経団連の最近の動き

(1995年10月)

「経団連インフォメーション」の記事より


「新たな日欧関係」の追求に向けて
─経団連訪欧ミッションを派遣

経済活動の国際化、日本経済の影響力の拡大に伴い、日本の産業界が国際的な制度作りに関わるべき分野はますます増大している。また、欧州では、日本を重要なパートナーと位置づけたさまざまな対日アプローチが試みられている。
そこで、この機を捉え、欧州政府・産業界と21世紀に向けた国際経済体制、EU統合、日本・欧州諸国の経済状況、今後の日欧経済関係等について意見交換を行い、併せて欧州との人的絆の構築を目的に、豊田会長を団長として訪欧ミッションを派遣する。
今次ミッションの特徴は、
  1. 少人数行動による、インフォーマルで密度のある対話
  2. 経団連側からの積極的な提案
  3. わが国および経団連への理解促進のために、各地で多様なセミナーを開催すること
である。
派遣期間は11月22日〜12月1日、ベルギー、ドイツ、オランダ、デンマーク、イギリスを訪問し、各国産業団体・政府首脳と懇談する。

APEC大阪会議に向け民間が結集

経団連では、10月22〜23日、日本商工会議所、大阪商工会議所、関経連との共催により「APEC Business Congress:APB-NetII」を開催した。この会議には、14カ国・地域から総勢81名の経済人が参加し、相互の連携を強化するとともに、民間経済界の立場からAPEC大阪会議に向けて活発な意見交換を行い、共同声明を取りまとめた。
共同声明では、APEC大阪会議において一層の貿易・投資の自由化・円滑化ならびに開発協力が図られることを要請している。その際の基本的な考え方として、
  1. 包括的かつ具体的な「行動指針」が採択されること
  2. 「開かれた地域主義」の原則に基づき、域内の自由化の成果を無差別かつ非排他的に域外にも適用すること
  3. APEC参加国・地域の多様性に配慮しつつ、自主的かつ包括的に自由化を進めること
を求めている。
APB-Netの次回会合は、APEC閣僚会議および首脳会議に先立ち、1996年にフィリピンで開催することが合意された。

「日本産業の中期展望と今後の課題」を公表

経団連では、10月17日に、「日本産業の中期展望と今後の課題」と題する報告書を公表した。
この報告書は、産業政策委員会の政策部会で昨年8月より検討を行っていたものであって、戦後最大の環境変化に直面し経済の先行きに対する危機感が蔓延する状況を踏まえ、わが国産業界が直面する諸問題を明らかにし、その対応策を提示している。
産業構造の視点から2010年までを展望し、経団連ビジョン(12月中取りまとめ予定)の一環をなすものである。
ご関心のある方は、ご一報いただきたい。

最終的な要望項目は17分野588項目
─規制緩和要望項目、出揃う

経団連では、10月12日開催の行政改革推進委員会において、「規制緩和推進計画の改定に望む」と題する意見書をとりまとめ、関係方面に建議した。
その後、運輸およびAPEC関連分野の要望を追加したため、最終的な要望は、17分野588項目となった(うち217項目は新規要望)。
後日、「経団連資料No.11」として発行し、会員代表者に送付する。

民間版APEC大阪会議を開催

経団連では、来る10月22〜23日、日本商工会議所、大阪商工会議所、関経連との共催、東京と関西の主要経済団体の協賛により、「APEC Business Congress:APB-NetII」を開催する(於 大阪商工会議所)。
この会議の目的は、第1に、11月のAPEC大阪会議を前に、APECメンバー国・地域の主要経済団体の首脳が集い、域内のビジネス環境を改善するために、民間経済界の立場から議論し、APECを通じて、各国・地域の政府に働きかけていくことである。
第2は、域内のビジネス間の結びつきを強化し、域内経済の活性化を図るために、各団体の取り組み(ビジネス・マッチングや情報通信を利用したビジネス情報の提供等)を紹介しつつ話し合い、域内のビジネス界のネットワークをより効率化することである。

規制緩和は身近で関心の高い問題
─消費者・生活者の望む規制緩和についてアンケート結果取りまとめ

普通の人は規制緩和をどう捉えているのか、また、どのような規制緩和を求めているのか─これらの疑問に答えるため、消費者・生活者委員会では、8月下旬〜9月中旬にかけて主婦、サラリーマン・ウーマン、高齢者、労働組合員など約4,000人を対象に「消費者・生活者の求める規制緩和・見直し」に関するアンケート調査を実施した。
今般、その調査結果報告を取りまとめたので、ご関心のある方はその旨ご一報いただきたい。

経団連・世界銀行年次会合を開催

経済協力委員会では、10月19〜20日、ワシントンDCの世界銀行本部において、経団連−世銀年次会合を開催する。
会合には、世銀側からウォルフェンソン新総裁、フランク専務理事、リシャール副総裁(民間部門開発担当)、福井副総裁(協調融資、アドバイザリーサービス担当)等、関係副総裁を含む25名が、経団連側からは豊田会長、米倉経済協力委員長ほか30名が参加する。
当委員会は、昨年9月の経済協力政策対話ミッション(団長:米倉経済協力委員長)において、世銀幹部との政策対話の際に、リシャール副総裁との間で、経団連と世銀との協力関係の構築に合意し、地域別、セクター別ワークショップの開催等を通じて関係を深めてきた。
今回の年次会合開催は、合意以来初の年次会合であり、2日間の会合での討議を踏まえて、アクション・プランを採択する予定である。

税制改正に関する提言を取りまとめ

経団連では、10月11日に税制委員会を開き、税制改正に関する提言を取りまとめる。
今回の提言においては、経済構造改革の一環としての税制改革の必要性、ならびに中長期的な観点からの望ましい租税構造の姿を示すとともに、現在の厳しい経済情勢をふまえ、企業の税負担の実質的な軽減、地価税の廃止、固定資産税の見直し、土地譲渡益重課の撤廃、有価証券取引税の廃止など、緊急に改正すべき点を強く打ち出す予定である。
17日の経団連理事会での正式決定の後、政府、与野党等関係方面に税制改正の実現を強く働きかけていく。

規制緩和推進計画の改定に向け、規制緩和要望を建議

規制緩和に関する初の本格的なアクションプログラムとして、本年3月31日に策定された規制緩和推進計画は、本年度末に初の改定が図られることになっている。
経団連では、この改定にあたって、経済界の意見・要望の反映を働きかけていく観点から、現在、各委員会において、昨年11月に提出した要望の実現状況を精査し、引き続き要望すべき項目を洗い出すととともに、新規要望項目を取りまとめている。
これらの要望は、来る10月12日に開催の行政改革推進委員会で経団連要望として取りまとめることにしており、当日来賓として出席予定の江藤総務庁長官に直接建議する予定である。さらに、関係方面に建議し、その実現を求めていくことにしている。


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