[経団連] [意見書]

中央環境審議会地球環境部会国内制度小委員会中間とりまとめに対する意見

2001年7月2日
(社)経済団体連合会
 環境安全委員会
  共同委員長 山本 一元

  1. 中央環境審議会国内制度小委員会がこのほどとりまとめた中間とりまとめでは、「地球温暖化対策推進大綱に基づく現行の対策を実施した場合でも、基準年比で6%の排出削減目標の達成が困難となっている」と結論づけている。その上で、主として産業界を対象に追加的対策の導入を提言している。ただし、とりまとめによれば、民生・運輸部門のCO2排出量が大綱の見通しを大幅に上回るなかで、産業部門は唯一、見通しを下回る実績を上げている。これは、産業界が自主行動計画を策定し、削減目標の達成に向け着実に取り組んでいる成果である。

  2. 政府には、大綱の基本方針を尊重し、排出削減の効果の上がっている部門、上がっていない部門を峻別し、その要因を詳細に分析した上で、後者について重点的、効果的な対策を講じることを強く求める。現行対策の問題点を一切明らかにしないまま、産業界に負担と責任を転嫁する考え方は公平性を欠いており、まったく受け入れることはできない。そもそもオイルショック以降、日本の製造業は、世界に先駆けて省エネルギー型、高効率の製造設備の開発・導入を進め、90年時点でGDP当たりCO2排出量は、先進国中、最も少なくなっている。

  3. 産業界は、事業者自身が自主的に実行計画を策定し実施することが、産業部門からのCO2排出抑制に最も効果的であると考える。経団連環境自主行動計画は、こうした事業者の自主的かつ柔軟な取組の利点を活かしたものであり、政府の関係審議会合同小委員会におけるレビューによって、透明性・信頼性も確保されている。

  4. こうした自主的取組の利点を損なうような、実行計画の協定化、強制的な排出枠の設定を伴う国内排出量取引の導入には、産業界は断固として反対する。また、環境税についても、軽課であれば効果はなく、重課であればわが国経済に与えるマイナスの影響が大きく、拙速な導入論議は避けるべきである。

  5. なお、産業界は自主行動計画のフォローアップにおいて、参加業種の拡大、公表項目の追加、要因分析の実施など、一層の透明化・明確化に向け不断の努力を行なっており、本とりまとめにおける一連の自主行動計画批判はきわめて不当である。

以 上

関連リンク


日本語のホームページへ