経団連の最近の動き
(1996年1月)
「経団連インフォメーション」の記事より
純粋持株会社解禁を求める意見公表
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経団連では、1月19日開催の競争政策委員会において、純粋持株会社の全面解禁を求める「独占禁止法第9条改正についての意見」をとりまとめ、1月22日、公表した。
経団連は長年にわたり、実際の競争阻害性の有無にかかわらず純粋持株会社を一律に禁止している独占禁止法第9条を改め、持株会社の設立を原則自由とするよう求めており、競争政策委員会において議論を重ねてきた。
公正取引委員会は、昨年末、持株会社解禁に関する「独占禁止法第4章改正問題研究会中間報告書」を公表し、目下、今国会での独占禁止法改正に向けて準備が進められているが、公正取引委員会の示す改正案が持株会社を例外的に解禁するものに止まるものであるため、経団連として、原則自由化を求める意見を改めて取りまとめ、政府・与党他に建議するものである。
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長期ビジョンとりまとめの目的
昨年の新年メッセ−ジにおいて、豊田会長は、「活力と創造性あふれる経済社会の基本構想」作りに取り組む決意を示した。これは、若者が未来に希望を持ち、世界の人々が日本に住んでみたい、日本でビジネスをしたい、学びたいと思う、そういう「魅力ある日本」を創造する必要があるとの考えからだった。
わが国は、これまでの発展を支えてきた経済社会システムが完全に行き詰まり、潜在的には高い成長力を有していながら長い混迷状態から脱却できず、国民の間には閉塞感が漂っている。この現状に安住していれば、現在の生活水準の維持すらできないばかりか、世界からも孤立しかねない。日本に今求められていることは、目指すべき理想の姿を高く掲げ、経済社会システムの抜本的な改革に向けて努力することである。
このような観点からとりまとめ、昨18日公表したものが、長期ビジョン『魅力ある日本』である。
日本が目指すべき国家像
このビジョンでは、2020年を念頭に、日本が目指すべき国家像として、「活力あるグロ−バル国家」を提唱している。その目指すところは、国内的には、脱規制社会、小さな政府の実現、自己責任原則の遵守などを内容とする「真に豊かで、活力ある市民社会」であり、また対外的には、世界のル−ル・メ−キングの一翼を担い、経済協力、環境、科学技術に重点を置いて世界に貢献し、一層の市場開放に努める「世界の平和と繁栄に貢献する国家」である。このような国を創造できれば、結果として日本は世界から信頼され、尊敬されることになる。
さらに、各論として、「経済と技術」「政治と行政」「外交と国際交流」「教育」「企業」の5分野について、望ましい姿と、それを実現するための課題と提言を示している。
新日本創造プログラム2010
わが国は2010年までに総人口がピ−クを迎える。それまでに、ソフト・ハ−ド両面にわたる発展の基盤を整備し、その後の豊かな長寿社会実現のための準備を完了しておく必要がある。ビジョンでは、優先的に実施すべき10分野の改革を「新日本創造プログラム2010」としてとりまとめ、その推進を訴えている。これらのプロジェクトを実施し、構造改革を円滑に進めるためには、2010年頃まで年平均3%程度の経済成長を達成する必要があるが、これは日本の潜在成長力からして可能としている。
今後の取り組み
経団連としては、このビジョンを今後の活動の基本方針に据え、各委員会でフォロ−アップを進めるとともに、経済界の考え方を広く国民に提示し、21世紀の日本のあり方についての議論を深め、その実現に努めることとしている。また、今後は4年毎にこのビジョンを見直し、絶えず時代の要請に応えたものにしていきたい。
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情報通信委員会では、今後の情報通信市場のあり方について検討してきたが、1月8日の会長・副会長会議の議を経て、経団連見解として公表した。
同見解では、「規制緩和を中心とする通信行政の抜本的な見直しを可及的速やかに、かつ確実に実行することが緊要。その際、実行を担保するために、それら一連の措置の実行スケジュールを明確にするとともに、進捗状況を定期的に公表することが必要」と提言した。
なお、NTTに対する構造的措置については、検討の結果、「問題解決の一つの手段として有効であるという意見と、構造的措置は不要であり、かえって弊害が多いとする意見があった」としている。
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統計の目的は、経済や社会の実態を的確に捉え、企業の経営や政府の政策運営の判断材料として情報を迅速に提供することにある。しかし、最近、わが国の統計の速報性、信頼性、利便性を巡り、問題点が指摘されている。
経済調査委員会では、経済分析研究会を設置し、経済統計のあり方につき検討を進めてきたが、今般、報告書をとりまとめた。12日の経済調査委員会の審議を経た上で、16日の理事会に報告した後、対外的に公表する。
この報告書では、統計の見直しの重点課題として、(1)GDP速報の公表の早期化、(2)消費者物価指数の見直し、(3)インターネットの活用を通じた統計の利便性の向上の3点を掲げている。
パキスタン投資会議を開催
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パキスタンは現在、ブット政権のもとで民営化や規制緩和等の経済改革を進めており、海外からの投資受け入れにも積極的である。
そこで経団連と日本商工会議所、日本・パキスタン経済委員会、パキスタン投資庁では、同国の投資環境や投資に関する制度等を広く日本の投資家に知ってもらうため、パキスタン投資会議を開催する。
同会議では、パキスタン投資庁や民営化委員会の高官から同国の投資環境等に関する説明があるほか、公賓として来日中のブット首相が特別講演を行う。
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