表紙イメージ 経済Trend ロゴ2008年8月号

これからの賃金制度を考える
今月の表紙: 大谷絵美 作 「金魚」 (アートビリティ登録作品)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い絵画を厳選してご紹介しています。

巻頭言

公務員制度改革 ― 小さな第一歩
前田晃伸 (日本経団連副会長/みずほフィナンシャルグループ社長)

特集
これからの賃金制度を考える

グローバル化の進展や少子高齢化に伴う国内人口減少の進行など、急速に進む環境の変化を背景に、賃金制度の見直しは企業の大きな課題である。長期雇用を基盤とする成長のための「企業戦略」の視点や、従業員のモチベーションの維持・向上のための「公正性」の視点から、今後の賃金制度のあり方について議論する。
座談会
市野紀生 (日本経団連労使関係委員会共同委員長/東京ガス会長)
経営環境が急激に変化する中で、今後の賃金制度は、仕事・役割・貢献度を基軸とした変革が求められる。一方、業績だけに偏った人事考課ではチームワークを壊しかねない。当社では部下指導や組織貢献度等も評価項目に入れ、中長期の人材育成や職場内コミュニケーションの充実にも努めている。
長谷川閑史 (日本経団連評議員会副議長/武田薬品工業社長)
競争力のある、筋肉質な企業体質づくりに向け職務給制度を導入しているが、公正性や納得性を高めるために、あわせて360度評価や風土・意識調査などの補足制度の導入にも取り組んでいる。賃金そのものだけでなく、モチベーションをあげ、全体のパフォーマンスを向上させる仕組みが重要である。
村井良行 (日本経団連労使関係委員会政策部会長/日本たばこ産業常務執行役員(当時)/TSネットワーク代表取締役専務)
人事考課は仕事の結果に対してだけではなく、プロセスや行動特性に対しても行う必要があり、そのためには、日ごろのコミュニケーションが重要になる。また、考課者と被考課者間で共有する評価基準を基に、評価結果をフィードバックし、被考課者のプラス部分を一層伸ばしていくことが求められる。
中島厚志 (みずほ総合研究所専務執行役員)
ますます激変する経済環境の中で、今企業にはブレークスルー思考と経営努力による経営革新が求められている。多様な労働力、多様な働き方をも校正に評価・配分できる制度構築とあわせて、時代を見据え、パラダイムの変換にも対応できるような制度改革と人材育成を考える必要がある。
川本裕康 (司会:日本経団連常務理事)

●賃金を取り巻く環境の変化と課題

●公正性の確保を視点にした賃金制度へ

●賃金制度改革の実際

●評価制度の運用の充実に向けて

仕事・役割・貢献度を基軸とした賃金制度の構築・運用に向けて
指田禎一 (日本経団連労使関係委員会共同委員長/日清紡績会長)
【 企業事例 】
チームワークをベースにした「職務と成果」に基づく人事・賃金制度
青木 寧 (花王執行役員人材開発部門統括)
  • 制度導入にあたって
  • 役割等級制度の概要
  • 報酬(給与・賞与)の考え方
  • 役割等級内の昇給の仕組み
  • 今後の課題
自律した強い個人を育成し、会社の発展を目指す
〜キヤノン役割給制度と人事評価制度
浦元献吾 (キヤノン人事本部長)
  • 「役割」と「成果」に基づいた役割給制度を導入
  • 人材育成と強い組織の実現を目的とした人事評価制度
  • 評価者・被評価者に対する施策〜制度運用の充実に向けて
横河電機のミッションスタンダード制度
相澤動太 (横河電機経営管理本部人財センター長)
  • 人事制度革新の目指すもの〜会社と個人の新たな関係づくり
  • 組合員の制度概要
『職務』に着目した旭硝子のジョブ・グレード制度
〜役職者を中心とした人事革新
川上真一 (旭硝子執行役員総務人事センター長)
  • 制度導入にあたって
  • 人事制度(等級)の全体イメージ
  • 「人」から「職務」に着目した制度への見直し
  • 役職者の報酬は年俸制を採用
  • グローバル連結の観点、課題
期待役割・期待成果(=期待貢献)を基軸とした処遇の実現に向けて
佐々木新志 (大日本印刷労務部エキスパート)
  • DNPグループ21世紀ビジョンを策定
  • 新人事諸制度の方針
  • 新人事諸制度のポイント
  • 今後について
役割・成果・能力をベースにした人事・賃金制度
扇 慎哉 (ニチレイプロサーヴ人事総務サポート部人材開発グループグループリーダー)
  • 制度改定にあたって
  • ニチレイ型成果主義の仕組み
  • 今後の展開について
役割・成果に応じた処遇の実現にむけて
生方誠司 (サッポロビール人事総務部人事グループリーダー)
  • 制度改定にあたって〜活力ある組織風土をつくるために
  • 職能資格制度から役割要件制度へ
  • 役割要件制度に対応した賃金体系の再設計
  • 役割給の仕組み
  • 今後の課題
グローバル化時代の人事管理のあり方
今野浩一郎 (学習院大学経済学部教授)
賃金体系変更に関わる判例分析と法的留意点
山中健児 (石嵜信憲法律事務所パートナー弁護士)

中東欧諸国へのミッションを終えて
〜拡大EUのビジネス戦略構築に向け政府・経済界首脳と意見交換
御手洗冨士夫 (日本経団連訪中東欧ミッション団長/日本経団連会長)
提言
再び改革を前進させるため、政治主導の取り組みを
「2008年度日本経団連規制改革要望」を発表
前田晃伸 (日本経団連副会長・行政改革推進委員長/みずほフィナンシャルグループ社長)
「ねじれ国会」が示すこと
〜政策本位の政治への積極的行動の必要性
大橋光夫 (日本経団連評議員会副議長・政治対策委員長/昭和電工会長)
これからのILOの活動の方向性
〜第97回ILO総会に参加して
立石信雄 (日本経団連国際労働委員長/オムロン相談役)
開かれたシンクタンク
21世紀政策研究所の活動状況
宮原賢次 (21世紀政策研究所理事長/住友商事相談役)
多様化する人材活用に関わる法的留意点と実務対応
〜第101回 日本経団連労働法フォーラム
日本経団連労政第二本部
〈調査〉
2007年夏季・冬季「賞与・一時金調査結果」について
日本経団連労政第一本部

● 国際標準化最前線
国際標準化機関における日本の企業人のさらなる活躍を期待する
〜国際標準化最前線インタビューを終えて〜
日本経団連産業第二本部
● あの時、あの言葉
君子ハ坦トシテ蕩蕩タリ
伊藤直彦 (JR貨物会長)
● 経営者のひととき
至福のひととき
島野容三 (シマノ社長)
● エッセイ「時の調べ」
野外フェスティバルの楽しみ
幸田浩子 (ソプラノ歌手)
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
10年を経て振り返るアメリカ留学
澤田典子 (静岡大学人文学部准教授)
● NEW FACE
郵船航空サービス

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