[目次] [序論] [総論] [各論] [補論]

国際投資環境のあり方とわが国の対外・対内投資

〜多国間投資協定(MAI)交渉に望む〜

〔序論〕

望ましい国際投資環境のあり方


  1. 今日、財、サービスの移動のみならず、資本・技術の移動が世界経済の成長促進要因となっている。投資の重要性が増加する中、国際投資が円滑に行われる環境をつくることは世界の経済成長につながり、ひいては各国において国民の厚生を高める。

  2. わが国経済界は、投資が自由化され、事業活動の自由が保障され、各国の海外資本が適切に保護され、有効な紛争解決の手段が存在する国際投資環境を望んでいる。OECDで議論されている多国間投資協定(MAI)は、かかる環境を構築する上で一つの国際的な枠組みとして各国共通の基盤を提供するものである。この観点からわれわれとしてもOECD加盟国政府の努力を是とする。

  3. わが国は、国際社会の責任ある一員として、国際投資環境の整備に参加し、投資の活性化に寄与していかなければならない。WTOへのコミットメント、APECに対する貢献に次いで、MAI交渉におけるルールづくりに積極的に参画していくべきである。また、MAIはハイスタンダードな国際条約を目指しているが、海外直接投資の地域的広がりに鑑みれば、その意義についてOECD非加盟国の理解と参加を得ることは重要課題である。わが国はOECD唯一のアジアからの加盟国として、非加盟国によるMAIへの参加を可能にするための提案を行うなどの積極的な役割を担わなければならない。

  4. また、わが国自身、投資の出し手として対外投資相手国の経済発展に寄与するのみならず、対内投資受け入れを促進するための国内投資市場の環境整備に努める必要がある。

  5. 以上の認識に基づき、わが国経済界の視点から、まず、〔総論〕でMAIの枠組みを概観し、その中で特に重要と考える項目について論ずる。次いで〔各論〕で、(1)基本的な考え方、(2)OECD加盟各国を中心とした各国における問題点、(3)MAI交渉に求める点を述べ、〔補論〕でわが国の課題を明らかにする。


日本語のホームページへ