経団連の最近の動き

(1995年 6月)

「経団連インフォメーション」の記事より


提言作成にご参画下さい

新産業・新事業委員会(委員長:大賀典雄氏)では、ベンチャー企業の振興のためにいかなる方策が必要か、また、企業が新規事業展開を成功させるためには何をなすべきか、さらに、日本に「起業家精神」を呼び起こすためにはどうすればよいのかについて、提言をとりまとめています。経団連では、この提言を新産業・新事業に関心を寄せる多くの人々の英知を集め充実したものにしたいと考えます。
そこで、この原案をインターネット(http://www.keidanren.or.jp)を通じて公開し、広く内外からのご批判とご提案を求めます。皆様から寄せられたご意見を下に、修正を重ね、7月中旬には経団連提言として公表、その実現を働きかけていきます。ぜひ、提言作成にご参画下さい。ご意見等は7月10日(月)まで受け付けております。

日本−コロンビア協力のモデル・プロジェクト推進を決定

本年3月にサンタフェ・デ・ボゴタで開催された第2回日本コロンビア経済委員会合同会議において、コロンビア側から種々のプロジェクトが提案されたが、これに対する日本側の対応を検討するため、6月19日、宮岡中南米共同委員長を座長にフォロー・アップ会合を開催した。
その結果、(1)太平洋岸への新港の建設、(2)大西洋岸における石油精製所の建設の2件を両国協力のモデル・プロジェクトとして推進するようコロンビア側に働きかけることとなった。

「Access to Japan」改訂版を作成中

経団連では、購買取引の公正性・透明性確保の重要性に鑑み、90年4月に、購買取引について日本企業が踏まえるべき基本的ルールを整理した「購買取引行動指針」を取りまとめた。
その後、92年7月に開催された日米構造問題協議フォローアップの第2回年次報告において、同指針のフォローアップとして各企業の購買窓口リストを作成する旨が盛り込まれたこと受けて、93年7月に、英文の購買窓口リスト「Access to Japan」を発表した。
このリストに対する反響が大きかったことから、今般、7月中を目処に増補・改訂を行い、インターネット等を通じて国内外に広く公開する予定である。

実効ある大胆な緊急経済対策の実施を要望

わが国経済は、急激な円高や最悪の雇用情勢の下、景気の腰折れが強く懸念される厳しい局面にある。経団連では、こうした状況を打破するために、「経済活性化に向けて、実効ある緊急経済対策の実施を求める」との提言をとりまとめた。
6月22日、豊田会長及び樋口副会長は、村山首相を訪れ、緊急税制改正、内需振興、不良債権処理、金融緩和、規制の撤廃を柱とする緊急経済対策の策定・実行を強く要請した。これに対して村山首相は、
  1. 税制改正要望については検討する、
  2. 不良債権問題は産業活性化のためにも、見通しを立てる必要がある、
  3. 規制緩和は積極的に推進したい
と述べた。

国民生活の質向上のため宇宙開発予算の大幅拡充を要望

経団連は、6月21日に「国民生活の質向上に資する宇宙開発の推進を要望する」を提言した。宇宙開発推進会議(会長:稲葉興作氏)では数年来、政府の概算要求枠設定の時期にあわせ、宇宙開発予算の大幅拡充を要望する意見書を建議してきたが、本年は、最近の状況変化も踏まえながら、
  1. 宇宙開発は衛星を使った通信・放送、気象観測等の分野で国民生活の質向上に大いに貢献しており、特に防災対策にも活用できること、
  2. 宇宙開発技術の利用面を今後重視すべきこと、
  3. 商業化、コストダウンが必要になってきたこと
を強調した。そのうえで、宇宙開発の公共投資的側面に注目し、「公共投資基本計画」による宇宙開発予算の大幅増(年間約5,000億円)を要望した。

ニュービジネスを生み育てるための具体的方策を提言

新産業・新事業委員会(委員長:大賀典雄氏)では、「新産業・新事業創出への提言−起業家精神を育む社会を目指して」と題する中間提言を取りまとめる。
この提言は、
  1. 新産業・新事業発展への基本的課題、
  2. 独立ベンチャー企業支援策の具体的内容、
  3. 大企業への問題提起、
  4. 社会・文化に係わる問題提起
を柱として、わが国においてニュービジネスを育成していくために必要な条件について具体的な提案を行うものである。
提言の原案は、広く会員内外からの意見・提案を求めるため、インターネット(http://www.keidanren.or.jp)において公開する。

不良債権問題についての検討を開始

経団連では、不良債権問題打合会(座長:中村芳夫経団連常務理事)を新たに設け、先に大蔵省が打ち出した不良債権問題に関する基本方針のレビューを行うとともに、住専問題への取り組みの具体化や、公的資金の導入問題など、なお残された課題についての検討を進める。
6月15日には第1回会合を開催し、慶応大学の池尾和人教授より説明を聞くとともに、意見交換を行った。
今後は集中的に検討を行い、7月中にも、不良債権処理方策についての提言を取りまとめる予定である。

21世紀の経済社会のグランドデザインをいかに描くか
− 東富士フォーラムのテーマ決まる

経団連では、毎年7月下旬に御殿場の経団連ゲストハウスにおいて、東富士フォーラムを開催しているが、今年は7月20日〜22日、5月の総会決議と内外の環境変化を踏まえ、「21世紀に向けたわが国経済社会の構想づくり」を基本テーマに意見交換することとなった。

APEC大阪会議に向けて意見書を策定

経団連では、6月16日のアジア委員会において、「アジア太平洋地域協力における日本の役割−1995年APEC大阪会議に向けての提言−」と題する意見書を取りまとめる。
この提言では、APECに対する日本の基本的な考え方として、
  1. APEC各国の多様性に配慮し、自主的な自由化計画の策定を求めること、
  2. 日本が自由化の先導役になること、
  3. GATT/WTOとの整合性を保持すること、
を提唱しており、特に日本が率先して規制緩和を断行することの重要性を強く訴えている。
この提言案は、6月20日の理事会の審議を経た後、村山首相をはじめ、政府関係者に建議する予定である。

総会決議の具体化に向け取り組みを開始

経団連では、5月26日の第57回定時総会において、「閉塞状況から脱し、活力と創造性あふれる経済社会づくりを進める」と題する決議を取りまとめたが、決議に盛り込まれた景気・円高対策、規制緩和の推進、法人税負担の軽減、科学技術基盤の整備、新産業・新事業の育成、WTOの支援、海外諸国との対話・広報の推進など、延べ26項目について、関係部局において具体的な方策の検討を開始した。
それぞれの方策については、6月12日の会長・副会長会議を経て、関係委員長のもとに順次実行に移していくこととしている。

経団連訪オーストリア、スイス、ハンガリー・ミッションを派遣

欧州連合(EU)では、本年1月にサンテール体制が発足し、オーストリア、スウェーデン、フィンランドの加盟も相まって統合の新たな段階を迎えている。
一方、日本の対欧投資は80年代後半に第1段階を終えたが、拡大する欧州市場への対応、貿易・投資のインバランス改善等の観点から、第2段階の可能性を探る時期にきている。
そこで、経団連では、6月11〜21日、オーストリア、スイス、ハンガリーにミッション(団長:伊藤 正 国際産業協力委員長)を派遣し、これら諸国の投資環境および対EU政策について調査する。
一行は、各国産業団体、各国有力企業、政府関係者等を訪問する予定である。

アジアの将来について討議
− アジア・リーダーズ・フォーラムを後援

経団連では、6月14〜15日に経団連ゲストハウスで開催されるアジア・リーダーズ・フォーラムを後援する。
同フォーラムは、豪ニューサウスウェールズ大学アジア・オーストラリア研究所が主催して、アジア域内外の専門家およびビジネスマンの人的ネットワーク構築等を目的に、毎年開催されている。
本年は第3回目にあたり、「ローカリズムとサブ・リージョナリズムと国家:アジアの将来の構造」をテーマにエバンズ豪外相をはじめアジア各国・地域、米国、豪州等から、政府関係者、ビジネスマン、マスコミ関係者、学者・研究者など約50名、日本からは広中前環境庁長官、小倉駐ベトナム大使等が出席する。
なお、豊田会長が14日に「日本から見たアジア」について基調演説を行う。

対日直接投資拡大・輸入促進に関する意見
−国際企業委員会報告−

国際企業委員会(石原秀夫委員長)では、わが国経済の活性化、ビジネス・チャンス拡大のためには対日直接投資の促進が不可欠であるとの結論を得て、93年12月に意見書「外資系企業の環境改善とわが国経済の改革について」を発表し、関係省庁に対し23項目の具体的な要望を提起した。
わが国政府でもさまざまな措置や規制緩和を発表しているが、依然として対日直接投資拡大・輸入促進のためになすべきことは多い。
そこで、今般、同意見書の提言に対する政府措置が不十分である項目について、更なる改善策を求めるとともに、対日直接投資および輸入の促進のための重点要望をとりまとめ、6月下旬に提言する予定である。

中国経済セミナーの開催について

近年、豪州国立大学は世界で最も多くの中国経済研究者を輩出し、本年3月に開催された「第1回OECD−中国政策対話」に際してはバックグラウンド・ペーパーを作成、OECDの対中認識形成に大きな影響を及ぼした。
かねてより経団連は、同大学豪日研究センターと協力関係にあり、昨年9月には「東アジアの産業発展の展望−鉄鋼業」と題するセミナーを共同開催している。
そこで今回は、6月12日に、バックグラウンド・ペーパー作成に携わった豪日研究センター関係者とわが国の学界、産業界の専門家を招き、中国経済の現状と今後の展望につき議論を行うこととした。
主な出席者は次の通り(順不同)。春名経団連評議員会副議長、ドライスデール豪州国立大学豪日研究センター所長、ガーノー同大教授(元駐中国大使)、黄益平同大研究員、丸山アジア経済研究所経済協力調査室長、林毅夫北京大学中国経済研究所長、矢吹横浜市立大学教授、吉田日商岩井専務取締役ほか。


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