[ 日本経団連 ] [ 機関誌/出版物 ] [ 経営タイムス ]

経営タイムス No.2677 (2003年5月29日)

日本経団連、第2回定時総会を開催

−新副会長7氏ら選任、「決議」了承


日本経団連(奥田碩会長)は27日、東京・大手町の経団連会館で定時総会を開催した。昨年5月に経済団体連合会(経団連)と日本経営者団体連盟(日経連)が統合して2回目となる今回の総会では、冒頭に奥田会長があいさつし、「政治や経済の改革を促し、企業が活力を発揮できる環境整備に全力で取り組む」との決意を示した。その後、来賓の塩川正十郎・財務大臣、竹中平蔵・金融担当・経済財政政策担当大臣があいさつしたのに続いて、議案の審議が行われた。2002年度の事業報告・収支決算や、2003年度の事業計画・収支予算、役員等の選任、『民主導・自律型の経済社会の実現に向け改革を進める』と題する「決議」などを諮り、全会一致で了承。2年目を迎えた日本経団連の新体制と活動方針が決定した。

新体制と活動方針決定

冒頭のあいさつ(別掲)で奥田会長は、日本経済の厳しい現状を指摘し、日本経済の再生のためには、資産デフレの克服と構造改革に、「官民がこれまで以上のスピードで取り組まなければならない」と語った。
その上で、「新たな時代にふさわしい日本独自の成長モデルの確立が急務」との考えから、今年1月に発表した新ビジョンが目標としている「民主導・自律型の成長メカニズムが機能する経済社会」の実現を、今年度の活動の柱とする意向を表明。そのための重要課題として、

  1. 持続可能な財政・社会保障制度への再構築
  2. 21世紀の日本の新たな成長基盤の確立
  3. 戦略的な通商政策の展開
  4. 政治との関係強化
の4点を掲げ、これらの活動を通じて、政治・経済の改革の促進と、企業が活力を発揮できる環境の整備に向け、全力で取り組む決意を表明、会員に理解と協力を求めた。

続いて、来賓として出席した塩川財務相、竹中金融・経済財政政策担当相があいさつを行った。「予算規模が経済効率に見合っているか見直して歳出削減する」(塩川財務相)、「少なくとも10年を目途に財政の基礎収支を均衡化させることが必要」(竹中金融・経済財政担当相)など、財政健全化への決意表明が続いたほか、「日本経済の活性化や繁栄に直接影響のある企業に活躍してほしい」(塩川財務相)と要望する発言もあった。

議案の審議では、理事や常任理事、評議員など役員等の補充選任、2002年度事業報告および収支決算、2003年度の事業計画および一般会計収支予算、2003年度会館事業計画および事業会計収支予算、2003年度21世紀政策研究所事業計画および収支予算――に関する件について諮り、承認を得た。このうち、2003年度の事業計画では、政策全般、経済・法制関係、行革・産業・国土関係、技術・環境・エネルギー関係、社会関係、労働関係、国際関係――の側面から、日本が直面している諸課題解決のための活動に取り組むこととしている。

次に、役員等の選任に移り、副会長に三木繁光・東京三菱銀行頭取、宮原賢次・住友商事会長、庄山悦彦・日立製作所社長、西岡喬・三菱重工業社長、出井伸之・ソニー会長兼CEO、武田國男・武田薬品工業社長、和田紀夫・日本電信電話社長の7氏を選任した。
また、奥田会長の諮問機関である評議員会の議長に、副会長を退任する森下洋一・松下電器産業会長、副議長に平島治・大成建設会長、伊藤源嗣・石川島播磨重工業社長、池田守男・資生堂社長、勝俣恒久・東京電力社長の4氏を選任した。
一方、副会長を退任するのは森下氏のほか、浜田広・リコー会長、岸曉・東京三菱銀行相談役、奥井功・積水ハウス会長、片田哲也・小松製作所相談役の4氏。
また、副会長となる庄山氏と出井氏のほか、樋口廣太郎・アサヒビール相談役名誉会長、伊藤助成・日本生命保険会長、今村治輔・清水建設会長、大澤秀次郎・新日本石油相談役の4氏が、評議員会副議長を退任する。

議案の最後には、『民主導・自律型の経済社会の実現に向け改革を進める』と題する「決議」を諮った。決議文について槙原稔副会長は、「資産デフレの克服といった当面の問題への対応に加え、新ビジョンの実現に向けて活動するための重要課題をとりあげたもの」とした上で、基本的な考えを述べた「前文」と、産業・金融再生や競争基盤強化、環境立国実現など8項目の重要課題を示した「記」、政治とのつながりを述べた「後書き」の3部から成ると説明した。槙原副会長の説明後、全会一致で承認が得られたことから、決議文全文を読み上げ、議案の審議を終了、第2回定時総会は閉会した。


日本語のトップページ