日本経団連タイムス No.2942 (2009年3月12日)

日本経団連と連合が雇用安定・創出に向けた共同提言を取りまとめ

−雇用安定・維持の取り組み、政労使の合意形成要請


日本経団連(御手洗冨士夫会長)と連合(高木剛会長)は3日、「雇用安定・創出に向けた共同提言」を取りまとめた。個別労使間で具体的に進みつつある雇用維持の取り組みを一層積極的に展開することを確認するとともに、政府に対して雇用のセーフティネットのさらなる強化を求めた。両団体は、厳しい雇用失業情勢に鑑み、1月15日に「雇用安定・創出に向けた労使共同宣言」1月22日号既報)を公表したが、雇用失業情勢の悪化が懸念されることから、国民の雇用不安を解消するために、改めて政労使一体となった雇用の安定・維持の取り組みについて提言した。

公表にあわせて、河村建夫内閣官房長官と舛添要一厚生労働大臣に建議し、政労使間で早急に合意形成を図るよう要請した。

共同提言は、雇用の維持が最優先課題であるとの労使共通の認識は、厳しい経営環境にあっても、「いささかも変わることはない」ことを明らかにしている。その上で、「雇用調整助成金の要件等のさらなる緩和、内容の拡充等を行い、雇用維持に向け、一層の環境整備を図っていく必要がある」とし、支給限度日数の撤廃・緩和、助成率や教育訓練費の拡充についての検討を求めている。

加えて、雇用維持に向けた労使間の取り組みを進める際には、配置転換や休業等、「日本型ワークシェアリング」ともいえる雇用維持に向けたさまざまな方策について、「労使が十分に話し合いを行い、合意の上で進めなければならない」としている。

また、「雇用のセーフティネットの強化」として、政府に対して、人材不足に陥っている分野や、新規雇用創出が期待される分野などに対応した公的職業訓練の充実を求めた。

さらに、雇用保険の基本手当を受給できない就職困難者に対しては、公的職業訓練を受講する期間中の生活の保障を確保するため、「就労支援給付制度(仮称)」を創設し、一般会計により財源を手当てするべきであるとした。そのほか、現下の厳しい雇用失業情勢を踏まえ、全国ネットワークのハローワークの機能・体制を抜本的に拡充・強化すべきことも求めている。

なお、雇用の安定・創出のためには、政労使一体となった雇用創出に向けた取り組みが不可欠である。そこで、「ふるさと雇用再生特別交付金」により、各都道府県に創設される基金によって、地域の実情にあった創意工夫に基づき、地域求職者などを雇い入れる事業に対して、労使が積極的に支援していく必要があるとしている。

【労政第一本部雇用管理担当】
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