経団連の最近の動き

(2000年10月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.276 (10月27日発行)より

川口環境庁長官と懇談

経団連では、10月26日、川口環境庁長官との懇談会を開催し、温暖化問題と廃棄物問題について意見交換を行なった。
この中で、温暖化問題について、今井会長ほかから、

  1. 現行の経団連環境自主行動計画を尊重すべきである、
  2. 環境税や排出枠の設定を前提とする国内排出量取引制度は、国際競争力の低下、経済統制の懸念などの理由から問題である、
  3. 吸収源対策(シンク)や京都メカニズムを十分活用できるようCOP6での交渉を進めて欲しい、
  4. 対策が遅れている民生・運輸部門の対策評価が不十分である、
など経団連側の考え方を説明した。
また、廃棄物問題については、
  1. 経団連が提案した新資源産業センター構想の推進など、リサイクルが産業として発展するためのハード・ソフトの基盤整備を推進すべきである、
  2. 循環型社会形成推進基本計画の策定にあたっては、産業界とも十分意見交換を行なって欲しい、
などの点を申し入れた。

OECD採用ミッションが来日
〜日本企業からの人材を募集〜

OECD諮問委員会では、OECD事務局の職員採用ミッション(シュミット総括局長、ルブルー人事部長他)が来日したのを機会に、懇談会を開催した。席上、OECD側から、

  1. OECD事務局には日本人職員が相対的に少なくその多くが官庁からの派遣である、
  2. 研究対象がマクロ経済政策分析に加えて、コーポレート・ガバナンス、税制、電子商取引など企業活動に直接関わる分野に拡がっている、
  3. 学際的なアプローチを重視しており多様な人材を必要としている、
等の理由から、今後は積極的に日本企業の人材を発掘したい、との説明があった。
特にOECDでは、
  1. 経済に関する幅広い知識と経験、
  2. 情報通信や金融等に関する専門的な能力、
  3. 英語あるいはフランス語での業務遂行能力、
等を有した中堅職員を募集している。詳細については、http://www.oecd.org/hrm/ご参照。

ABAC日本委員がAPEC首脳への提言を森首相に提出

10月16日、APECビジネス諮問委員会(ABAC)は、APEC加盟の21ヵ国・地域の首脳に対し、今年度の提言を提出した。わが国では、楠川徹氏、荒井好民氏、鳴戸道郎氏の3名のABAC日本委員が森首相を訪問し、提言を手交した。
今年のタイトルは「グローバリゼーション−APECのとるべき道」である。グローバリゼーションに対する懸念や不安が高まる昨今の情勢下において、市場の自由化をキャパシティ・ビルディング(能力構築)によって補完していくというAPECのアプローチは有効であるとし、貿易・投資の自由化・円滑化とキャパシティ・ビルディングの両面から、APECの今後とるべき方向を具体的に示した内容となっている。
提言は、11月のブルネイにおけるAPEC首脳会議にあわせて実施される「APEC首脳とABAC委員との対話」の中で議論される予定である。APECおよび各政府による提言の具体化が今後注目される。

No.275 (10月20日発行)より

規制改革要望「21世紀に向けた新たな規制改革の断行と体制整備を要望する」を建議

経団連は、さる10月17日の理事会において、規制改革要望「21世紀に向けた新たな規制改革の断行と体制整備を要望する」を採択し、即日政府・関係方面に建議した。同要望では、21世紀型の経済社会構造実現のための規制改革の必要性を指摘した上で、

  1. 「経済的規制は原則撤廃、社会的規制は必要最低限」の原則を徹底するとともに、経済のグローバル化、IT革命、少子高齢化、環境対応など、わが国が直面する緊喫の課題について、テーマを設定して分野横断的に規制改革に取り組むべきこと、
  2. 来年度を初年度とする新たな規制改革推進計画の内容を充実させるとともに、その着実な実施を図るため、規制改革のみならず、国・地方を通じた行革全般に取り組むことのできる、総理直属の権威ある組織を法律に基づき設置すべきこと、
を訴えている。具体的要望としては、雇用・労働、年金、医療・介護、教育、流通、土地・住宅、廃棄物を中心とする環境保全、危険物・防災・保安、情報・通信、金融・保険・証券、運輸、エネルギー、競争政策、通商、農業等15分野358項目を要望している。

2002年株主総会から改正ストック・オプション制度などが活用可能に

経団連では、10月17日、「商法改正への提言」を建議した。本提言のとりまとめの過程で、法務省首脳との意見交換等を通じて産業界の基本的考え方を説明してきた(「経団連くりっぷ」No.132参照)。
これを踏まえて、政府は10月12日の産業新生会議において、経団連の提言が早期に成立を求める事項としているもののうち、

  1. ストック・オプション制度の見直し、
  2. 株主総会運営等におけるITの活用、
につき、2002年の株主総会で実行できるよう、来年秋の臨時国会での商法改正を目指すこととした。また2002年の通常国会で遅滞なく商法の抜本改正を図ること、CPのペーパーレス化のための法案を次期通常国会に提出することも盛り込まれた。
経団連では、法制審議会への働きかけなどを通じて、引き続き提言内容の確実な実現を図る。

アメリカ委員会企画部会が発足

アメリカ委員会(委員長:出井伸之 ソニー会長)では、今般新たに企画部会(部会長:本田敬吉 サン・マイクロシステムズ会長)を設置した。同部会は、1990年代以降IT革命をはじめ米国の経済、産業、企業がどのように活性化し、21世紀に向かってどのような方向に進もうとしているのかについて分析するとともに、その結果を踏まえ、わが国の構造改革ならびに競争力強化に資する施策を提言していくこととしている。当面は、内外の専門家を招き種々意見交換するとともに、必要に応じて米国現地調査を行なうこととしている。

No.274 (10月13日発行)より

21世紀に向けた新たな日ロ経済関係のスタート

日本ロシア経済委員会とロシア日本経済委員会は、10月10日〜11日、東京で第5回合同会議を開催した。日本側からは安西邦夫日本ロシア経済委員長を団長に100名余が、ロシア側からは、クラーキン ロシア産業家企業家連盟副会長を団長に約50名が参加した。
また、日本政府から東郷和彦 外務省欧亜局長、永野博 科学技術庁審議官はじめ主要省庁幹部が、ロシア側からは、レイマン連邦通信情報相、パノフ駐日大使、モトーリン財務省次官ほか連邦政府首脳、地方行政府代表が参加した。開会式では、今井経団連会長が挨拶したほか、森喜朗内閣総理大臣とカシアーノフ ロシア連邦首相から祝辞が寄せられた。
会議では、ロシアの新長期経済発展プログラムに基づく法制・税制・関税制度の改編の方向と重点産業育成策、外国投資促進のための具体的な施策と日ロ経済協力の課題と展望について意見交換した。さらに、4つの分科会を設置し「極東地域との経済協力」、「ロシアの金融・財政・銀行システム改編の見通し」、「ITなど日ロ科学技術交流・協力の可能性」、「アジア太平洋地域における日ロエネルギー協力の可能性」を詳細に検討した。

第1回起業家懇談会を開催

21世紀のわが国を、国民が将来に明るい展望を持てる魅力ある国としていくためには、経済を支える企業や個人が伸び伸びと活動でき、新産業・新事業が活発に生まれ育つ環境を整えることが重要である。
経団連では、予てより新産業・新事業創出のための環境整備に取り組んでいる。今般、その一環として「起業家懇談会」を開催し、さまざまな分野の起業家の方々を招いて、今井会長をはじめ経団連首脳と率直な意見交換を行ない、経団連活動に反映することとした。
さる10月11日、澤田秀雄 (株)エイチ・アイ・エス社長、大江匡 (株)プランテック総合計画事務所所長を招いて第1回会合を開催した。 当日は、今井会長のほか、高原新産業・新事業委員会共同委員長(座長)、今村評議員会副議長ほかが出席し、

  1. 澤田社長より航空業・証券業における一層の規制緩和の必要性等について、
  2. 大江所長よりIT化によるビジネス機会の創出等について、
説明を伺うとともに意見交換を行なった。今後、起業家懇談会は1〜2ヵ月に1度開催していく予定である。

No.273 (10月 6日発行)より

経済新生のための政策運営をめぐり平沼通産大臣と懇談

10月4日、経済四団体では、平沼通産大臣との懇談会を開催した。通産省側は、平沼大臣のほか坂本総括政務次官、伊藤政務次官はじめ幹部が、また、経済四団体側は、今井経団連会長、稲葉日商会頭、奥田日経連会長、水口同友会副代表幹事はじめ各団体幹部が出席した。
席上、経済団体側から、(1)補正予算の編成をはじめ景気回復を重視した政策運営を求める一方、中長期的な観点から、税・社会保障・地方財政を包含した財政構造改革の道筋を国民に提示することの重要性を訴えた。また、(2)企業組織再編税制の整備、確定拠出年金法案の早期成立、規制改革の推進計画・体制の整備、企業法制改革のスピードアップ、IT活用促進のための環境整備、産業技術力の強化、雇用システムの改革、さらには自由貿易協定の積極的推進などを要望した。これに対し大臣からは、企業家精神の発揮を可能とするような環境の整備に全力をあげて取り組んでいく旨発言があった。

メルコスール・セミナー<会合のご案内>

南米の市場統合の拡大・深化を進めるメルコスール(南米南部共同市場)のビジネス・チャンスを探るため、経団連他の協力で加盟各国の専門家を招いて「メルコスール・ビジネス・セミナー」を開催する。

1.日時
10月23日(月) 13:30〜17:30
2.場所
ホテル・ニューオータニ
タワー宴会場階 鳳凰(東中)の間
3.プログラム
第一部:メルコスール:今後の見通し
メルコスール:成果と今後の見通し
メルコスールにおける投資の現状
メルコスールにおける企業活動
第二部:メルコスールにおける投資機会
自動車関連ビジネス
資源、エネルギー、石油化学
アグロ・インダストリー
情報産業関連ビジネス
4.言語
日英同時通訳
5.参加費
無料
6.問合せ先
日本貿易振興会 海外投資課
電話 03−3582−5235


日本語のホームページへ