日本経団連タイムス No.2732 (2004年7月29日)

「日本は国としてどうあるべきか」

−日本経団連、東富士夏季フォーラム開催


日本経団連(奥田碩会長)は22、23の両日、静岡・小山町の経団連ゲストハウスで「第3回東富士夏季フォーラム」(議長=千速晃副会長)を開催した。同フォーラムには、奥田碩会長、森下洋一評議員会議長はじめ、副会長、評議員会副議長、関係委員長ら35名が参加。「日本は国としてどうあるべきか」を統一テーマに、活発な議論を展開、変化の激しい国際情勢の中で、日本の政治・外交・安全保障・憲法・経済がいかにあるべきかについて意見を交換した。

奥田会長、議論活発化へ期待感示す

開会あいさつで奥田会長は、日本という国が、国民や企業にとって胸を張って誇れる“かたち”になっているかを考えなければならないと指摘し、国のあり方を明確にするための道筋をつけることが必要だと訴えた。さらに奥田会長は、今回のフォーラムでの議論をきっかけに、国のあり方をめぐる議論が一層活発になるよう期待感を示した。

第1セッションでは、「国際情勢の変化と日本の針路」をテーマに、東京大学東洋文化研究所所長の田中明彦教授が講演。近年の国際情勢の変化を概観するとともに、そうした変化に対応して、安全保障戦略や外交戦略、憲法改正など、国の基本にかかわる問題をどう考えるべきかを整理した概要別掲)。

第2セッション「日本の近代史からみる日本の針路」では、作家の半藤一利氏が、開国から現在に至るまでを振り返り、歴史的・文化的にみた日本の姿とあり方を述べた。戦後、世界有数の経済大国となったものの、現在の日本にはかつてのような基軸となるものが見当たらないと指摘し、国民全体で新たな基軸を作り上げていく必要があると説いた概要別掲)。

第3セッションでは、「変化するアジアと日本の対応」と題して、京都大学東南アジア研究所の白石隆教授が講演した。欧州統合との対比の上で東アジアの経済統合の特質について概説するとともに、東アジア共同体構築の必要性に言及し、そのための戦略的なビジョンを作成する場を官邸内に設けてはどうかと提案した(概要次号掲載)。

第4セッション「日本企業の競争戦略」では、一橋大学大学院国際企業戦略研究科長の竹内弘高教授が講演。戦略的ポジショニングや、形式知と暗黙知といった概念に言及した上で、競争力をさらに強化するためには、相矛盾する“二律背反”の要求に応える弁証法的経営が必要であるとの考えを示した(概要次号掲載)。

最後に行った非公開セッションでは政治について議論を行い、第2次政策評価を9月または10月に、優先政策事項の改定を10月ごろに、公表する予定であるとし、2日間の日程を終了した。

構造改革実現への決意表明

― 小泉首相あいさつ

閉会後の夕食会には、小泉純一郎首相が来賓として参加した。あいさつの中で小泉首相は、「自らの責任を自覚し、まっとうするのが私の使命」と述べるなど、構造改革の実現に向けて強い決意を表明した。

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【社会本部担当】
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