経団連「行政指導110番」の利用状況について

1995年9月29日

経団連 行革推進室


  1. 利用状況
  2. 来る10月1日、行政手続法は施行後1年を迎えます。経団連では、民間による行政手続法の積極的な活用を促すため、同法の施行に合わせて行政指導110番を設置し、行政手続法に関する相談、苦情を受け付け、適宜アドバイス等を行ってきました。
    設置後1年間に、行政指導 110番に寄せられた相談・問い合わせの総件数は72件となっており、内訳は以下の通りです。

    1. 行政手続に係わるもの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21件
    2. 役所の対応への苦情、規制緩和要望等(行政手続法の対象外)・・37件
    3. 行政手続法や「行政指導 110番」についての照会、資料請求等・・14件

    行政手続法に係わる事例としては、下記のようなものが見られます。

    1. 行政手続法の活用が功を奏した事例(4件)
      • 首都圏の薬局の新規出店に伴う保険薬局の指定の取得【事例1】
      • 九州の一般ガス事業者の供給区域拡張許可の取得【事例2】
      • 上記会社の関連会社の高圧ガス(主に医療用・工業用酸素)の販売営業許可の取得【事例3】

    2. 行政手続法を活用しても現時点では十分に救済されていない事例(2件)
      • 首都圏の産業廃棄物処理会社の事業範囲の変更申請に対する処分【事例4】

    3. 行政手続法の適用除外となっているため救済されていない事例(12件)
      • 首都圏の不動産会社によるマンション建設に対する指導【事例5】
      • 首都圏の工事会社の下水道工事店指定の申請に対する処分
        下水道工事への参入には上水道工事店の指定が必要であるとされたが、指定自体が自治体の条例に基づくものであり、行政手続法の適用除外となる。

    4. 行政手続法を活用しても最終的には規制に阻まれた事例(2件)
      • 中国地方の酒類販売会社の免許条件の解除申請に対する国税局の処分【事例6】
      • 首都圏の酒類販売業者の移転許可申請に対する処分
        酒類販売場の移転の許可を申請したところ、酒税法第10条11項(酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持)を理由に認められなかった。

  3. 今後の課題
  4. 行政指導 110番への相談・問い合わせは、件数こそ設置当初に比べ減少していますが、一定のペースで寄せられており、行政手続法の普及・活用が着実に進んでいると評価できます。
    一方、行政手続法を活用する上での問題点も明らかになってきました。
    第1は、同法第38条で求められている行政手続条例の適正かつ早急な整備です。現在、約60の地方公共団体が行政手続条例を制定(予定を含む)していますが、報道によれば、中には行政指導の継続を認める規定を設ける自治体もあるとのことです。経団連では、各地の行政手続条例の内容をレビューする観点から、10月2日付で、全国の自治体宛にアンケート「行政手続条例等の制定に向けた取り組み状況調査」を実施する予定です。
    第2は、今回の別紙2等のように、努力規定にとどまっている手続の取扱です。法の目的である行政手続の公正確保、透明性向上のため、行政側の積極的な対応が求められます。
    第3は、規制緩和の必要性です。行政手続法は、許認可等の手続を定め、透明性の向上や公正の確保を図るためには有効ですが、経済活動に対する行政介入を極力なくしていくためには、基本的には規制緩和が不可欠です。

    経団連では、行政指導 110番をはじめ、引き続き行政手続法の適正な運用や、民間による積極的な活用を求めて参ります。併せて、今後の課題として、一層の規制緩和を要望するとともに、前述の通り行政手続条例の施行状況に関する調査を行い、早期の整備と活用を働きかけていくことを検討しております。
    今後とも、行政手続法と経団連「行政指導 110番」の活用をお願い申し上げます。

○お問い合わせ先

経団連 行政指導 110番:

FAX:(03)5255-6234
E-mail:gyosei-110@keidanren.or.jp


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