経団連くりっぷ No.89 (1998年11月12日)

証券等健全化機構(仮称)の創設を求める

−持合株式解消の隘路を一挙に解決するためには、商法、税制、会計上の手当てが必要!


2001年の時価会計導入やROE向上に対する経営者の意識の高まりもあって、持合の解消が今後ますます進むとみられる。経団連では、持合株式の消却が市場で株価下げ圧力となっているため、市場外で持合株式の売却、取得を行なえるよう求める「持合株式の交換に関する提言」を8月5日建議した。一方、持合株の解消にあたり、企業によっては、資本充実との両立や税制上のインセンティブ等の手当てが必要になっている。そこで、10月19日、これらの問題を一挙に解決する、5年程度の時限的な公的機関の設置を提言した。なお、21世紀政策研究所をはじめ、株価対策のスキームが数多く提言されており、今後、これに関する議論が深まることが望まれる。


証券等健全化機構(仮称)による持合株式交換スキーム

  1. 機構による持合株式の買取りの仕組み
    1. 持合解消について、2社で合意。機構へ売却する株数(等価ベース)を確定する。
    2. 機構の買取り価額は時価、または簿価。現金の受渡しは行なわず、金融機関、事業法人は機構に対する債権を計上する。
    3. 企業は、機構解散時までに機構が保有する自己株式を当初合意に基づく株数だけ時価で買い付け、消却する。
      その際、当初売却時の債権と自己株式買付価額を相殺し差額を決済する。
      自己株式買付価額が売却時債権に満たない場合には、差額債権は放棄する。
      (時価が債権額を上回る場合には機構に売却益が生じる)

  2. 課税上の扱いその他
    1. 機構を経由した交換における税制上の特例と、自己株式を消却した際の一定割合を損金算入する税制上の特例を講じる。
    2. 機構が保有する株式の議決権その他の共益権は認めない。
    3. 対象は公開会社が保有する持合株式。


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