経団連意見/5月16日

「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針(原案)」に対する経団連意見


本年4月3日、公正取引委員会より「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針(原案)」が公表され、経団連に対して、正式に意見提出が求められた。
そこで、経団連競争政策委員会では、公正取引委員会経済部より小川団体課長を招き、説明会を開催した上(『経団連くりっぷ』8号18頁参照)、会員団体・企業の意見を集約し、標記の経団連意見を取りまとめた。以下はその全文である。

はじめに

今般の「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」改正は、独占禁止法の客観的で透明な運用を進めるために公正取引委員会として適切なガイドラインを示すべきことからも、時宜に適ったものである。
経団連では、「指針(原案)」に対し会員の意見を集約し、以下の通り意見をとりまとめた。公正取引委員会が、当会意見を斟酌され、事業者団体の活動に対する明快な指針を作成されることを期待する。

1.全体的評価

「指針(原案)」は、現行指針に比べて、総じてガイドラインとして理解し易いものとなっていることを評価する。

2.具体的事例の掲載について

「指針(原案)」では、具体的事例の掲載は「原則として違反となるもの」に集中しているが、「違反となるおそれがあるもの」「原則として違反とならないもの」についても、可能な限り各項目ごとに具体的事例を挙げていただきたい。また、審決例のみならず事前相談事例についても全体の理解に有用なものを例示するならば、指針としてより明快なものになると考える。

3.公的規制・行政指導との関係について

「指針(原案)」では、行政との関係において新たに章を起こして具体的な指摘がなされていることは、規制緩和推進の上からも評価できる。
しかしながら、現行指針では、「公正取引委員会としては、独禁法上の問題を起こす可能性のある事業者団体の行為に関する行政指導については、関係行政庁と事前に調整を図ることとしている」と明記されているのに対して、「指針(原案)」ではこのような記載がない。一方、昨年6月に公表された「行政指導に関する独占禁止法上の考え方」の中では「行政機関においては、…個々の事案ごとに事前に公正取引委員会と調整することを期待するものである」としている。
かねてから、経団連は、行政指導に従った行為が独占禁止法違反を問われる場合、民間事業者、事業者団体のみに過大な責任を求めることのないようにするとともに、独占禁止法上問題となり得る行政指導に対しては公正取引委員会の側で積極的に各行政機関に事前調整を求めることを主張してきた。本指針においても、これを考慮されるよう、強く希望する。

4.社会公共的目的に基づく団体の自主的取組みについて

今日の事業者団体は、単に「事業者としての共通な利益を増進すること」(独占禁止法第2条第2項)に止まらず、多様な役割を果たして社会に貢献している。それらの一環として、環境、安全等々の社会公共的な目的に基づき自ら主体的に業界におけるルールを定め、構成事業者にその遵守を求めているが、このような活動に対して、不必要な制約を加えることのないよう、独占禁止法の運用にあたっては、当該活動の社会的意義について十分な配慮がなされるべきである。

なお、経団連会員団体・企業より寄せられた個別の要望・疑問については別紙に整理した通りである。


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