経営タイムス No.2634 (2002年6月20日)

日本経団連が理事会開催

−税制第3次提言など審議


 日本経団連は18日、日経連・経団連の統合後初の理事会を開催し、税制第3次提言や経済活性化に向けた規制改革緊急要望などについて審議するとともに、企業の社会的責任に関する国際基準・規格の動向と今後の対応などについて各委員会が報告した。

 今回の理事会では、7つの議件を審議。1. 税制第3次提言「税制抜本改革の断行を求める」については、森下洋一副会長・税制委員長が説明(本紙6月13日号既報)、2. WTOサービス貿易自由化交渉 人の移動に関する提言については槙原稔副会長・貿易投資委員長が説明、3. インターナショナルスクール問題に関する提言については、浜田広副会長・教育問題委員会共同委員長が、4. PFIの推進に関する第2次提言については平島治・国土・都市政策委員会共同委員長が、5. 経済活性化に向けた規制改革緊急要望については鈴木祥弘・行政改革推進委員会規制改革推進部会長が説明。そのほか、6. 知的財産戦略についての意見、7. 会員異動――について事務局が報告し、全議件の承認を得た。

 この中で、WTOサービス貿易自由化交渉人の移動に関する提言については、一時的な人の移動の活性化が、経済活性化に資するものであり、長期的には世界経済の発展につながるものとする考えの下に、具体的にはビザ発給手続きの透明化や実務経験期間の要件緩和など、入国管理手続きの運用改善を図りつつ、高度な技術・知識を有する人材の受け入れ体制・環境の整備に努め、実現していくことを課題としている。

 インターナショナルスクール問題に関して提言を発表するのは今回が初めて。国際的に通用する英語力と、異なる文化や価値観を理解する能力を身につけた人材を育成することが、国家戦略の一つとして取り組むべき課題であることから、これらの目的に合致する教育機関の一つとしてインターナショナルスクールに着目し、それを取り巻く問題点と改善点について提言したもの。入学希望者が急増し、受け入れ能力が限界に達している現状や、正規の「学校」ではなく各種学校扱いであるなどの問題点を指摘し、改善策として、卒業生に対する上級学校(大学・高等学校)入学資格付与、税制上の優遇措置導入、施設整備の弾力化――などを挙げ、将来的な課題として、教育機会の多様化やアジア諸国の学生が共に学ぶ学校構想の実現を提起している。PFIの推進については、PFI事業を実際に手がけた地方自治体や民間事業者などの経験・課題について意見・情報を交換する場として17日に、官民交流PFIシンポジウムを東京・大手町の経団連会館で開催。官民の意見交換などを通じて、健全な官民パートナーシップの構築を探った。

 会員の異動については、新たに6社の入会を承認した。

 理事会ではそのほか、1. 企業の社会的責任に関する国際基準・規格の動向と今後の対応、2. 地球温暖化問題、3. 第1回産学官連携推進会議の模様、4. ILO総会(別掲)――が報告された。


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