わが国は、少子高齢化と人口減少の同時進行、新興経済国の発展・追い上げ、地球温暖化問題の重要性の高まり等、数多くの課題を抱えている。このような状況を打開し、国民一人一人が豊かさを享受できる「希望の国」を早期に実現するためには、引き続き、構造改革を強力に推進し、民主導による持続的な成長基盤を構築する必要がある。
2008年度は、10年後の日本が目指すべき姿とその実現に向けたロードマップを描いた、日本経団連ビジョン「希望の国、日本」(2007年1月)の具体化を進めるべく、経済・産業・社会・経営労働・国際等の各分野で、以下の活動に取組む。
総会決議の取りまとめ等、日本経団連としての基本的な活動方針を検討・策定する。
国会、与野党、その他関係方面における憲法改正に関する動向を把握するとともに、経済界の意見反映に努める。
経済情勢変化を的確かつ迅速に把握しつつ、人口減少問題を克服し、中長期的に経済活力を維持していくための経済政策に関する提言を取りまとめる。
日本経済の成長をより一層強固なものとするため、社会保障制度の安定財源等としての消費税のあり方、法人実効税率の引き下げ、歳出歳入改革および予算制度改革のあり方、社会保障給付と負担の一体的改革の考え方、基礎年金の税方式化を含む年金制度のあり方等について検討する。
金融・資本市場競争力強化プランの実施に協力することを通じ、国際競争力のある金融・資本市場の構築を目指す。
審査・審判手続の抜本的見直しのための独占禁止法の改正の実現を目指し、政府・与党に働きかける。今後のわが国会計基準のあり方について検討を行う。
規制の適時適切な改廃、規制手法や行政手続の改善、公務員制度改革等の行政の諸課題に取組む。また、道州制のもとでの国・地方の役割分担や税財政制度のあり方、道州制への移行プロセス、議会制度の改革等について検討を深め、提言を取りまとめるとともに、道州制に対する国民の理解を深め、道州制導入に向けた気運を醸成する。
わが国産業競争力の強化に向け、地域活性化に向けた課題について提言を取りまとめる。文化・コンテンツ産業の競争力強化に取組む。企業発ベンチャーに関する報告書を取りまとめる。
道路、港湾、空港等競争力強化に必要な社会資本の効率的な整備、輸出入通関制度の改革等に向け、働きかけを行う。
WTO農業交渉やEPA交渉の動向を踏まえつつ、農政改革の実現を働きかけるとともに、農業界による構造改革に向けた取組みを支援する。
都市再生・地域活性化、PFIの推進、観光立国の推進、住宅・住環境の質の向上に向け、関係方面に働きかけを行う。
第3期科学技術基本計画の中間評価に向け、これまでの施策を評価し、今後強化すべき施策等について提言を取りまとめる。留学生をはじめとする人材獲得・育成のグローバル化促進等について検討を行う。
提言「知的財産推進計画2009の策定に向けて」を取りまとめる。著作権法制の中長期的なあり方に関し、検討を行う。
世界最先端のICT利活用国家に向けて、電子行政、情報セキュリティ対策、高度情報通信人材育成、インターネット管理のあり方について取組む。
次期中期防衛力整備計画への対応を行う。宇宙開発・利用の推進体制・法制、宇宙利用の拡大等に関する提言を取りまとめる。海洋プロジェクトの推進等に向けて働きかける。
ポスト京都議定書の国際枠組に関して、米国、中国、インド等主要排出国が参加する実効的な枠組の構築に向けて取組む。「環境自主行動計画」の達成に努める。廃棄物の適正処理とリサイクルの推進に向けた取組みを行う。
「新・国家エネルギー戦略」、「新エネルギー基本計画」が着実に展開され、エネルギーの安定供給と効率的な利用が図られるよう働きかけを行う。
日本経団連の政策提言や考え方の実現に向け、その内容と背景について各種媒体を通じて広く訴え、理解と支持を得る。
会員企業・団体のトップに対して、「企業行動憲章」の周知徹底と不祥事防止を呼びかける。簡素で効率的な消費者行政の実現に向けて、働きかける。
株主、従業員、消費者・ユーザー、NPO等のステークホルダーと交流を図りつつ、社会的課題の解決に寄与する社会貢献活動のあり方を検討する。
政策本位の政治の実現に向けて、政党の政策評価を実施する。各種レベルでの政党との政策対話を行う。
政府の動きを踏まえつつ、教育再生や高等教育改革等必要な施策について働きかけを行う。
首都直下型地震のケース・スタディを通じて、企業・団体の取組みの現状を再確認する。
「経営と人」に関する日本経団連の基本的な考え方を総合的に検討し、春季労使交渉に際して、全国の企業経営者の指針となる報告を取りまとめる。
全員参加型社会を実現するために求められる労働市場の改革に取組む。2008年度から本格実施されるジョブ・カード制度の普及・定着を促す。
仕事・役割・貢献度を基軸とした賃金制度のあり方に関する報告書を取りまとめる。
労働基準法改正等、労働法改正の課題について検討し、企業実務への影響を考慮して対応を図る。
サービス産業における中小企業のイノベーションと生産性向上の方向性について検討し、報告書を取りまとめる。
ワーク・ライフ・バランス、男女共同参画、ならびに新型インフルエンザへの対応等企業をめぐるリスク対策について検討を行う。
包括的な次世代育成支援の枠組みのあり方について、意見を取りまとめ、働きかける。会員企業・団体に対して、ワーク・ライフ・バランスの自主的な推進を呼びかける。
ILOを中心とする国際労働・社会分野におけるルール作成や議論に積極的に参画する。NICC活動を支援する。
WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結、投資協定や社会保障協定の締結推進、外国政府の不公正貿易措置等の是正や国内通商法制の整備等を働きかける。
わが国の国際協力が直面する諸課題に対する意見書を取りまとめる。政府の「国際協力に関する有識者会議」において経済界の意見を発信する。
貿易・投資の自由化等に関するOECDの取組みに、BIACを通じて、わが国経済界の考えを反映させる。
アジア諸国、EU、米国、資源・エネルギー・食料の供給国等わが国にとって重要な国・地域との経済連携協定(EPA)の締結を推進する。東アジア包括的経済連携の実現に向けた取組みを強化する。
第2回G8ビジネス・サミットを4月に東京で開催する。また共同声明を取りまとめ、洞爺湖サミットの議論に経済界の意見が反映されるよう働きかける。
日米経済連携協定の実現を働きかける。米国、カナダとの民間政策対話の強化に努める。
日EU経済連携協定の実現を働きかける。欧州各国の政府、経済界の要人と意見交換を行う。会長を団長とするミッションを中・東欧諸国に派遣する。
インド、豪州、ベトナム等との経済連携協定の早期実現に向け、交渉の促進を関係方面に働きかける。ASEAN諸国へのミッション派遣を検討するとともに、台湾、香港、韓国等との合同会議を開催する。
各国要人との懇談等を通じ中南米諸国との経済関係の強化を図る。メキシコ、ブラジル等との間で合同会議の開催を検討する。
中東・北アフリカ諸国との間で、エネルギー分野をはじめ多分野にわたる重層的な関係の構築に努める。トルコ等との合同会議の開催を検討する。
ロシアへのミッション派遣、第9回日ロ経済合同会議の開催等を行う。
各国の経営者団体との交流拡大と連携強化を図る。
日本経団連事業サービス、21世紀政策研究所、経済広報センター等の主要関連団体や、ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)日本協会、国際文化教育交流財団(石坂財団)等の奨学事業に対する協力を行う。
公益活動を行う機関等が、経済界に資金援助を求める、いわゆる「経済界募金」に対して協力する。