経団連の最近の動き

(2002年2月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.331 ( 2月22日発行)より

日本の政治経済状況を今井会長が講演

2月17日、今井会長は米国ワシントンDCで開催の日米財界人会議において、以下のように講演した。
小泉政権の支持率は、急落したとはいえ50%を超えており、国民の改革への期待は決して衰えてはいない。小泉総理も、断固として改革を推進していく姿勢であり、経済界も、小泉総理の姿勢を全面的に支持している。小泉改革は、経済運営の主体を国家から民間や地方にシフトする改革である。強い抵抗が存在しても、国民も経済界も小泉改革が時代の要請であることを肌で感じとっている。
日本経済は悪化を続けている。経団連調査では、2002年度もマイナス0.6%の成長が予測されている。しかし、公共事業を中心とする従来型の景気対策では、一時的な景気浮揚効果しか得られない。日銀による金融政策も、量的緩和の拡大が貸出しの増加にはつながっていない。閉塞状況から脱却するには、政府、民間がそれぞれ抜本的な改革を断行しなければならない。
取り組むべきは、まず銀行の不良債権処理である。これまで75兆円の不良債権を処理してきたが、一層スピードアップする必要がある。その際、必要な場合には、銀行に対する公的資金の注入もためらうべきではない。また、不良債権処理はデフレ解消と一体のものとして実現していく必要があり、さらに思い切った金融の緩和も進めなければならない。他方、過剰な債務を抱え再建の目処のたたない企業に対しては、早期に市場からの退出を促すことも必要である。
地球温暖化問題については、14日にブッシュ大統領が新たな対策を発表したことを歓迎する。世界のCO2排出量の4分の1を占める米国が行動を起こさない限り、中国、インドをはじめとする途上国の将来の参加も見込めない。今回の提案は、産業界の自主的取組みを尊重するなどの点は評価できるが、米国の削減目標と京都議定書との間には極めて大きなギャップがあり、今後はこれを縮小することが必要である。

No.330 ( 2月15日発行)より

意見書「税制抜本改革のあり方について」を取りまとめ

小泉総理のリーダーシップにより、経済財政諮問会議、政府税制調査会などにおいて、年明けから、21世紀のあるべき税制を目指した抜本改革論議がスタートしている。そこで、政府・与党の検討に経済界の意見を反映させるべく、税制委員会では、意見書「税制抜本改革のあり方について」を取りまとめた。
意見書では、税制を経済活性化のための政策手段として位置付けることを明確にした上で、税体系全体に及ぶ抜本改革を求めている。具体的には、緊急デフレ対策として贈与税の見直し、住宅投資減税の拡充などを提言しているほか、経済活性化の観点に立った研究開発税制の充実、減価償却制度の抜本的見直しといった法人税制の抜本的見直し、個人所得税、金融証券税制、消費税のあり方などにわたっており、19日の経団連理事会で正式決定の後、公表の予定である。

イリエスク ルーマニア大統領を迎えて歓迎昼食会を開催

2月14日、経団連は公式実務訪問として来日中のイオン・イリエスク ルーマニア大統領を迎え、日本商工会議所、日本経営者連盟、経済同友会、日本貿易会、ロシア東欧貿易会ならびに日本ルーマニア委員会との共催で歓迎昼食会を開催した。
席上、イリエスク大統領からは、日本とルーマニアの長年にわたる経済関係や人的交流、日本からルーマニアへの技術移転の歴史などを背景として、

  1. ルーマニアではEU加盟に向けて経済改革、行政改革や各種インフラの整備が進んでおり、中東欧ではポーランドに次いで大きな市場であるルーマニアへの日本からの投資を歓迎すること、
  2. アジア市場における協力を含め、日本との通商関係の強化を望むこと、
  3. ルーマニアは年間を通じて豊かな観光資源に恵まれており、観光振興の観点からより多くの日本人観光客を歓迎すること、
などについて発言があった。

温暖化問題等をめぐり大木環境大臣と懇談

2月14日、大木環境大臣はじめ環境省幹部を招き懇談会を開催した。経団連側からは今井会長、山本環境安全委員会共同委員長、秋元資源・エネルギー対策委員長らが出席し、温暖化問題等について懇談した。
冒頭、今井会長から「温暖化対策についてはアメリカとの協力を最優先に考えるべきである」と発言したあと、山本委員長から、昨年11月に発表した見解『今後の地球温暖化対策に冷静な判断を望む』に盛り込まれた経団連の考えと経団連環境自主行動計画第4回フォローアップ結果について説明した。
環境省からは2月13日の地球温暖化対策推進本部決定に沿って、

  1. 京都議定書の締結に向けたスケジュール、
  2. 国内対策の基本的方針、
  3. 地球温暖化対策の国際的連携、
について説明があった。
このほか、土壌環境保全対策、廃棄物対策についても意見を交換した。

No.329 ( 2月 8日発行)より

環境自主行動計画 第4回フォローアップ結果(廃棄物対策編)を取りまとめ

環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会(部会長:庄子幹雄氏)では、「産業廃棄物最終処分量削減目標」の達成状況等について、38業界(うち28業界が産業廃棄物最終処分量削減目標を策定)の参加を得て行った調査結果を公表した。2000年度の最終処分量実績は1,988万トンとなり、1999年度実績(2,435万トン)の約18%減となった。1990年度実績(6,103万トン)と比べると約67%の減少となっている。これらの結果から、産業界の産業廃棄物最終処分量削減に向けた自主的取組みが2000年度においても着実に進展し、この時点で2005年度における削減目標を約5%上回ったことが明らかになった。また、今回より、最終処分量の削減ならびに抑制に寄与した要因について、業種ごとに記している。使用済み製品対策等についても業種ごとの取組みを掲載している。

【産業界全体(28業種)からの産業廃棄物最終処分量】
※一部の業界は推計値
1990年度実績※6,103万トン100%
1996年度実績※5,196万トン85.1%
1998年度実績3,553万トン58.2%
1999年度実績2,435万トン39.9%
2000年度実績1,988万トン32.6%
2005年度目標2,100万トン以下35%
2010年度目標1,500万トン以下25%
※28業種:電力、ガス、石油、鉄鋼、化学、セメント、製紙、自動車部品、電機・電子、自動車、建設、非鉄金属製造、板硝子、ゴム、電線、アルミ、製薬、ビール、伸銅、石炭、精糖、産業機械、造船、鉄道車輌、牛乳・乳製品、製粉、ベアリング、清涼飲料。
上記のほか、住宅、工作機械、貿易、百貨店、損害保険、航空、不動産、通信、鉄道、海運が参加(住宅は、建設の内数としている)。

<ご参考>
産業廃棄物最終処分量削減目標の達成状況について
−経団連環境自主行動計画 第3回フォローアップ結果(廃棄物対策編)−
(2001年1月30日)

会社法の引き続きの改正を求める
−森山法務大臣との懇談会を開催

2月6日、森山法務大臣、横内法務副大臣、下村法務大臣政務官らを招いて懇談会を開催した。
森山法務大臣は、「昨年は3つの会社法改正を審議し、今通常国会では締め括りとなる大幅改正を審議するよう準備中である。それほど企業を取り巻く環境は激しく変化している。会社法改正はこうした中で舵取りをされている経済界のバックアップのためのものである」と挨拶した。
経団連側からは、

  1. 今通常国会に提出される法案は、社外取締役を置いた会社のガバナンスが行き届いているとの考えを前提に各種の権限委譲を認めている。これを改め、監査役によるモニタリングを行う会社でも権限委譲できるようにすべきである、
  2. 定款授権で自己株式の取得ができるようにすべきである、
  3. 単元未満株式の共益権は端株と同様にすべきである、
  4. 米国のLLC(リミテッドライアビリティーカンパニー、出資者が有限責任で、課税は出資者レベルで損益通算)等と同様の制度の導入に向けた検討を早急に進めるべきである、
旨を述べた。これに対し法務省側は、それぞれ検討する旨回答した。

No.328 ( 2月 1日発行)より

第55回評議員会ならびに臨時総会を開催

1月28日、第55回評議員会ならびに臨時総会を開催した。
評議員会では、那須評議員会議長、今井会長の挨拶に続き、来賓の平沼経済産業大臣から挨拶があった。その後、野依名古屋大学大学院教授(ノーベル化学賞受賞者)より「わが国の科学技術の振興に向けて」と題し講演があり、産学連携を進めていく上での課題、大学院を含めた教育改革の重要性等について指摘があった。
評議員会に続いて開催された臨時総会では、まず今井会長から挨拶があり、日経連との統合に至るまでの経緯ならびに統合の意義、本年5月に発足する日本経済団体連合会が目指す姿等についてあらためて説明が行われた。その上で、日経連との統合に必要な定款の一部変更等が諮られ、原案どおり承認された。

<ご参考>


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