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経営タイムス No.2699 (2003年11月13日)

第56回東北経営者大会

−自立する東北実現への取り組み確認

−規制改革など求める「大会決議」採択


第56回東北経営者大会(主催=東北経営者協会、山形県経営者協会、協賛=日本経団連)は10月30日、山形市内のホテルで東北各県の経営者協会会員企業のトップら約550名が参加して開催された。同大会では、日本経団連の奥田碩会長が「グローバル経済と企業経営」と題して基調講演を行ったほか、地域振興、社会保障、政治・経済、雇用・労働問題などについて、奥田会長、千速晃副会長ら日本経団連首脳と参加者とで意見を交換。基調講演と意見交換を踏まえ、同大会の総意として、規制改革や税制改革、基礎的社会資本の整備、社会保障制度の再構築、人材育成の強化、中小企業への資金や人材面の支援強化、観光産業の振興などを政府・関係機関に要請する大会決議を採択した。

日本経団連首脳と参加者が意見交換

基調講演で奥田会長は、明るさが見えてきた日本経済の回復を確実なものにするためには構造改革を通じた経済活性化に取り組んでいく必要があると指摘。そのための具体的な方策として、日本経団連が1月に発表した新ビジョンで、財政制度改革や社会保障制度改革、国・地方の改革を挙げ、経済・財政・社会保障の持続可能なグランドデザインを描き、国民の将来不安を払拭することが不可欠であると強調した。
また、地域の活性化の実現には中小企業の活性化と、国と地方との関係の見直しが重要であり、そのために、(1)行政サービスの民間開放 (2)地域の基幹産業の事業転換等への支援 (3)地域の新規産業の創出――を推進すべきとの考えを示した。
最後に奥田会長は、65歳定年延長問題について言及。高齢者雇用促進の必要性に理解を示した上で、(1)企業経営への影響が大きすぎる (2)労働市場への影響が非常に大きい (3)各企業の経営や労使関係の実情に応じた対応ができない――ことから、「各企業労使の取り組みに委ねるべきであり、現時点での法制化は時期尚早」との見解を示した。

意見交換では、地域振興、社会保障、政治・経済、雇用・労働問題などについて、各県の経営者協会の代表が発言。「地域の期待が大きく成果が明確な構造改革特区は全国的に普及・実践に移すべき」との意見に対して奥田会長は、「速やかに全国展開すべきで、日本経団連としても政府に強く主張していく」と答えた。
さらに、平成16年度の年金制度改革の基本的考えについて問われた奥田会長は、保険料率、給付水準の引き下げ幅、基礎年金の国庫負担割合をどう組み合わせて持続可能な制度とするかが最も重要であると語った。

また、中小企業への日本経団連の係わりについての質問に千速副会長は、「中小企業の発展なくして日本経済の発展はあり得ない」とし、日本経団連としては、「各地域の意見を聞くとともに、中小企業委員会や地域活性化委員会等の活動を通じて、具体的な提言をしていきたい」と述べた。

同大会は、基調講演と意見交換を通じて、技術革新や人材育成など「経営構造改革」に努めることや、社会資本の整備と内発的な産業の育成により自立する東北の実現に向け取り組むことを確認。大会の総意として、決議を採択し閉会した。


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