[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

企業行動憲章の改定について

2004年5月18日
(社)日本経済団体連合会

1.背景

CSRへの取り組みに対する市民・従業員・NGO・投資家の関心の高まり

2001年 4月ISO(国際標準化機構)が企業の社会的責任(CSR)について
国際規格を作成するか否か検討を開始
2003年10月経済産業省がISOに対する日本案の検討を開始
2004年 6月ISOが国際規格を作成するか否かを決定(予定)
2004年 2月 日本経団連が『CSR推進にあたっての基本的考え方』を発表
【ポイント】
  1. 日本経団連はCSRの推進に積極的に取り組む。
  2. CSRは官主導ではなく、民間の自主的取り組みによって
    進められるべきである。CSRの規格化や法制化に反対する。
  3. 企業行動憲章および実行の手引きを見直し、CSR指針とする。

2.憲章改定のポイント

  1. 「憲章本体」に「序文」を加えるとともに、「実行の手引きの要点」を作成した。

  2. 「憲章本体」はCSRを踏まえて修正した。(憲章の位置づけは、引き続き会員企業による申し合わせとする。)

  3. 「序文」では、CSRへの取り組みが重要になってきた背景やCSRの構成要素を説明した。

  4. 「実行の手引きの要点」では、憲章の精神を自主的に実践していく上で必要と思われる項目を例示した。これに基づいて実行の手引き本体を改訂し、公表する。

3.憲章の主な改正点

●サステナビリティ:
前文において“持続可能な社会の創造に向けて自主的に行動する”ことを明記して、社会に積極的に貢献しようとする姿勢を明確にした。
●経済的主体としての価値創造:
企業が社会にとって有用な存在となるには、経済的主体として価値を創造していくことが第一義である。そこで、前文における“単に…経済的主体にとどまらず”という表現を、“…経済的主体であると同時に”に変更した。
●人権:
「憲章本体」の前文において、“人権を尊重”することを明記した。
●個人情報等の保護:
情報化、IT化に対応し、1条に“個人情報・顧客情報の保護”を追加した。
●顧客満足:
1条に消費者・顧客の信頼だけでなく“満足”も獲得することを追加し、重要なステークホルダーである消費者・顧客との良好な関係づくりに、より積極的に取り組むことを表現した。
●サプライチェーン・マネジメント:
2条に“適正な取引”を加えるとともに、9条において企業行動憲章の精神の“グループ企業や取引先への周知”を明記した。
●ステークホルダーとのコミュニケーション:
「序文」においてステークホルダーとの対話をCSRに関する要請として挙げるとともに、3条の「実行の手引きの要点」として積極的な情報開示や社会との双方向の対話促進などを例示した。
●労働:
CSRにおいて重要なステークホルダーとして位置づけられている従業員との関係を、6条から4条に移動した。従業員の多様性の尊重を条文に追加し、性別、人種、障害等の相違を超えて従業員が活躍できる職場づくりの姿勢を明確にした。ILOやグローバルコンパクトなどにおいて要請されている労働に関する原則は、4条の「実行の手引きの要点」に記載した。
●環境:
5条において、環境問題は企業にとっての課題であるだけでなく、“人類共通の課題”と認識して積極的に取り組むことを表現した。
●グローバル化への対応:
8条の“海外”を“国際的な事業活動”に変更するとともに、人権や環境への取り組みなどを視野に入れて、“現地の文化や慣習を尊重”の前に“国際ルールや現地の法律の遵守”を挿入した。

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