少子化対策についての提言

−国の最重要課題として位置づけ、財政の重点的な投入を求める−

2009年2月17日
(社)日本経済団体連合会

1.はじめに

わが国においては、1994年のエンゼルプラン以来、少子化対策に関する累次の報告書・計画が出されているが、必要とされる財政上の手当が不足していたこと、政府に一体的な取り組み姿勢が欠け、国民的気運が醸成されなかったことなどから、期待される成果は得られていない。
少子化対策の重要性に早くから気づき政策転換を図った国々においては、積極的な財政投入に加え、出産・子育てのすばらしさを訴えるポジティブキャンペーンを展開するなどして成果をあげている。例えば、ドイツでは、育児休業時の所得保障や保育施設整備への財政投入の社会的メリットを数値で示し、国民の納得感を得て、政策転換を図った。イギリスでは、首相自らが育児休業取得をアピールするなど話題性のあるキャンペーンを展開し、対策推進の気運を醸成した。フランスでは、政府の家族政策(少子化対策)の重要性に対する国民的理解を得て、毎年家族政策の点検・見直しを行いつつ、積極的な財政投入を進めている。このような国々では、合計特殊出生率 #1 が下げ止まるか上昇に転じている。

わが国においても、「少子化問題は、国民の生活と社会基盤の維持、国力に直結する問題」との国民の共通認識を醸成し、人口減少と人口構成の高齢化の急激な進行に歯止めをかけるために、少子化対策を国の最重要課題として位置づけ、積極的に取り組まなければならない。しかしながら、ここ数年の間に「子ども子育て応援プラン」(2005〜2009年度の5年間に実施する施策を提示)、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議(2007年策定、10年後の社会全体の目標値などを提示)、「新待機児童ゼロ作戦」(2008年策定、08年から3年間を集中重点期間として取り組む施策を提示)など、目標期間を同じくする複数の計画が矢継ぎ早に打ち出されたものの、政府として一体化した取り組みが見えず、かえって政府の少子化対策の達成目標や道筋が判り難くなっている。少子化対策は、子育て世代が大幅に減少する前に早急な対策が必要であり、ここ数年が勝負である。今こそ、国が真剣に正面から少子化対策に取り組むことが求められる。

日本経団連では、これまでにも少子化問題をめぐり、「少子化対策への総合的な対応を求める」(2007年3月)「子育てに優しい社会づくりに向けて」(2007年11月)などにおいて、ワーク・ライフ・バランス推進に向けて企業が取り組むべき指針を示すとともに、企業自らも子育て環境整備を進めるなど、地域の多様なニーズを踏まえた子育て支援サービス基盤の充実に向けた施策について指摘してきた。
また、「税・財政・社会保障制度の一体改革に関する提言」(2008年10月)において、保育サービスの量的拡充など少子化対策に対し、消費税を財源とする公費を投入する必要性を主張した。
本提言は、政府における保育制度改革の動きや、2009年度に本格化する「子ども子育て応援プラン」に続く新たな計画の検討などを踏まえ、今後5年間で特に重点的に取り組むべき課題について経団連の考えを主張するものである。

2.少子高齢化と将来のわが国の姿

(1)急激な少子高齢化がもたらす影響

わが国は2005年以降、人口減少局面に突入し、現在の少子化傾向のまま推移した場合、2055年時点の人口は、現在より3割減少し、8993万人と1955年のレベルになる。今後の人口減少は、2017年以降には1年間に50万人以上、2039年以降には1年間に100万人以上と加速していく。30年後には、政令指定都市1つ分に相当する人口が毎年減少していくことになる。「一度経験済みの人口レベルに戻るだけである」「人口の減少は生産性の伸びで補えばよい」との指摘もあるが、根拠のない楽観論である。人口規模の激減とともに、生産年齢人口(15〜64歳人口)の大幅な減少が進み、人口構成は急速に高齢化する。2055年に生まれる子どもの数は、46万人と現在の約4割、生産年齢人口も、現在の2分の1近くに減少し、1人の高齢者を現役世代1.3人で支える超高齢化社会になる。平均年齢でみても、1955年時点の27.6歳から、2005年で43.3歳に上昇しており、さらに2030年には50歳を超え、2055年には55歳に達する。このため、若年者・女性・高齢者等の労働力率を高めることがますます重要となるが、労働市場参加が進んだ場合でも、2055年の労働力人口は現在の3分の2程度に減少すると推計される #2。生産性の伸びによって補えるレベルの人口減少規模でなく、労働力人口の減少は、確実に経済成長を抑制する。人口減少により、2030年頃には、わが国の潜在GDP成長率を0.5%程度押し下げるとの試算がある #3。国内消費は減少の一途をたどり、内需に依存する産業や中小企業等へ深刻な打撃を与える。
さらに、このような超高齢化という人口構成下では、財政・年金制度の維持可能性の喪失、医療・介護等の国民生活を支える経済社会システムの弱体化など、社会基盤そのものが極めて脆弱なものとなる。
有権者の高齢化率(65歳以上の有権者の割合)は、2005年の25.1%から2055年には47.2%まで高まる。若者の政治への意見反映が難しくなるといった状況も生まれよう。
将来推計人口からは、例えば、1990年生まれの女性(2055年時点で65歳)のうち、生涯結婚しない人の割合は24.3%、生涯子どもを持たない人の割合は38.1%、孫を持たない人の割合は50.2%と推計される #4。2055年時点での高齢化率は40.5%(75歳以上の高齢者は26.5%)という状況に加え、単身高齢者世帯が増加するとなれば、当然、家族以外の介護の担い手への需要は高まる。しかしながら、現役世代が現在の半数程度へと激減する中、介護ニーズに対応した人手の確保は到底叶わない。現在の傾向が続いた場合、社会システムが立ち行かなくなることは容易に想像できる。

(2)わが国の少子化対策の現状と今後の課題

  1. 少子化対策の目標設定と評価
    2005年に過去最低の1.26にまで低下した合計特殊出生率は、2007年には1.34に上昇し、やや回復の兆しがあるものの、特殊要因が背景にある。団塊ジュニア世代の出産増に加え、出産期の女性の人口の減り方が大きいことなどが影響していると考えられている。また、出生数も減少していることから、予断を許さない状況にある。すでに生産年齢人口は、1996年より減少し始めており、少子化の影響が現れている。将来的には全人口に占める割合が、2005年の66.1%から2030年に58.5%、2055年には51.1%へと減少すると推計されている。団塊ジュニア世代が30歳代後半にさしかかる現状を踏まえるとここ数年が対策効果の期待できる最後のタイミングであり、緊急に抜本的な少子化対策を講じるべきである。そうすることで、社会の激変緩和もある程度可能となるであろう。
    これまで累次の計画や報告が出されてきたにもかかわらず、少子化の歯止めにつながらなかった原因は、わが国の少子化対策において、(i)具体的な政策目標、(ii)対策メニューと政策目標の関連性の検証と進捗状況の評価、(iii)施策の集中化と継続的に施策を展開する財政投入、の3点を欠いていたことにある。いわば、「目的地と進路の定まらぬ海路を燃料補給のあてなく進む船」に似た状態であり、政府が少子化対策に本気で取り組む姿勢が見えない。こうした事態を解消するために、今後の対策立案と推進にあたっては、PDCAサイクルの確立、実行に向け、以下の視点が必要不可欠である。

    ア) 政策目標の設定
    少子化対策の政策目標として、例えば国民の結婚・出産の希望がかなった場合の合計特殊出生率(1.75) #5 を掲げ、希望が実現できる環境整備が図られているか評価する目安をもつこと
    イ) 進捗状況の評価
    これまで少子化対策の進捗状況は、保育所の定員増や設置箇所数の伸びなどのアウトプットの数字で評価されてきた。こうした評価に加え、実際にサービスの利用者(あるいは将来の利用者)の満足度や期待値が高まり、結婚、出産・育児への意識につながったかどうか把握できる指標と、恒常的に政策評価を実施する仕組みを設けること
    ウ) 施策の重点化と集中的展開
    少子化対策は多様な施策が関連することから、これまでの計画では少子化対策として掲げる対象範囲が拡大する傾向にあった。今後は、施策の中でも、出産・子育てを積極的に捉えられる環境づくりに向けて効果の高い施策に重点的に取り組み、思い切った財政投入を行うこと

    こうした視点を踏まえ、政府は、少子化対策とその進捗状況を国民に対し分かりやすく発信すべきであり、例えば、ホームページなどを活用し、現在管轄の省庁がそれぞれに発信している少子化対策にかかわる情報を一元的にわかりやすく発信するといった取り組みを、国民に理解を求める第一歩として期待したい。その際、対策の進捗状況の「見える化」を図り、さまざまな関係者の視点で、絶えず政策評価ができるようデータ提供を行うことが求められる。
    また、国と地方の役割分担を明確化し、児童手当など全国統一的に実施する子育て支援の方針と財源の手当ては国が、地域の子育て環境整備は地方がそれぞれ担う形で少子化対策を進めることが肝要である。

  2. 「子ども子育て応援プラン」の後継プランへの期待
    国・地方自治体の次世代育成支援策の指針である、「子ども子育て応援プラン」(計画期間2005年〜2009年度)は、若者の就労支援、仕事と家庭の両立支援、働き方の見直し、子育て支援拠点づくりなどの項目にかかわる約130もの施策が列挙されている。確かに、少子化対策には多様な施策が関連するが、後継となるプランでは、こうした諸施策の中でも、出産・子育てに伴う不安、閉塞感の解消や生活面での負担軽減に特に重点的に取り組む姿勢を明らかにし、出産・子育てを積極的に捉えられる環境づくりに注力すべきである #6
    具体的には、就労と出産・子育ての両立を支える施策(待機児童の解消、多様な就労形態に対応した保育サービスの充実など)ならびに子育ての負担感を解消するための施策(一時預かりや子育て世代への経済的な支援など)を重点的に対応すべきである。また、こうした施策を展開するベースとして、企業においても、多様かつ柔軟な働き方の整備、ワーク・ライフ・バランス施策の推進、仕事・役割・貢献度を基軸とする人事・賃金制度の確立、キャリアパスの提示等をこれまで以上に積極的に進めなければならない。さらに、社会全体で子育てを支援するための意識改革も重要な課題である。
    特に、重点課題として政策目標と高い関連性を有するものについては、5年というスパンでなく、短期集中的に取り組む緊急性の高い計画とすべきである。

3.乳幼児・児童の居場所づくり(保育所・放課後児童クラブ #7 などの充実)

緊急に対応すべきは、保育所で1万9,550人、放課後児童クラブで1万3,096人申請している(2008年時点)待機児童の解消である。潜在的にはさらにはるかに多くの待機児童が存在し、乳幼児・児童を持つ母親の就業希望をすべて実現するためには、保育所では100万人、放課後児童クラブでは145万人の潜在ニーズに対応する必要があるとされる #8。こうした待機児童の解消に向け、保育サービスの拡充を進めるにあたり、これまでの行政による一律的な運用などを見直し、多様なニーズに対応できるよう制度改革を行うこと、保育の担い手を確保すること、地域の創意工夫で柔軟なサービス提供を行うことが強く求められる。

(1)保育制度改革の速やかな実施

  1. 多様なニーズに対応したサービス提供の実現
    保育サービスは、次世代育成支援の要であり、多様なニーズに対応しうるサービスの充実を早急に図る必要がある。財政の重点的な投入を通じて、まずもって、量の拡充を図るともに、従来型の行政による「措置」(行政が、域内の保育所の受け入れ能力を前提として、「保育に欠ける」 #9 児童を対象に入園先保育所を指定する方式)の仕組みから、保育を必要とする者が、必要に応じ利用したい施設・サービスを選択できる制度へと転換することが必要である。
    保育制度改革にあたり、市区町村のサービス提供義務を強化するとともに、多様なサービス提供者が参入できるよう参入規制をあらため、利用者のニーズに対応した質の高い多様なサービスを提供できる体制づくりを目指すべきである。また、地域の子育てサービスの核として保育所が発展的に活動できるようにする観点から、「保育に欠ける」要件(認可保育所の入所要件)を見直し、親の就労形態や就労有無にかかわらず利用希望者をひろく受け入れるとともに、契約を通じ、利用者と事業者が直接向き合う関係を構築していくことが求められる。この際、保護支援の必要度の高い子どもの利用が損なわれたり、サービス提供者による不適切な選別がなされない仕組みを併せ持つことは当然である。
    現在進められている保育制度改革をめぐる検討は、概ねこうした方向性を包含したものであり、具体的な制度設計に直ちに着手し、速やかに法改正を行うべきである。保育サービスの充実がなければ、出産・育児はキャリア上の障害であり続けるとともに、子育ての負担感が解消されることも期待できない。改革のスピードがもっとも求められる施策であり、速やかに実行に移すべきである。保育関係者が、次世代育成の中核的な担い手として、前向きに改革に取り組むことを期待したい。

  2. 家庭的保育(保育ママ #10)の普及促進
    待機児童の中でも、保育サービスを受けられない乳児期の子どもが特に増えており、この解消が緊急の課題となっている。保育所での受け入れのみならず、2008年11月に成立した改正児童福祉法によって法的に位置づけられた保育ママ制度の活用促進を図るべきである。法制度化を受け2009年度中に実施基準・ガイドラインが策定されるが、保育ママ制度の普及にあたり、有資格者に限定することなく子育て経験者が一定の研修を経て保育ママとして認定される仕組みとするなど実態に即した柔軟な対応が求められるとともに、家庭的保育(保育ママ)と保育所などの一時預かり施設との連携促進、保育ママ間のネットワーク化などに取り組む必要がある。

  3. 教育・保育の一体的推進(「認定こども園」 #11 の拡充など)
    子どもたちが健やかに育つことのできる居場所を確保する上で、親の事情(就労の有無)で異なる居場所を提供するあり方を見直し、同年代の子どもの教育と保育に関する一体的な制度設計と事業の推進を図るべきである。幼児期の子どもたちの居場所確保という点では、大都市部では、幼稚園・保育所のそれぞれの基盤の上に、保育や教育の機能を加えることで、ゼロベースで施設整備を行う場合に比して効率的に保育サービスの拡充が可能となる。また、少子化が進み幼稚園、保育所とも定員割れの状態にある地域では、双方で子どもを取り合うといったことなく、認定こども園の制度を活用して、子どもの健全な成長に望ましい規模を確保することが可能となる。同世代の子どもたちがともに過ごすことの意義、認定こども園を利用する保護者の満足度の高さ #12 などを踏まえ、その拡充が図られるべきである。
    また、同様に、放課後における児童の居場所確保を目的とする、放課後子どもプラン(厚生労働省の「放課後児童クラブ」と文部科学省の「放課後こども教室」 #13 の一体的運用事業)についても、地域の教育委員会と福祉部局が連携し、その普及に向けて積極的に取り組むことが期待される。

(2)保育を支える多様な人材の育成・確保

保育サービスの拡充を進めるにあたっては、保育の質を確保しつつ、担い手の育成・確保を早急に行うことが重要である。研修制度の充実やキャリアパスの明確化、労働条件の改善などを通じ魅力ある職場づくりを進め、保育士の定着率の向上や有資格者の掘り起こしを進める必要がある。
また、保育士資格取得制度の見直しも求められる。保育士資格は、保育士養成施設の修了もしくは、保育士試験(受験資格:短大卒以上 #14)の合格を要する。仮に、高卒後数年後に保育士を目指すといった場合、実際に資格を取得することは難しいのが現状である。多様な人材が保育に従事できるよう、例えば、(1)保育士養成制度(養成施設・科目等)を再検証し、公共職業訓練メニューにおいて対応する講座を設ける、(2)保育士の受験資格を緩和し、認可外保育施設での勤務実績を受験資格や受験科目に反映させる、といったことなどを検討すべきである。
さらに、保育分野を地域密着型のサービス産業として確立させることは、雇用機会の創出にもつながる。保育需要の増大に対応するために、必要とされる人員数を予測したうえで、多様な人材がスムーズに参入・定着できる仕組みを導入していく必要がある。「子どもと家族を応援する日本」重点戦略で示されたサービス提供を充足するためには、日本全体で追加的に29万〜33万人程度の保育士が必要となると見込まれる。現状においても都市部を中心に、保育士確保が難しいことから、サービス提供が困難になっている地域がある。今後の需要見込みを踏まえ、毎年の新規資格取得者数(現状では年間5万人弱)の拡大や離職している有資格者の掘り起こしなどを地域毎に計画的に進めていく必要がある。
なお、前述のとおり、一定の研修を経た子育て経験者を保育ママに認定するほか、保育所・放課後子どもクラブ・地域の子育て拠点などにおいて保育士を補助する保育サポーターやボランティアを積極的に活用するなど、広く地域に門戸を開き、人材の多様性を増すことも、子育て支援が地域に根ざしていく上で重要である。

(3)地域の創意工夫で柔軟なサービスを提供

保育サービスの具体的な提供は各地域の実情を知る地方の裁量に委ねることが望ましい。地域によっては、住民のニーズを踏まえ、大きな成果をあげている事例もある #15
また、子どもたちの居場所づくりは、街づくり・街のあり方に直結する問題でもある。地域の人々が集い、街が活性化するためには、多世代が交流できる場所が必要である #16。地域のNPOなどを支援し、その力を活用しつつ、高齢者の集いの場とともに、子どもたちの生活・活動の場となる拠点を確保すべきである。例えば、都市部にある公的賃貸住宅団地(公営住宅や都市再生機構の団地)、廃校となった公立学校など公的施設、空き店舗などを活用し、高齢者向け福祉サービスと子育て支援機能を併せて充実させることが考えられる。
地域の知恵と工夫によってこうした取り組みを促進するためにも、地域実情にあわせたサービス提供を行うことが重要であり、保育施設などに関し一律に基準を適用するのではなく、柔軟な運用を可能とすべきである。前述の「認定こども園」なども地域の実情に応じ普及が図られることが期待され、そのためにも、奨励的経費(幼稚園の就学奨励:文部科学省予算)と義務的経費(保育所の運営費:厚生労働省予算)という性格の違いに起因する壁を解消する必要があろう #17
このほか、子育て関連の地方自治体の独自財源を確保することが不可欠であり、国が統一的に実施する経済的支援などの拡大が、地方自治体における別の少子化対策の展開を妨げることのないよう留意するとともに、将来的には国が子ども一人あたりの育成費用として決定・交付した額に基づき、地方自治体がそれぞれの実情を踏まえた乳幼児・児童の居場所づくりを行える形を目指すべきである。
こうした地域の創意工夫を活かした柔軟なサービス提供を進める上で、関係する省庁間連携(厚生労働省、文部科学省、国土交通省、経済産業省等)が不可欠である。特に、教育・保育の一体的推進を図るといった観点から、少子化担当大臣を中心に行政組織の一元化を進め、大臣のもとに政策スタッフを増強していくことを求めたい。

4.ワーク・ライフ・バランスの積極的な推進

(1)基本的考え方

子育てに優しい社会づくりに向けて、企業も、自ら行動を起こすことが求められ、多くの企業が既にワーク・ライフ・バランスの推進などに積極的に取り組んできている。しかしながら、出産を契機に仕事を辞める女性従業員が7割程度存在する背景には、恒常的な長時間労働を当然視する職場の雰囲気や「男は仕事、女は家庭」といった固定的な性別役割分担意識がいまだ残っていることも否定できない。女性の社会参画を示す指標(ジェンダーエンパワーメント指数 #18)で見ても、日本は、108カ国中58位と低位にとどまる。また、結婚・出産・育児が、自身のキャリア上の障害になるとの危惧が、婚姻数や出生数の低下を招いている可能性もある。
こうした事態の解消に向けた企業の主要な役割は、労使が協調して自主的に働き方の見直しを進め、効率的かつ柔軟な働き方を推進することで、ワーク・ライフ・バランスの実現を図ることにある。そもそも、ワーク・ライフ・バランス施策とは、特に女性を対象とした両立支援や労働時間削減に限定されるものではない。ワーク・ライフ・バランスの実現は、仕事か生活かの二者択一ではなく、仕事上の責任を果たし自己実現を図るとともに、家庭や地域生活などにおいて、ライフステージに応じた多様な生き方を選択できることを目指すものであり、従業員が仕事への満足度を高め、意欲をもって仕事に励むことが生産性の向上につながるという相乗効果を生み出し、さらには新たな価値の源泉となる。
ワーク・ライフ・バランスの実現には、経営トップが取り組みの決意やメッセージを発信し全社的な取り組み体制を整え、そのための施策を継続的に実施することが必要となる。企業の競争力を維持、向上させる上で不可欠の課題であり、要する費用は単なるコストではなく、将来に対する投資である。
あわせて、ワーク・ライフ・バランスの推進を通じ、従業員が子育てや学校教育に積極的にかかわることを奨励することも重要である。例えば、有給休暇やボランティア休暇を使い、従業員が学校教育(保護者会などの学校行事への参加や出前授業への協力など)に積極的に参加する気運を醸成するといったことが求められる。
ワーク・ライフ・バランスの推進は、あくまでも企業が自主的に取り組むものであるが、政府においても、先行事例の紹介をはじめ、社会全体でワーク・ライフ・バランス推進を後押しするための取り組みを一層拡充すべきであろう。

(2)企業の具体的な取り組み

日本経団連では、「少子化対策への総合的な対応を求める」(2007年3月)において、ワーク・ライフ・バランス推進を経済界自らの課題ととらえ、10項目にわたる企業の行動指針を策定・公表した #19。この方針に基づき、引き続き各社の実情に応じ、育児休業制度の活用促進、育児休業期間中の従業員に対する職場情報の提供、短時間労働・テレワーク等働き方の柔軟化・多様化などの取り組みを展開する。
また、育児期の女性従業員を対象とする施策に限定せず、男性が育児に積極参加できる環境を整備するとともに、業務プロセスの抜本的な改善を通じ、全従業員のワーク・ライフ・バランスを目指す。厳しい経営環境をチャンスと捉え果敢に改革に取り組み、新しい働き方への挑戦を従業員一人ひとりに促す姿勢で臨む。
さらに、子育て環境の整備も重要な課題である。すでに多くの企業が自らの課題として、従業員のニーズに合わせた子育て環境の提供に努めている。例えば、都市部での待機児童対策、従業員の両立支援の観点から、事業所内保育施設を設け、地域の保育所状況が厳しく、職場復帰が困難な従業員を実際にサポートしている企業も多い。また、地域開放型の保育施設設置・運営に取り組んだり、保育所設置のための土地などを提供し、社会に貢献しているケースもある。子育て環境の整備に積極的に取り組む観点から、企業間連携を深めることなどを通じて、今後も引き続き、従業員ニーズや地域事情を考慮しつつ、具体的な取り組みを積極的に進めていく。
経団連としては、こうした企業の様々な取り組みを、より発展・普及させるべく、企業のワーク・ライフ・バランス施策に関する情報交換の場を設けるなど更なる活動を進めていく。

5.財源と投入規模、費用負担のあり方

(1)国の最重要課題にふさわしい財政の投入

わが国の児童・家族関連社会支出は諸外国に比して小規模であり、GDPに占める割合は、2007年度で0.83%(欧州諸国では2〜3%)にとどまる。
国全体の少子化対策への財政投入の不足に加え、厳しい地方財政の中で、恒常的な助成の負担を伴うことから、地域によっては、認可基準を満たしていても保育所の認可が下りない状態が生じている。昨年10月の政府の生活対策に盛り込まれた「安心子ども基金」も、地方が施設整備費とその後の運営費に係る地方負担分を捻出できず、結果として事業を執行できない状況にもなりかねない。
少子化問題は、国民の生活と社会基盤の維持、国力に直結する問題であり、国の最重要施策として明確に位置づけ、それにふさわしい財政投入があって然るべき政策課題である。しかも、団塊ジュニア世代が出産期にあるここ数年が正念場であり、緊急かつ重点的に対策を講じる必要がある。

  1. 保育サービスの量的拡充と提供手段の多様化
    保育を必要とするすべての人が必要に応じ安心して子どもを預けることができるように、前述の保育制度改革などを通じた保育サービスの量的拡充と提供手段の多様化を図るため、国・地方ともに、思い切って歳出を拡充する必要がある。
    事態の緊急性に鑑みれば、直ちに財政投入を拡充することが不可欠である。当面、毎年度、一般財源を少子化対策に戦略的に充当し、前述の保育サービスの拡充などを着実に進めるべきである。保育所などの設置費用として約1兆円、運営費用として7,000億〜8,000億円を確保できれば、前述の潜在的待機児童の解消を図ることが可能となろう #20

  2. 子育て世代への経済的支援
    希望する子どもの数と実態との間に乖離がある背景として、就業継続の見通しや夫婦間の家事・育児の分担度合いに加え、子育てや教育の経済的負担感が大きいことが指摘されている #21。子育て世代に対する経済的支援(児童手当のような現金給付のみならず、幼稚園や保育所の利用料金の軽減、不妊治療への補助なども含む)についても、一般財源を前提に国民の理解を得た上で拡充すべきである。仮に、児童手当を小学校卒業まで、現行の月5,000円〜1万円から一律月2万円へと支給を引き上げる場合には、2兆〜2兆4,000億円程度の追加財源が必要となる #22

なお、少子化対策の追加的所要額については、社会保障国民会議及び「子どもと家族を応援する日本」重点戦略に基づく整理によれば、2015年で、1.3〜2.1兆円(消費税換算で0.4〜0.6%)と試算されているが、この試算は、既存の制度をベースとしており、施策の効率化・重点化は加味されていない。また、施設整備への投資額なども算定されていないなど極めて不十分な試算である。
効果的な少子化対策を展開する上で必要となる財政投入規模やその投資効果を明確化するとともに、仮に投資をしなかった場合の社会的デメリットなどを国民に示し、その負担を国民一人ひとりが広く分かち合うことに対する国民的合意を得て、将来的には消費税の引き上げにより少子化対策の安定財源を確保すべきである。これにより、当面の一般財源による緊急歳出に加えて、保育所をはじめとする保育サービスの運営費を継続的に確保し、経済的支援の拡充などへも思い切った財政投入が可能となろう。

このほか、子育て世代の経済的負担感を軽減するため、現行の扶養控除は廃止し、子の数に累進的に増加する税額控除制度(還付付)を創設することで、多子家庭の支援に役立てることも有効であろう。配偶者控除等についても、人口減少社会における女性の社会での活躍を促進する観点からそのあり方を再検討すべきである。

(2)費用負担のあり方

次世代育成支援に必要となる費用負担をめぐり、「将来の労働力の育成の基礎としての側面などを考慮すべき」とし、企業に対し一層の負担を求める声がある。しかし、言うまでもなく、次世代育成は国民全体が裨益する、国としての課題であり、「将来の労働力の育成の基礎」を育むという側面から見たとしても、義務教育と同様、公費で対応することが基本であろう。少子化対策の推進に経済界もその一翼を担うものであるが、費用面で企業に追加的な負担を求めるのでなく、むしろ拠出企業も参画した評価システムを設けるなど、現行の事業主拠出金で運営される児童育成事業の有効な活用に努めることが肝要である。
また、現在、フランスの取り組みを参考 #23 に、一般会計からの拠出、児童手当拠出、雇用保険など、少子化対策関連の拠出金を基金として一元化し、その運営にあたる組織を設けて施策を行ってはどうかとの提案があるが、これは、行政組織の肥大化につながり反対である。
さらに、社会保険の創設によって少子化対策費用を賄うべきとの主張もあるが、子育てをリスクととらえる考え方はなじまない上に、既存の社会保険料負担が大きく増加している中、更なる社会保険料負担は経済活力を損なうことに加え、現役世帯(子育て世帯)に保険料負担が偏るおそれがあることなどから受け入れられない。

6.子を慈しみ育てる文化を取り戻す

古来、わが国では子どもをかけがえのないものとして、親が子を慈しみ、将来の夢と希望と語りかけ育ててきた。また子どもを取り巻く社会も、子育てをする親を支え、共に子育てに携わるとともに、子育ての素晴らしさを伝えてきた。安心して子どもを生み育てることのできる社会の実現に向けて、前述の社会インフラの整備や企業における多様な働き方の推進とともに、子どもはわが国の将来を支える「社会の宝」であるとの認識のもと、社会全体で子育てを温かく見守り、支えていく雰囲気を醸成していくことも重要である。また、子育ての意義を、学校教育を通じて中高生のころから伝え、若者が子育てを楽しいこと、素晴らしいことと思えるように導くことも重要と言える。わが国の誇りであった子を慈しみ育てる文化を取り戻すことに国民一人ひとりが共感するよう、広く社会に訴えていく必要がある。
経団連では、「子育てに優しい社会づくりに向けて」(2007年11月)において、社会全体で子育てを温かく見守り支えていく国民意識の醸成に向けて、経済界としても積極的に取り組む方針を明らかにした。その一環として、国が定める「家族の日」「家族の週間」といった国民運動の機会を活かし、一昨年からノー残業デーの設定、職場参観・工場見学等の家族イベントの実施などを広く会員企業に呼びかけ、実際に実績をあげている。
しかしながら、依然として「家族の日」「家族の週間」の認知度は極めて低い。総理大臣自らがその意義を積極的にアピールし、全省庁をあげて国民運動の趣旨を踏まえた具体的な活動を行うなど、「家族の日」「家族の週間」の周知、定着に向けた政府の真剣な対応を求めたい。

7.国民理解の醸成

少子化問題の深刻さは国民に十分に認識されておらず、少子化対策への注目度はきわめて低い。例えば、内閣府が実施したアンケート結果(社会保障制度に関する国民意識調査報告書(2008年11月))によると、少子化問題への関心は、年金、医療・介護の問題に比して劣後にある。
わが国政府が、他に類例のないレベルで少子高齢化社会へと突き進んでいる事実とその影響について、広く国民に正確なメッセージを発信する必要がある。人口減少社会の影響や少子化対策の重要性に対する理解醸成への努力があってこそ、子どもを産み育てる希望をかなえられる社会基盤づくりに向けた施策や重点的な財政投入への国民の理解と協力を得ることが可能となる。
少子化問題は、目の前に見えにくい課題であるだけに、その問題の大きさについて丁寧に説明し、国民的な議論を喚起し、公費負担を増やすことへの国民の理解を得ることが不可欠である。国として明確な意思を示し、抜本的な少子化対策に緊急に取り組むことを強く求めたい。
妊娠・出産・育児をめぐっては、例えば、産科・小児科医の不足、児童虐待問題の深刻化、不妊治療のニーズの高まり、教育費の負担軽減等、関係する課題も多い。とりわけ、産科・小児科医不足の問題は、子育て世代にとり大きな不安材料である。これらの課題にも行政が正面から対応していくことが望まれる。
経済界、企業においても、少子化対策の展開に自ら重要な役割を担うとの決意のもと、ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組むとともに、前述の国民運動に積極的に協力、参加していきたい。

以上

(参考)
待機児童(潜在需要を含む)を解消するための追加コスト試算 注1
サービス現状
2007年度
(運営費)
追加コスト備考
(設置費)(運営費)
保育サービス(保育所)注29,800億11,600億円
(2,900億円)
注3
7,000億潜在的待機児童100万人の解消
0-3歳未満の利用率20.3%→38.2%
3歳以上の利用率39.6%→56.1%
放課後児童クラブ420億1,120億円860億潜在的待機児童145万人の解消
利用率19.0%→59.9%
  1. 注1 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議の試算をベースに、設置費用等を経団連内で試算(2007年人口ベース)
  2. 注2 病児保育や一時預かり等の保育サービスは、上記の試算には含まれていない。
  3. 注3 私立保育所への補助単価をもとに試算。費用負担割合は国1/2、市町村1/4、設置者1/4。括弧内の数字は、設置者負担分を示す。
  4. 注4 利用率:各年代の乳幼児・児童総数に占める利用者の割合

児童手当拡充に必要となる追加コスト試算

支給額
現行
第1子、第2子5,000円、
第3子以降10,000円、
3歳未満児 一律10,000円
一律1万円一律2万円一律3万円
小学校卒業まで
(所得制限あり)
1兆 500億円1兆5,400億円
《+4,900億円》
3兆800億円
《+2兆 300億円》
4兆6,200億円
《+3兆5,700億円》
小学校まで
一律支給
1兆1,600億円
《+1,100億円》
1兆7,100億円
《+6,600億円》
3兆4,200億円
《+2兆3,700億円》
5兆1,400億円
《+4兆 900億円》
*「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議の試算による

  1. 合計特殊出生率:15〜49歳までの女性の年齢別出生率を合計した数値、一人の女性が一生の間に生む子どもの数を測る指標
  2. 経団連提言「人口減少に対応した経済社会のあり方」(2008年10月14日)において、労働力人口は、2006年の6657万人から2055年には4359万人まで減少すると推計
  3. 平成20年度経済財政白書(内閣府)より
  4. 1955年生まれの女性の場合、生涯結婚しない人の割合は11.2%、生涯子どもを持たない人の割合は17.7%、孫を持たない確率は21.2%である。
  5. 社会保障審議会人口構造の変化に関する特別部会報告書(2007年1月)で指摘された数字。2040年に合計特殊出生率1.75が実現した場合、2055年の総人口は、現在推計されている8,993万人から、1億391万人へ上方修正される。また、生産年齢人口の減少が800万人程度下方修正される。
  6. 社会保障審議会人口構造の変化に関する特別部会報告書(2007年1月)によると、出生行動に影響を及ぼしていると考えられる要素について、出産後の継続就業の見通し、仕事と生活の調和、夫婦間の家事・育児の分担、育児不安、教育費の負担感等と整理している
  7. 放課後児童クラブ:共働き家族など留守家庭のおおむね10歳未満の児童を対象に、児童館や学校の余裕教室などで、放課後に生活・活動の場を設ける事業
  8. 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議の試算より
  9. 市町村が保育の実施義務を負う対象(保護者が子の保育をできないと認められる者)を児童福祉法施行令第27条で規定(昼間労働していることを常態としていることなど)
  10. 保育ママ制度:保育に欠ける乳幼児を家庭的保育者の居宅などで保育する制度
  11. 認定こども園:幼稚園、保育所等のうち、保護者の就業の有無にかかわらず、就学前の子どもを受け入れて、教育・保育を一体的に行う機能を有するものとして、都道府県知事が認定するもの。近年の急速な少子化の進行や家庭・地域を取り巻く環境の変化に伴い、保護者や地域の多様化するニーズに応えるために、2006年10月より開始された制度。
  12. 認定こども園に係るアンケート調査の結果(文部科学省・厚生労働省実施 2008年6月公表)によると、保護者の8割、施設の9割が認定こども園を評価
  13. 放課後子ども教室:全児童を対象に、放課後や週末等に安心・安全な子どもの活動拠点を設け、地域の協力を得て、さまざまな体験活動や交流活動等に取り組む事業
  14. 短大卒以上あるいは、高校を卒業後、児童福祉施設で2年以上児童の保護に従事したことなどを受験資格とする。なお、児童福祉施設で勤務するためには、何らかの資格が求められることが多い。
  15. 東京都は独自制度として「認証保育所制度」(国の設置基準を満たした施設で都道府県が認可した保育所は「認可保育所」という)を発足。東京の特性に着目した独自の基準を設定し、地域の実情にあった特徴ある保育サービスを提供。多くの企業の参入を促進し、13時間以上開所、ゼロ歳児保育など都市型保育ニーズに対応。都内保育所(認可保育所と認証保育所の計)の施設数の20%、定員数の7%を占める(2008年実績)。
  16. 兵庫県では、子育て支援、高齢者福祉,環境改善、防犯・防災(子どもの見守り等)、などの地域の諸課題に住民の参画と協業で取り組むことを目的に、県民交流広場事業を展開。公民館等地域の公的施設、商店街の空き店舗、学校の空き教室などを活用し、世代を超えた交流の場の整備と活動の支援を行っている。
  17. 普及の阻害要因として、書類や監査などの手続き面の煩雑さ、追加した機能(幼稚園の場合には保育機能、保育所の場合には教育機能)に対する助成措置がないことが指摘される。この点、政府は新たな補助金(「子ども交付金」)などを通じて認定こども園の普及を図る方針である。
  18. 国連開発計画(UNDP)が、女性が積極的に経済活動や政治活動に参加し、意思決定に参画しているかを測る手法として導入。男女の国会議員比率、男女の専門職・技術職比率と管理職比率、男女の推定勤労所得の3つを用いて算出
  19. (1)経営トップのリーダーシップの発揮、(2)メリハリのある働き方の実現、(3)職場の意識醸成を図るための幅広い運動の展開、(4)マネジメント職に対する教育、(5)主体的なキャリア形成の環境整備、(6)女性の就労継続支援と再雇用の推進、(7)次世代育成支援対策推進法の行動計画におけるPDCAサイクルの活用、(8)社会全体に対する積極的なアピール、(9)創意工夫を生かした取組み、(10)企業間の連携の推進
  20. 保育所の整備の補助単価に基づき試算(賃貸物件の活用や既設保育所の拡張、認定こども園などによる定員増については考慮していない)。保育所設置費用の設置者負担分(設置費用の1/4、2900億円程度と試算)が別途必要となる(試算概要はP18を参照)。
  21. 注4参照。内閣府「少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査」(2005年3月)によると、少子化対策として重要と考えるものとして、7割が「経済的支援(保育・教育費への補助、医療費補助、児童手当など)あげている。
  22. 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議の試算による
  23. フランスでは、全国家族手当金庫を設け少子化関連の対策費用を一元化するとともに、県単位でも家族手当金庫を設け、これに全国家族手当金庫から資金を提供。各県の家族手当金庫が各種手当の支給や保育施設設置・運営などへの補助を実施。

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