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経営タイムス No.2662 (2003年2月6日)

日本経団連、関西会員懇談会を開催

−奥田会長「ビジョンの実現へ強力な活動を展開」


日本経団連(奥田碩会長)は1月30日、大阪・中之島のリーガロイヤルホテルで、関西会員懇談会を開催した。懇談会には奥田会長はじめ首脳役員、関西地区会員など210人が参加し、「活力と魅力溢れる日本をめざして」をテーマに意見を交換した。奥田会長は、日本経団連の今年の課題としてまず、「年初に発表したビジョンの実現に向けた活動を強力に展開していく」と強調。経済や社会の大胆な変革を促すには、「敢えてタブーに挑戦してでも、主張すべきことは主張する」と述べ、今後は、消費税問題を切り口に国民的な議論をさらに盛り上げたいとの意向を示した。会合では、日本経団連首脳から当面する課題や取り組み状況が報告されたほか、長岡正司・グンゼ会長はじめ関西地区会員から税制や環境・労働、技術開発問題などについて発言があった。

冒頭あいさつで奥田会長は、年初に発表した「活力と魅力溢れる日本をめざして」と題するビジョン(1月14日号既報)を中心に、日本経団連の最近の活動と今年の課題を紹介した。今年の課題としてはまず、ビジョンの実現に向けた活動の強力な展開を掲げ、経済や社会の大胆な変革を促すには、「敢えてタブーに挑戦してでも、主張すべきことは主張する」と強調。今後は、消費税問題を切り口に国民的な議論をさらに盛り上げたいとの意向を示した。
このほか、(1)税制・社会保障制度・規制改革などの経済構造改革を本格的な軌道に乗せ、民間が真に活力を発揮できる経済システムの実現 (2)企業不祥事の発生防止、企業倫理の徹底 (3)春季労使交渉への取り組みを今年の課題として挙げた。

活動報告ではまず、日本経団連から、森下洋一副会長が「税制改正をめぐる動向」について、「15年度改正では、研究開発減税・IT投資促進税制の創設などの成果を得た。今後は、社会保障負担の増大や財政の健全化に対応し得る税制の確立、特に消費税をどう位置付けるかが重要なテーマになる」と報告。
「社会保障制度改革への取り組み」については、西室泰三副会長が、日本経団連が取りまとめた「医療制度の抜本改革に関する基本的考え方と厚生労働省試案に対する見解」を基に、「良質な医療を効率的に提供する仕組みを構築して、医療制度に対する国民の信頼を回復するよう抜本的な改革を求めている」と説明した。

意見交換ではまず、関西地区会員から、「雇用維持のセーフティネット整備はほとんどが社外に対するもの。少なくとも6カ月程度の社内転換教育に対する助成が検討されるべきだ」(長岡正司・グンゼ会長)との要望があった。
また、都市再生について、鴻池一季・鴻池組会長兼社長は、首都圏への一極集中と地場産業の空洞化で、商都・大阪の「地盤沈下」が進んでいることを憂慮。「関西地区は、都市型インフラ整備が不十分であり、世界と競い合うためにもインフラ整備の重要性を見直す必要がある」と述べた。
新明和工業の才川至孝会長は、今後の技術開発や研究開発強化のため、若い研究者の育成が重要と指摘。「世界をめざす若手の評価を高める方法を制度化しては」と提案した。
続いて、牧野明次・岩谷産業社長は、燃料電池や水素エネルギー開発による、同社の環境問題への取り組みを紹介。「水素は危険というイメージ払拭の啓蒙活動も当社の責務と考える。安全かつ安価な水素供給ステーション設置に努めたい」と語った。
また、日東電工の山本英樹会長は、日本経済活性化は「製造業が世界の中で比較優位の分野をどれだけ築けるかにかかっている。その原動力は技術である」と語り、研究開発減税を積極的に活用していくことで、2003年は製造業復活の第一歩となる、とした。

自由懇談では、秋山喜久関西電力会長が、「活力ある日本実現へビジョンの実現を望む。これからのわが国発展の原動力は、多様性、独自性である。地域も同様である」との考えを示した。

懇談ののち、奥田会長は、(1)日本を再生させ、日本を救う唯一の道は、生産技術を進化させること (2)都市再生には、住宅環境の整備が不可欠。住宅で内需を喚起すべき (3)「働いてみたい、暮らしてみたい」という魅力ある関西をつくるという大きな気持ちで、「地盤沈下」を食い止めてもらいたいなどと総括した。


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