事業の認定に係る指定要件の緩和【新規】
東経110度CSへの電気通信役務利用放送法の適用
「通信衛星を利用した通信・放送の中間領域的な新たなサービスに係る通信と放送の区分に関するガイドライン」における放送範囲の明確化

〔基準認証〕

特定小電力機器に係る技術基準適合証明の申請単位の見直し【新規】
電気通信端末機器の技術基準適合認証の一部変更範囲の見直し【新規】
端末設備の接続の技術的条件の廃止【新規】
電気通信機器の技術基準適合自己確認制度の改善【新規】
特定無線設備の技術基準適合自己確認制度の適用範囲の拡大【新規】
電気通信機器の技術基準適合認証に係る検査記録の作成・保存義務の撤廃【新規】

〔電子化等〕

電子申請等のシステムの標準化【新規】
電子申請における属性認証の統一的な方策の提示【新規】
税務書類の電子保存範囲の拡大
税務書類の電子保存のための手続の改善【新規】
固定資産税の納付様式の統一および納付手続等の電子化
自動車登録事項等の請求・交付の電子化等
交通事故証明書の申請・交付の電子化
貸金業規制法に基づく書面交付の電子化

〔その他〕

ペティション（申立）制度の導入

11．金融・保険・証券分野

＜基本的考え方＞
世界規模での競争が激化する中で、適切な資金配分を効率的に行う金融システムの形成が急務となっている。金融市場においては、金融機関の収益力の強化を通じ、金融仲介機能の回復を推進する観点から、新たなビジネス機会の開拓やコスト引下げを可能とする条件整備を推進していく必要がある。同時に、公的金融が市場メカニズムを歪めることがないよう、資金の流れの改革を推進していくことも重要である。他方、資本市場においては、引き続き、発行・流通市場の効率化、投資家の信頼の向上に向けたインフラの整備を推進する必要がある。そこで、本年は、ＩＴ化・証券化の推進をはじめ金融機関のビジネスモデルの再構築、公的金融改革、証券決済システムを含めた資本市場の制度整備に重点を置いた規制改革を要望する。

〔金融・保険〕

郵便貯金の見直し
簡易保険の見直し
特債法の廃止
債権譲渡登記制度の拡充【新規】
信託業法における受託財産制限の撤廃
信託代理店の範囲の拡大【新規】
地方公共団体の保有する金銭債権の信託を可能とすること【新規】
特定目的会社の借入先制限の緩和
資産対応証券の募集取扱要件の緩和【新規】
投資法人の資金調達手段の多様化【新規】
従属業務を営む保険会社の子会社等の収入依存度規制の緩和【新規】
保険契約の包括移転に係る手続きの簡素化【新規】
保険会社の経営破綻時における特別勘定の保全
特別勘定に関する現物資産による保険料受入、移受管、及び特別勘定への直接投入【新規】
保険会社の子会社による不動産投資顧問業務の解禁
信用保証業務を営む銀行の子会社の業務範囲の拡大【新規】
保険業に係る業務の代理または事務の代行を営む保険会社の子会社による兼営業務の拡大【新規】
法人である損害保険代理店の組織変更における代理店登録の特例【新規】
保険業における「その他金融業を行う者の業務の代理又は事務の代行」の認可制の撤廃【新規】
銀行の出張所の休日に係る規制の緩和、及び営業時間に係る規制の撤廃【新規】
銀行の広告業参入【新規】
インターネットを活用した保険商品の販売【新規】
電磁的方法による信託業務に係る公告における「調査機関」の活用【新規】

〔証券〕

短期社債（電子ＣＰ）発行手続の緩和【新規】
現先取引にかかる売買規制の適用除外【新規】
適格機関投資家の申請手続の緩和【新規】
公開買付けの適用除外範囲の拡大【新規】
参照方式・発行登録制度の適用範囲の拡大（その１）【新規】
参照方式・発行登録制度の適用範囲の拡大（その２）【新規】
「外国投資信託」、「外国投信証券」の国内販売における規制緩和【新規】
有価証券報告書の提出義務の緩和【新規】
インサイダー取引規制の適用除外の対象拡大【新規】
ブックビルディングを実施した場合の申込期間の廃止に関する規定整備【新規】

12．運輸分野

＜基本的考え方＞
産業活動と密接に関わり、国民生活の基盤となる物流分野においては、わが国産業の国際競争力を強化していく観点から、高コスト構造を是正し、国際的に遜色ない物流サービスを実現することが喫緊の課題である。そのためには、インフラ整備の重点効率化や公租公課の軽減に加えて、交通・物流に係る規制の緩和・撤廃を積極的に推進することが不可欠である。
具体的には、車両諸元に係る規制の見直しを通じた陸上運送の効率化、輸出入港湾諸手続の業務革新を通じた海上運送の効率化等を、環境負荷の低減にも配慮しつつ、一刻も早く実施することが行政に求められる。

〔陸運関係〕

特殊車両の通行許可申請手続の事務の簡素化および許可有効期間の延長
ＩＳＯ規格国際海上コンテナ積載車両の「高さ」制限の緩和
フェリー・RORO 船利用に供するトレーラーシャーシに関する規制の緩和
貨物自動車の「大型」と「普通」の区分の見直し
営業用車両（トラック・トレーラー）の車検期間等の見直し
市街化調整区域における物流施設開発許可の緩和
自動車の生産・販売・流通に伴って必要となる諸行政手続の電子化の早期実現等
二輪車のオートマチック車限定免許の導入【新規】

〔海運関係〕

輸出入・港湾諸手続の簡素化促進
税関の執務時間及び臨時開庁手数料の見直し
航海実歴認定を受けた船長が操船する船舶に対する強制水先の免除
内航タンカーに係る20海里航行規制の緩和
引火性危険物積載船に係わる規制の緩和
内航海運暫定措置事業の適用期間の明示と早期終了
船員保険の被保険者資格の見直し
船員職業紹介事業等の自由化
盗難自動車の海外不正流出に対する水際阻止対策の推進
保税舶用重油の積込承認申請に関する運用の緩和【新規】
危険物積載船舶（外航タンカー）の特定港入港におけるGRT（総トン数）制限の撤廃【新規】
危険物荷役許可申請の許可制から届出制（もしくは包括許可）への移行【新規】
通関手続の見直し【新規】

〔航空関係〕

中型航空機の事業運航基準の見直し
ローカル飛行における、フライトプランの提出義務の緩和

13．エネルギー分野

＜基本的考え方＞
エネルギー政策の基本である安定供給・環境保全・経済合理性の確保という課題の解決には、産業界の自主的取組みや新技術の開発・普及が不可欠であり、これらを阻害する規制を迅速に見直す必要がある。安全規制・資格制度については、安全水準を確保しつつ社会の変化に合わせた規制の合理化・見直しを進め、事業者の負担を軽減すべきである。またエネルギー源の多様化に向けた分散電源の普及のための各種規制の見直しを求める。

ガス事業におけるメンブレンガスホルダの認定【新規】
核燃料加工事業の変更の許可申請に対する審査期間の短縮【新規】
原子力安全委員会における規制基準への民間規格の迅速な活用【新規】
原子力発電所の設備利用率に関係する規制の緩和
事業所外運搬時の原子力災害特別措置法第10条の通報対象見直し【新規】
原子力分野におけるクリアランスの法制化【新規】
原子力災害特別措置法の関係隣接都道府県の定義の見直し【新規】
放射線業務に係る労働時間延長制限の撤廃【新規】
女性の放射線業務従事者に係る法令間の整合【新規】
女性の放射線業務従事者の管理に係る不合理な規制の見直し
ファイナンス・リースに係る放射線障害防止法の賃貸業許可
ボイラー・タービン主任技術者の複数事業場兼務要件の緩和【新規】
中小規模の地熱発電における主任技術者の不選任【新規】
エネルギー管理者の兼任
第一種電気工事士の定期講習受講義務の見直し
電気主任技術者委託契約の相手先の要件緩和【新規】
電気主任技術者の監督範囲及び免状交付に必要な実務経験
維持流量発電設備の安全管理審査対象からの除外【新規】
水力発電所の制御方式変更に伴う届出の廃止【新規】
河川法に基づく水利使用許可申請の簡素化【新規】
ハイサルファーC重油の関税の見直し
自家消費を目的とするC重油の備蓄義務の軽減
民間規格の規制基準への充足性の迅速な確認と活用【新規】
兄弟会社間の電力特定供給
自然公園特別地域内の地熱資源利用に向けた開発の許可【新規】
内燃ガスタービンの法定定期自主検査及び安全管理審査
炉頂圧ガスタービンの定期自主検査周期の延長【新規】
火力設備における定期自主検査周期延長の拡大【新規】
既設火力発電所のリプレース時の環境影響評価の省略【新規】
都市公園における22(33)kV配電用変圧器の設置
マイクロガスタービン発電設備の小出力発電設備扱い【新規】
常用防災兼用ガスタービン発電設備に係る技術指針の見直し【新規】
ナトリウム・硫黄(NAS)電池に係る用途地域規制の緩和
ナトリウム・硫黄(NAS)電池の常用・非常用電源兼用に向けた法整備【新規】
固体高分子形燃料電池の不活性ガスパージレスに係る義務付けの廃止【新規】
燃料電池発電設備の消防法に基づく設置届出の廃止【新規】
燃料電池の建築物からの離隔距離

14．通商分野

＜基本的考え方＞
経済のグローバル化が進む中、わが国企業による円滑な通商・投資活動の確保が益々重要な課題となっている。政府は、ヒト、モノ、サービスの自由かつ円滑な移動を推進するという観点から、安全保障輸出管理制度の見直し等輸出入の許認可や、査証・在留資格等に関わる規制改革を積極的に推進すべきである。こうした改革は、わが国企業の国際競争力の維持・強化に繋がるものである。

企業内転勤に関する在留資格要件の緩和
在留資格認定証明書の申請手続に係る優良事業者への処分の迅速・簡素化【新規】
査証申請手続の優良事業者に対する書類の簡素化【新規】
ＷＴＯ政府調達協定の適用対象機関からのＮＴＴグループ各社の除外
輸出規制品目の項番の国際標準化【新規】
民間通信衛星の輸出許可不要化【新規】
需要者要件中の過去の行為に対する規制緩和【新規】
一般包括輸出許可における規制地域以外を仕向地とする「その他の軍事用途規制」に関する規制緩和
「許可を要しないもの」に関する確認の廃止
外国ユーザーリスト及び明らかガイドラインの明確化【新規】

15．農業分野

＜基本的考え方＞
今日、わが国農業の生産基盤は急速に脆弱化が進んでいる。また、需要者側の国内産業も製品関税の引き下げと国内農産物の価格支持制度、国境措置の狭間で厳しい経営環境に置かれている。今後の農政には、規制改革による生産コストの削減や経営形態の多様化により、生産基盤の強化や生産性の向上、高付加価値型の農業経営の確立等の国内構造改革を着実に進める一方で、国際化への対応という視点から、農産物の価格支持制度や関税制度の見直し等が求められる。

外国産小麦の政府売り渡し価格の引下げ
国産ビール大麦購入義務化の廃止および外国産麦芽の関税無税化
砂糖の価格制度のさらなる見直し
無糖ココア調製品の関税割当の拡大等
調製食用脂の関税割当枠の拡大
現に耕作の目的に供していない農地の一時的転用の規制緩和
農業用温室の建設に係る適用基準の緩和【新規】
農業生産法人以外の株式会社の農業への参入【新規】
バイオテクノロジーを用いた工業原料となるでんぷん等の関税の撤廃【新規】
JAS法による玄米・精米の表示制度の見直し【新規】
ペットフード原料としての牛以外の動物由来の内臓加工品（嗜好性物質）の輸入解禁【新規】

16．その他分野

公共工事等のコスト削減に向けた官公需法等の見直し
公共工事に係わる入札参加資格（地域要件）の見直し
情報公開窓口における手続きの透明化【新規】
パブリックコメントに提出された意見の全文公表【新規】
商工中金における出資持分の払戻の実現【新規】
電子式複合計器の最大需要電力計の検定試験方法の見直し
定格電流60Ａの電子式単独計器の検定有効期間の設定
計器用変成器の有効期間の延伸
時間帯別計量の検定の見直し
電気計器の表示規制の緩和【新規】
国及び地方公共団体におけるリース契約の見直し【新規】
地方公共団体における入札手続の統一化【新規】
アウトソーシング事業に対応した衛生管理者選任規制の緩和【新規】
機器と一体的に使用されるＡＣアダプター及び電源コードセットの一部見直し
電気用品の事故に係る報告義務の緩和（製品寿命に達した電気用品に関する事故要因調査の義務緩和）【新規】
独占禁止法上のアライアンス関連規制の緩和【新規】
独禁法と下請法の整合的運用及び煩雑な取引規制の緩和【新規】
持株会社規制における総資産基準の撤廃【新規】
株式所有報告書制度の改善【新規】

2003年度日本経団連規制改革要望

―さらなる規制改革の推進に向けて―

各分野の個別要望

１．雇用・労働分野