総務省情報通信審議会答申(案)
「通信・放送の総合的な法体系の在り方」に対するコメント

2009年7月21日
(社)日本経済団体連合会
情報通信委員会
通信・放送政策部会

総務省情報通信審議会が検討を進めている「通信・放送の総合的な法体系の在り方」答申(案)に対し、以下の通りコメントする。

1.全般

今回の答申案は、経団連が2008年2月に公表した提言「通信・放送融合時代における新たな情報通信法制のあり方」の方向性と軌を一とする内容となっている。本答申案に基づいた制度改正が着実に遂行され、通信・放送の融合による新たなサービスの創造が期待される。

2.法体系見直しの必要性

答申案で提案されている、「伝送設備」、「伝送サービス」、「コンテンツ」の三層からなる法体系に見直すことにより、経済活性化、新規産業創造が期待できることから妥当である。

3.伝送設備規律

答申案で提案されている、電波利用の柔軟化、ホワイトスペースの活用、及び免許不要局の範囲の見直し等の施策は、わが国産業の国際競争力を強化する観点から重要であり、早期実現を期待する。なお、具体的な検討においては、電波の有効・公平な利用の観点を踏まえ、将来の新たなサービス展開や技術革新などに柔軟に対応できるよう配慮すべきである。

4.コンテンツ規律(オープンメディアコンテンツに関する規律)

通信・放送の融合におけるコンテンツ規律については、一部の放送を除き原則自由とし、有害・違法コンテンツに関しては、刑法やプロバイダ責任制限法、さらにフィルタリングなどの技術により対応すべきである。これに関し、答申案にて、『コンテンツ規律の対象となる「メディアサービス」の範囲をいわゆる従来の「放送」に止め、』『公然性を有する通信コンテンツのうち違法な情報及び有害情報については、まずはプロバイダ責任制限法、青少年インターネット環境整備法等により、引き続き、対応することが適当』とされたことに賛成する。

なお、今後、法体系自体の国際的な整合性の考慮や、2011年度以降、青少年インターネット環境整備法関連の取り組みを評価した後の検討等が想定されるが、その段階においても、一般的なコンテンツの編集・発信主体としての個人や企業を本法体系で直接的に規制するのではなく、民間の自主的な取り組みをベースに、青少年インターネット環境整備法や一般法である刑法等での対応を進めるべきである。

5.その他の論点

答申案の通り、NHKの基本的な位置付けは新たな法体系の下でも変わるものではない。一方、視聴者からの受信料で制作された優良で豊富なコンテンツは、新たな通信・放送の融合・連携サービスの牽引役として積極的に活用することが期待される。現在実施しているIP等によるコンテンツの再送信や、番組アーカイブ化、見逃し視聴サービス等を一層拡充すべきである。

本答申案に基づき、制度が集約・大括り化された場合、それぞれの行政手続等を所管する部署の再編成が必要になると考えられる。今後の法案検討にあたって、独立規制機関の設置も含めた行政組織の在り方について検討を行うべきである。

以上

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