表紙イメージ 経済Trend ロゴ2010年1月号

アジアから世界経済の成長を切り拓く
今月の表紙: 浅井力也 作 「二つの太陽」 (1992年作品)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い絵画を厳選してご紹介しています。

巻頭言

経済再生への覚悟
御手洗冨士夫 (日本経団連会長)

特集
アジアから世界経済の成長を切り拓く

米国、欧州、日本が世界経済危機による影響をいまだ払拭できないなか、アジア諸国の景気回復は急速に進んでおり、その潜在成長力の強さを見せている。アジアが今後、さらに発展していくためには、地域経済統合の推進や各種インフラ整備を通じ、成長のボトルネックを解消することで、持続的成長の基盤を強化・確立していくことが欠かせない。そのために、わが国に課せられた役割や貢献は何か。アジア諸国との一層の連携強化に向けた方策を探る。
座談会
槍田松瑩 (日本経団連副会長・国際協力委員長/三井物産会長)
アジア経済は世界経済危機のなか、いち早く立ち直りを見せた。その潜在的な成長力はこれからの世界経済を牽引し得るものである。中国やインドでは、富裕層が拡大しており、「世界の工場」から「新たな経済市場」としての役割も期待される。わが国は、官民一体で、アジアとの経済連携に取り組むべきである。
大橋洋治 (日本経団連副会長・経済連携推進委員長/全日本空輸会長)
人・モノ・サービスなどが自由に移動する地域を拡大するという観点から、ASEAN+6、さらにはAPEC規模のFTAAPの実現を目指すべきである。また、中国の海外旅行者は年間4000万人を超えており、わが国は観光産業クラスターを創成し、ニーズに応え得る商品を開発していく必要がある。
白石 隆 (総合科学技術会議議員)
わが国はアジアにおける政治経済秩序の長期的な予測可能性を高めるため、安全保障における日米同盟の堅持を明確に打ち出すべきである。中国の経済的台頭とともに、米中の力はますます拮抗し、それにともないアセットとしての日本の存在はますます重要になる。アセットとしての日本の価値を高めるため、日本は世界とアジアの直面する課題を解決する「科学・技術・イノベーション立国」を目指し、そのためにはアジアの人材の育成・内部化が鍵になる。
河合正弘 (アジア開発銀行研究所長)
成長著しいアジアでは、富裕層や中間層を奪い合う、グローバルな企業間競争が生じる。日本企業が勝ち抜くには、優れた技術をバックに価格を抑えて新たなアジア市場を開拓する戦略が不可欠である。エコ、グリーン産業は有望で、CO2削減への影響力の大きい中国が環境問題にどれだけコミットするかが鍵となる。アジア域内での為替レート協調も中国の為替政策の動向にかかっている。
久保田政一 (司会:日本経団連専務理事)

●最近のアジアをどう見るか〜アジアは世界経済を牽引できるか

●地域経済統合に向けて

●ソフト・ハード両面でのインフラ整備の必要性

●アジア経済の持続的な成長のために

回復基調に転じるASEAN各国と民間連携を深める
〜ASEANミッションがタイ、シンガポール、ベトナムを訪問
御手洗冨士夫 (日本経団連会長)
<提言>
アジア経済の成長アクション・プランの実現に向けて
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/098.html
福林憲二郎 (日本経団連国際協力委員会政策部会長/住友化学専務執行役員)
藤野 隆 (日本経団連アジア・大洋州地域委員会企画部会長/旭硝子執行役員 経営企画室長)
アジア経済統合への期待
東アジア経済統合への期待
〜ASEANの視点
スリン・ピッスワン (ASEAN事務総長)
  • 地域経済統合の中心的役割を担うASEAN
  • 1つのビジョン、1つのアイデンティティー、1つのコミュニティーを目指して
東アジア経済統合への期待
ハンク・リム (シンガポール国際問題研究所(SIIA)研究部長)
  • 協力から統合への歩を進めるために
  • 東アジアの多様性をふまえた統合プロセスが重要
東アジア経済統合への期待と統合のあり方
朱  炎 (拓殖大学政経学部教授)
  • 経済統合の望ましい進め方
  • アジア内需の形成
アジア経済統合の深化
経済連携協定と広域インフラ・プロジェクトの推進
木村福成 (慶應義塾大学経済学部教授/東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)チーフエコノミスト)
  • 一段落したFTA網構築
  • なぜ今、広域インフラ開発なのか
  • 注目されるERIAの試み
ハード・インフラの整備
官民連携によるインフラ・プロジェクトの推進
大島賢三 (国際協力機構(JICA)副理事長)
  • PPPインフラが果たす役割
  • 支援に向けたJICAの対応
  • ベトナムにおける官民連携事業
  • 開発効果の促進、支援の充実に向けて
アジアにおける電力・インフラ開発事業の展望
山添 茂 (丸紅常務執行役員 電力・インフラ部門長)
  • 拡大するアジア市場
  • 丸紅の電力・インフラ事業への取り組み
  • ODAからPPPへ
ソフト・インフラの整備
アジア諸国への法整備支援の現状と課題
原田明夫 (国際民商事法センター理事長)
  • 法整備支援事業の展開・発展
  • 現状の問題点と将来への展望
シームレスなアジアの広域的な物流の実現に向けて
長谷川雅行 (日通総合研究所顧問)
  • 陸上輸送の改善が進むASEAN域内
  • 課題はGtoGのネットワーク化と人材育成
  • 広域的な物流環境の改善に期待
アジア経済統合に向けた課題
域内通貨協力とチェンマイ・イニシアティブの展望
小川英治 (一橋大学大学院商学研究科教授)
  • 金融危機のリスクを回避するためにつくられたCMI
  • 集団的意思決定メカニズムによる発動
  • サーベイランス・プロセス強化の必要性
  • 通貨動向を監視する機関の設立を
  • CMIの有効性を高めるために
アジア成長戦略のための金融の役割
渡辺喜宏 (ABAC日本委員/三菱東京UFJ銀行顧問)
  • 成長と開発の促進に対する金融のかかわり
  • アジアにおける金融の役割
  • 金融危機後のアジアの成長戦略
  • アジア資本市場の深化・強化のための具体的施策
アジアの消費市場を掘り起こせ
鷲田祐一 (博報堂イノベーション・ラボ上席研究員/マサチューセッツ工科大学メディア比較学科客員研究員)
  • 9億人のアジア中間所得層市場の顕在化
  • 戦略的な技術投入によりコスト格差問題を解消

提言
経済危機からの早期脱却と生活の安心・充実に向けた財政政策を求める
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/097.html
氏家純一 (日本経団連副会長・財政制度委員長/野村ホールディングス会長)
  • 当面の予算編成にあたっての視点
  • 財政政策に関する中長期的な課題
  • 財政運営に関する課題
今こそ、電子行政を実現する好機
「ICTの利活用による新たな政府の構築に向けて」を公表
渡辺捷昭 (日本経団連副会長・情報通信委員長/トヨタ自動車副会長)
  • 政策実現にはICT利活用が不可欠
  • これまでは全体最適を図る仕組みが欠如
  • 原則電子化・オンライン化をはじめとする五原則
  • 早急に実施すべき三つの施策
  • 国際競争力強化に向けたICT戦略の確立
行政の無駄削減と人に優しい行政サービスの実現に向けて
「PFIのさらなる活用を求める」提言を公表
宇喜多晴郎 (日本経団連都市・地域政策委員会PFI推進部会長/清水建設副社長)
  • 低迷するPFI
  • PFIは行財政改革と民主導の経済社会構築の柱
  • 政治主導でPFI活用を進める
  • 従来型公共事業からの脱却に向け、制度の再構築を
世界の繁栄のための日米関係
〜第46回日米財界人会議を終えて
米倉弘昌 (日米経済協議会会長・日本経団連評議員会議長/住友化学会長)
質的深化を続ける日韓観光交流
〜第4回日韓観光協力会議報告
大塚陸毅 (日本経団連評議員会副議長・観光委員長/東日本旅客鉄道会長)
2009年度タイ・フィリピン自然保護プロジェクト視察ミッションを終えて
大久保尚武 (2009年度タイ・フィリピン自然保護プロジェクト視察ミッション団長
/日本経団連評議員会副議長・自然保護協議会会長/積水化学工業会長)
2009年度の企業倫理月間を振り返って
加藤壹康 (日本経団連企業行動委員会共同委員長/キリンホールディングス社長)
経営におけるCSRの役割を再考する
〜CBCC設立20周年記念シンポジウムを開催
CBCC事務局
〈ルポ〉
農商工連携事業から見えてくる新しい農業のかたち
吉峰晃一朗 (ルポライター)

● あの時、あの言葉
あの時―私の9.11
矢尾 宏 (三菱アルミニウム社長)
● 経営者のひととき
中高年のハートをわしづかみ〜歌手・秋元順子さんのこと
森島英一 (佐世保重工業社長)
● エッセイ「時の調べ」
スイーツ礼讃
芝田山 康 (第62代横綱 大乃国)
● NEW FACE(新会員紹介)
オービック
大鵬薬品工業

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