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経営タイムス No.2669 (2003年3月27日)

日本経団連「新IT戦略」で提言

−「一つの」電子政府早期実現など


日本経団連は18日、新IT戦略に関する提言を発表した。同提言は、情報通信委員会情報化部会報告「新IT戦略のあり方について」で述べている具体的な方策のうち、特に重点を置くべき項目についてとりまとめたもの。(1)「一つの」電子政府の早期実現等 (2)「安心・安全な」電子政府の確立 (3)民が「公」を担う「電子社会システム」の実現 (4)標準化等の推進 (5)IT外交の展開――の5つで構成。なお、部会報告では、戦略の現状評価や新戦略のねらい、オープンな推進体制などについても言及している。概要は次のとおり。

戦略の現状評価にも言及

現行e―Japan戦略により、インフラの整備、電子商取引のルール整備、行政手続オンライン化法の施行など、いくつかの進展が見られるが、国民や企業がITの恩恵を十分に実感できる状況には至っていない。
このような現状評価を踏まえれば、今後は、現戦略の成果をもとに、ITの利活用を推進することにより、わが国経済社会の課題を解決し、産業競争力の強化、国民生活の質的向上につなげていくことが重要である。新戦略はそのためのものでなければならない。
今、わが国の経済再生に向けて取り組むべき課題は、構造改革による効率性の追求と新価値創造による活力の醸成の2つであり、ITはこのいずれにも有効なツールとなる。新IT戦略には、総理の積極的な関与と明確な「国家経営戦略」が不可欠である。
戦略とそれに基づく各種施策を、IT戦略本部が中心となって遂行することになるが、その際には、成果目標を明確にするとともに、その達成状況を、国民と企業の声に支えられた第3者機関が監視・評価し、改善策を勧告する必要がある。それにより、戦略が経済社会活動に浸透し、国民と企業の声を原動力に必要な改革を推進することができる。
戦略の推進にあたっては、仮説と検証のサイクルが特に重要であり、仮説に基づく「大胆な実験」とも言える施策が適当でないと判断されるに至った場合、速やかに撤回することも必要である。それを可能にするのが第3者機関による検証であり、仮説と検証のサイクルを既存の行政評価・監視機能をも活用して継続していくことが同機関の重要な役割となる。


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