経団連の最近の動き

(2000年4月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.254 ( 4月28日発行)より

経団連自然保護基金を組織変更
−公益信託 経団連自然保護基金へ

経団連は、1992年に、「経団連自然保護基金」を設立し、毎年、法人ならびに個人の方々からいただいた寄付をもとに、(財)国際開発高等教育機構の活動の一部として同機構を通じて、NGOが実施する開発途上国での自然保護プロジェクトへの支援に充ててきた。
基金は1992年の設立以来、計260件以上のプロジェクトに対し、総額11億円をこえる支援を行なってきた。この度、自然保護活動に対する支援をさらに充実すべく、(財)国際開発高等教育機構から独立し、「公益信託 経団連自然保護基金」を新設して自然保護プロジェクトへの助成を行なうこととした。
委託者は経団連自然保護協議会(会長 樋口廣太郎氏)。受託者は住友信託銀行株式会社。4月26日に信託契約を締結した。

「国家公務員人材バンク」のご案内

国家公務員のいわゆる「天下り」問題については、権限等を背景とした押付け的な再就職あっせんや、再就職者を介して官民が癒着関係になる惧れがあることから、これまでも強く批判されてきた。これらに対し、公務員制度調査会では、「公務員の再就職については、公正性、透明性が確保され、国民の信頼が得られる仕組みとする必要がある」として、人材バンクの導入を答申した(1999年3月16日)。
これを受け政府は、2000年4月より、公正・透明で効率的な新たな再就職支援の仕組みとして、「国家公務員人材バンク」の運用を開始した。人材バンクでは、

  1. 公務員の活用を希望する企業等からの求人の申込みを受け付け、
  2. 登録されている公務員の中から適当な人材を見つけ出し、
  3. 求人側と所属省庁へ連絡し仲介するとともに、
  4. 成立案件については定期的に公表する、
こととしている。

【お問合せ先】
総務庁人事局人材情報管理室
電話 03-3581-4691、ファックス 03-3581-6170
URL http://www.somucho.go.jp/jinji/bank.htm

No.253 ( 4月21日発行)より

会社分割法制を創設する商法改正法案の早期成立を働きかけ

経団連では、1999年5月の「わが国産業の競争力強化に向けた第1次提言」、1999年9月の「『商法等の一部を改正する法律案要綱中間試案』に対するコメント」等で、会社分割法制の早期整備を求めた。
会社分割法制を整備する商法等の改正法案は、法制審議会の審議を経て、さる3月10日、国会に提出された。しかし、法務委員会関連の法案が山積しているほか、会社分割法制の整備にあたり労働法制の整備を前提とするとの野党の要求もあって、今国会での成立が不透明となっている。そこで、経団連では、政府、与野党の国会対策関係議員・法務委員会関係議員に対し、今国会での成立・早期施行を強く働きかけている。
この結果、商法等の改正法案は、20日、本会議で趣旨説明がなされ、21日より、法務委員会で審議が開始される見通しとなった。
民主党をはじめとする野党は会社分割に伴う労働者の保護を厚くするよう求めており、今国会での商法等の改正法案の成立は、依然予断を許さない。経団連では、今後も国会審議をフォローし、引き続き今国会での成立を強く働きかけていく予定である。

規制緩和推進3か年計画の再改定
−経団連要望は約4割が実現の方向−

政府は3月31日、規制緩和推進3か年計画を見直し、新たに約350項目を追加して16分野1,268項目とする再改定計画を決定した。
経団連は、昨年10月に、14分野467項目からなる規制改革要望を、政府の規制改革委員会に提出し、その実現を働きかけてきた。今回の計画改定では、「目論見書の見直し」、「自賠責保険における政府強制再保険の廃止」、「ストックオプション制度の改善」など、178件がほぼ実現、または一部実現した。
一方、昨年4月に政府は規制緩和委員会を規制改革委員会と改称し、補助金・税等についても検討対象としていたが、今回の改定ではこれらに関する経団連要望の多くが盛り込まれなかった。
経団連では、規制改革の継続・拡充に向け、規制緩和推進3か年計画の最終年度に当たる本年も、取組みを強化する予定である。

国立大学教官等の民間企業役員の兼業規制が大幅に緩和
−産業技術力強化法が成立−

経団連が特にミレニアム・プロジェクトの推進の観点から、強く要望していた産学官の円滑な連携に資する産業技術力強化法が先週末、国会で賛成多数で可決された。同法は、本年6月の株主総会に間に合うよう、今月20日、人事院規則とともに早速施行された。同法により、民間企業における応用技術開発への補助、民間企業から大学への資金受入れの円滑化などが図られるが、なかでも産業界が強く求めてきた国立大学教官等の民間企業役員の兼業規制の緩和(研究成果活用企業の代表取締役・取締役、株式会社等の監査役)が実現することになる。今後、同制度の積極的な活用をお願いするとともに、本件にご関心がある場合は、下記にお問合せいただきたい。

【お問合せ先】
経団連 産業本部 渡辺、佐藤
電話:03(3279)1411(内線3830,3835)
通商産業省 産業政策局 技術制度改正審議室
電話:03(3501)0251(直通)

No.252 ( 4月14日発行)より

「新内閣に望む」を森新総理に手交

小渕総理の急病によって内閣が総辞職し、4月5日に森新内閣が発足した。そこで、経団連では急遽「新内閣に望む」をとりまとめ、11日、今井会長が森新総理に産業界の要望を伝達した。
同要望は、

  1. 予算関連法案、会社分割法案等の今国会での成立、
  2. 21世紀の経済新生に向けて、税制、社会保障制度、地方財政を総合したグランドデザインの確立、
  3. 規制改革、教育改革、科学・技術開発基盤の強化、情報基盤の整備、包括的なWTO新ラウンド交渉の早期立上げ、アジア経済の持続的発展への協力、
を求めている。
同時に今井会長は、産業競争力会議を再開し、情報技術(IT)振興策などを検討するよう求め、こうした重要施策が円滑に遂行されるよう、経済界としても新内閣を全面的に支援することを表明した。

資本準備金による自己株式消却特例の2002年3月末までの延長を実現

2000年3月31日までの時限立法として公開会社を対象に認められていた資本準備金を財源とする自己株式消却の特例が、自民・自由・公明・民主・社民の5党共同提案の議員立法により、2002年3月末まで2年間延長されることになった。
近年自己株式消却を実施する企業は着実に増えており、中でも1998年3月に導入された資本準備金を用いた消却は、全体の約3割に及んでいる。ROEの向上や株式持合いの解消の受け皿として、資本準備金を財源とする自己株式の消却の活用はますます進むものと期待される。そこで、経団連は、昨年11月24日の意見書「国際競争力ある資本市場の確立に向けて」で同特例措置の恒久化を求め、関係方面に精力的に働きかけてきた結果、今回の延長が実現した。
なお、特例措置の2年間の延長は今回限りであり、この間の積極的な特例措置の活用が期待される。また、経団連としては、恒久化の実現を関係方面に働きかけていくこととしている。

世銀との共同イニシアティブ「ベトナム水力発電所BOTプロジェクトに関するスタディ」ワークショップの開催

経団連は、1997年以来、世銀との共同イニシアティブとして「ベトナムにおける電力発電所BOTプロジェクトに関するスタディ」を鋭意推進してきた。今般、同スタディの最終報告書が完成するのを機に、5月9・10の両日、ワークショップ(報告会)をベトナム・ハノイにおいて開催する。ワークショップでは、ベトナム政府関係者、世銀との間で今回のパートナーシップ全般の評価、最終報告書に関する意見交換を行なうほか、現地ベトナムに在住の援助関係機関、進出企業、現地企業に対する公開ワークショップも予定している。
経団連としては、このワークショップにおいて、これまでの世銀とのパートナーシップの経験、水力BOT発電所建設に関わるわが国企業の経験を幅広くベトナム政府、現地関係企業、関係機関に明らかにしていくつもりである。

No.251 ( 4月 7日発行)より

「ペーパーワーク負担の実態と改善方策に関する調査報告」について

経団連では、昨年3月に発表した意見書「わが国官庁統計の課題と今後の進むべき方向」において、報告者負担の軽減、利用者利便の向上などの点に関し、改革の具体策を体系的に提言した。官庁側の取組みは徐々に進んでいるが、残された課題も少なくない。そこで統計制度委員会では、今般、報告者負担の実態ならびに先進諸外国における報告者負担軽減の具体策について調査し、報告書としてとりまとめることとした。
報告書においては、これまで明らかにされたことがない報告者負担の総量に関する推計結果、個別統計調査に要する報告時間、重複している調査項目、いわゆる「ヤミ調査」等について、実態を明らかにする。また、米国・カナダの報告者負担に関する取組み事例に関する現地調査結果も盛り込む。
報告書は、今月10日の会長・副会長会議、18日の理事会で審議の上、公表する予定である。

企業会計基準設定主体の改革プロジェクトチームの立上げについて

大蔵大臣の諮問機関である企業会計審議会は、会計基準設定主体として、ここ数年の制度の大きな変更期にあって、一定の成果をあげてきた。しかし、わが国の会計監査制度に対する国際的信頼性の向上と国際会計基準委員会(IASC)における発言力強化のため、設定主体を各国並みに強化拡充する必要があり、経団連は、民間を主体とする常設機関に移行する方向で自民党、日本公認会計士協会等と意見調整を進めている。
こうした中、日本公認会計士協会が3月22日に「我が国の会計基準設定主体のあり方について(骨子)」をとりまとめている。これを受けて、改革プロセスの策定・公表に向けて、「会計基準設定主体のあり方を検討する改革プロジェクトチーム」を早急に設置するべく、日本公認会計士協会と大蔵省がその編成を検討している。今後、経済法規委員会を中心に、産業界意見の反映に努める予定である。

日本ロシア経済委員会が科学技術部会(仮称)設立に向け、ミッションを派遣

日本ロシア経済委員会(委員長:安西邦夫 東京ガス会長)では、世界的に高く評価されているロシアの科学技術を両国の産業発展に活用し、併せて日ロ経済交流を促進すべく、ロシア日本経済委員会と協力して、日ロ双方における科学技術部会(仮称)の設立準備を進めている。日本側では、すでに設立準備委員会(委員長:佐野令而 松下電器産業技術顧問)を設置して検討を始めているが、ロシア側との協議のため、佐野設立準備委員長を団長とする実務家ミッションを、来たる4月10日(月)〜15日(土)の日程でモスクワとサンクトペテルブルグに派遣する。
現地では、クラーキン産業家企業家連盟副会長(ロシア日本経済委員会代表)、ヴェリホフロシア科学アカデミー元副総裁、ニチコフ科学技術省次官はじめ関係者との間で打合会を開催し、科学技術部会の設立に向けた双方の準備状況を確認する。また、ロシア側部会の体制など今後の作業の方向を協議するとともに、本年7月、開催予定の日ロ先端技術シンポジウム(仮称)についても協議する。


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