経団連くりっぷ No.132 (2000年9月28日)

国土・住宅政策委員会(共同委員長 田中順一郎氏)/9月13日

平成13年度税制改正に対する建設省の考え

−住宅税制を中心に建設省三沢住宅局長と懇談


来年度税制改正への対応について、住宅税制を中心に建設省の三沢眞住宅局長から説明をきくとともに、意見交換を行なった。当日は、併せて、住宅関係税制改正要望案の審議(1頁5頁参照)ならびに土地・住宅分野の規制改革要望案の審議を行なうとともに、政府の都市再生推進懇談会において経団連が提案した東京圏都市新生プロジェクトについて報告した。

  1. 三沢住宅局長説明要旨
    1. 住宅着工戸数は、住宅ローン控除制度導入以降、順調な伸びを示し、本制度延長直後にも大きな伸びを記録している。また、住宅投資の経済波及効果は大きく、住宅投資は、原材料への生産誘発効果、耐久消費財購入への波及効果に加え、雇用誘発効果も伴う。しかし、現行の住宅ローン控除制度は、来年6月末入居分までで期限を迎えるため、このままでは、景気の下支え的な役割を果たしてきた住宅建設の減退は避けられず、景気への悪影響が予測される。
      そこで、建設省は、来年度の税制改正に向け、「選択式マイホーム減税制度」の創設を要望している。本制度は、利用者の選択により効果的な政策支援が実現されるよう、

      1. 30代で持家が持てるよう、一定の控除率で15年間税額控除する選択肢、
      2. 40〜50代の二次取得者層を支援する観点から、質の向上を要件に、適用期間は10年間とするものの、ローンの初期負担の一層の軽減を図る税額控除が可能となる選択肢、
      を用意している。
      また、住宅ローン利子所得控除制度の導入は、今後の景気動向等を注視しつつ、引き続き検討を行なうことにした。

    2. 高齢化社会の中で、将来親との同居にも対応できるゆとりある住宅が求められており、約1,300兆円の貯蓄資産の内、約5割を保有する高齢者の資産を活用した住宅投資を促進させる必要がある。また、住宅ローン返済世帯は、他の勤労者世帯に比べ、その消費性向が著しく低い。景気浮揚の観点から、住宅ローンの負担軽減を図り、低迷している個人消費を活発化させることも重要である。このような観点から、住宅資金贈与の特例(両親もしくは、祖父母から、住宅取得資金を贈与された時、現行300万円までが非課税限度額となる)の拡充を要望している。

  2. 意見交換(要旨)
  3. 経団連側:
    昨今、住宅の受注高やマンションのモデルルーム集客数が、減少傾向にある。住宅ストックを社会資本整備の一環と捉え、更なる質の向上と景気対策の面から、建設省要望を実現してもらいたい。

    建設省側:
    現行の住宅ローン控除制度は、景気対策ということで時限的に創設できたが、今回の、建設省住宅税制要望に対する大蔵省、自民党税調の反応は、楽観視できるものではない。来年度税制改正に向け、世論ならびに経済界の後押しが必要である。

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