経団連の最近の動き

(1995年12月)

「経団連インフォメーション」の記事より


規制や慣行の望ましい姿を求めて現在検討中

公的規制や民間慣行の中には、消費者・生活者が生活の上で不便や迷惑を受けていると感じるものがある。
消費者・生活者委員会では、従来、公的規制緩和の問題を検討してきたが、これに加えて、消費者・生活者が問題と思う民間の諸慣行についても改善策を検討することとした。
これまでに日立総研、主婦連、公取などから、日本にはないが便利な商品・サービス、主婦の規制緩和への意識、消費者の選択肢と公正で自由な民間取引慣行の関係などについて説明を聞いた。
今後は、これらの活動を踏まえ「規制・慣行の見直し」に関するアンケート調査を実施し、規制・慣行の存在理由と、緩和・見直しへの根拠を提示して、その是非を問う予定。また今後、日本にあったら良いと思われる商品・サービスについても広くアイディアを求める。

企業の社会貢献活動
94年度実績調査結果を発表

社会貢献推進委員会および国際文化交流委員会では、毎年行っている「企業の社会貢献活動実績調査」の結果を公表した。寄付金など94年度の社会貢献活動支出額は平均3億8,200万円で、新規回答企業が増えたこともあって、前年度比5.7%減となった。支出額が経常利益に占める割合は単純平均で3.25%と高率を維持している。
寄付の対象を分野別に見ると、94年度は阪神・淡路大震災の影響を受けて、「災害救援」が19.9%とトップにきた。続いて「学術研究(14.0%)」「地域活動(11.7%)」「教育(9.8%)」と順位は例年と変わらない。
このような調査結果から、景気回復の遅れにもかかわらず、企業が社会貢献活動に継続して取り組んでいることが明らかとなった。

ミャンマー研究会が提言を発表

ミャンマー研究会は、「ミャンマーの投資環境等に関する調査」に基づき、12月15日、提言「ミャンマーの経済発展のために」を取りまとめた。ミャンマー政府に対して、インフラの整備、二重為替の一本化、民主化の推進、情報の公開を要望し、日本政府に対しては、ODA・貿易保険の拡充、租税条約・投資保護協定の締結を求めている。

「私の共生論」を発刊

共生に関する委員会では、12月25日、経営者の方々から寄せられた小論をとりまとめ、『月刊 keidanren増刊号 私の共生論』を発行する。
巻頭に豊田会長、平岩名誉会長、高丘委員長による共生をめぐる寄稿をはじめ、135人の経営者から寄せられた「自分にとっての共生論」を掲載しており、企業経営において「共生」がいかに深く多様に発展しているかが分かる。定価は1部515円。

新輸出管理規制に関する意見を建議へ

政府は、大量破壊兵器等の拡散を抑止するため、現行の輸出管理規制で規制値に満たないとの理由で対象外となっている、技術水準の低い貨物(一般汎用品)や技術を対象に、新しい補完的輸出規制を導入することとしている。
本規制により、輸出管理を要する業界や貨物の範囲が必要以上に拡大し、輸出企業の負担が過重になる惧れがある。
経団連では、12月中に予定されている政令公布を前に、輸出関連企業等を中心に意見を取りまとめ、政府にその実現方を働きかけることとしている。

持株会社解禁へ向けて公取委に対し意見書を提出

経団連は、予てより持株会社の解禁を強く主張してきていたが、このたび、公正取引委員会独占禁止法第4章改正問題研究会での検討が早いスピードで進んでいることに伴い、改めて、経団連の考え方を「純粋持株会社の解禁についての考え方」としてとりまとめ、12月8日の公正取引委員会独占禁止法第4章改正問題研究会に提出した。
この意見書は、12月4日に開催された経団連の独禁法部会での議論を踏まえて、同研究会にメンバーとして出席している弓倉競争政策委員長から提出された。独禁法部会では、同研究会での議論の推移を注視しながら、さらに具体的な検討を進める予定である。

第23回東亜経済人会議を開催

第23回東亜経済人会議が、12月7〜8日、台湾・台北市において開催された。日本側からは、服部委員長はじめ107名、台湾側からは辜濂松団長ほか150名の代表が参加した。
今回の会議では、全体会議において「為替変動が日台貿易のインバランス是正および双方の投資、技術交流の促進に及ぼす影響」と「中国など第三国投資に関する経験・日台協力」について意見交換を行った。日台間の最大の懸案である貿易インバランス問題については、双方が今後とも引き続き努力していく必要がある点で意見が一致した。
7日の午後からは、「貿易・投資・技術協力」「金融・証券」および「運輸・観光」の3つのテーマに関し、それぞれの分科会において討議が行われた。

今後の情報通信市場のあり方に関する見解について審議

情報通信委員会では、今後の情報通信市場のあり方について、通信政策部会においてとりまとめた案をもとに審議している。
今月5日の委員会では、(1)公正有効競争条件の整備、(2)地域通信市場における競争の促進、(3)規制の見直し、ルール策定・監視機能の強化などのため、通信行政の抜本的な見直しが必要である点では概ね一致したが、それを補完する措置としてさらにNTTに対して構造的措置を講ずる必要があるか否かについては結論を持ち越した。
委員会としては、引き続き議論を深め、来年1月中には最終的な見解をとりまとめる予定である。

経団連訪欧ミッションが帰国
−トップレベルの信頼関係を醸成

11月22日〜12月1日、EU5カ国を訪問した経団連訪欧ミッションが、12月3日、帰国した。今回は、(1)日本経済の現状、(2)欧州統合の現状、(3)今後の日欧協力が主なテーマであった。
日本経済の現状に関しては、金融問題、景気対策、規制緩和など構造問題への取組みについて説明し、理解を得た。また、11月のAPEC大阪会議についても報告した。
欧州統合の現状については、ドイツなどで欧州指導者の欧州統合に取り組む熱意に触れた他、イギリスでは、欧州の中で独自の路線を歩もうとする姿勢を聞いた。
今後の日欧協力に関しては、産業協力、第三国市場協力、WTO(世界貿易機関)などマルチの場での協力、人的交流、環境問題での協力について意見交換を行った。
なお、本ミッションの知見については、12月4日、豊田会長、青井副会長ほかが村山首相を訪問し、報告した。

アジア・大洋州地域の日本大使との懇談会を開催

経団連では、12月14日、地域大使会議出席のため一時帰国中の在アジア・大洋州地域の日本大使(26公館長出席予定)を招き、日商・東商との共催で懇談会を開催する。さる11月のAPEC大阪会議の成果を踏まえて、韓国、中国、ASEAN、インドの情勢など、この地域の諸問題について意見交換を行う予定である。

日欧間に架ける確かな橋
─トップレベルの濃やかな話し合い

11月22日から3年半ぶりに訪欧中の経団連ミッション一行は、ベルギー、ドイツ、オランダ、デンマークを経て最後の訪問地、イギリスに入った。
今回は、訪問先での率直で濃やかな話し合いを念頭に、サンテールEC委員長、デハーネ・ベルギー首相、コール・ドイツ首相、さらに欧州産業連盟(UNICE)、ドイツ産業連盟(BDI)と率直な意見交換が続いているが、(1)99年1月からの通貨統合、(2)その後のEU統合の深化のスケジュールなどが話題となっている。特に、各国首脳が政治的イニシアティブをもって統合を進めようとする意欲を一行は強く感じた。
また、産業構造の転換と規制緩和等も共通のテーマとなっており、今後も政策対話を続けることが確認された。
この後一行は、当地ロンドンで、メージャー首相、英国産業連盟(CBI)と懇談、12月1日には総括記者会見を行い、全日程を終える。

国際熱核融合実験炉(ITER)日本誘致推進会議が発足

経団連は、現在、米国、EU、ロシアおよび日本の四極の協力で工学設計活動が進められている国際熱核融合実験炉(ITER)の日本誘致を図るため、「国際熱核融合実験炉(ITER)日本誘致推進会議」を発足させ、12月5日、その第1回会議を開催する。
当日は日本原子力研究所の下邨理事長と吉川副理事長を招き、ITERをめぐる最近の情勢と日本誘致に向けた課題について説明を聴く。

開発協力における民間投融資の役割と国際的連携について考える

日本国際協力機構(JAIDO)の活動を支援している国際協力プロジェクト推進協議会では、12月8〜10日、英国のディッチリー・ハウスにて、「開発協力における民間投融資の役割と国際的連携」をテーマに国際会議を開催する。同会議には、世銀グループ、先進各国政府援助機関、国際開発金融機関、民間企業等のトップレベルが集う。
近年、途上国では、市場経済化・民営化等の民間主導型経済開発が主流となり、先進各国の民間部門による資金および技術ノウハウ移転に対するニーズが高まっている。しかし、現状では、リスクの高い途上国において民間企業としての利益を確保しつつ、かつ相手国の産業発展にも資するプロジェクトを実現することには多くの困難が伴う。そこで、インフラ・プロジェクト等への民間企業の積極的参画に向けた公的部門と民間部門の連携のあり方等について意見交換を行う。


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