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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年3月19日 No.3447 OECD・BIACの活動に関する懇談会 -デジタル経済に関するルールづくりについて聞く

経団連は3月5日、東京・大手町の経団連会館でOECD・BIAC(Business at OECD)の活動に関する懇談会(座長=稲垣精二OECD諮問委員長)を開催した。BIACの各ポリシーグループ幹部からの活動状況に関する報告に先立ち、今年1月にOECDデジタル経済政策委員会(CDEP)議長に就任した総務省国際戦略局の飯田陽一情報通信政策総合研究官から、デジタル経済に関するルールづくりに向けたCDEPの活動や日本政府の対応等について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ CDEPの主な活動

私が議長を務めるCDEPは、デジタル経済に関する政策課題および経済・社会に与える影響等について検討を行うOECDの委員会である。下部組織として、(1)通信インフラ・情報サービス政策(2)デジタル経済データガバナンス・プライバシー(3)デジタル経済セキュリティー(4)デジタル経済計測分析――の4つの作業部会を擁し、専門家による幅広い議論が行われている。

CDEPでは、デジタル変革を推進する観点から、データガバナンスやAI(人工知能)、デジタルセキュリティー、プライバシー等、分野横断的な課題に重点的に取り組み、20近くのさまざまな委員会とAI等の分野で連携する(Going Digital Project)とともに、各国の情報通信産業に関する統計情報や情報通信分野の政策動向を把握すべく、隔年でレポートを刊行している。

■ AI

2016年4月に香川・高松でG7として事実上初めての情報通信大臣会合を開催した当時、AIの政策議論はいまだ手探り状態であったが、G7・G20と並行してOECDにおいて検討を進めた結果、19年5月、AIに関するOECD理事会勧告が採択された。その直後の6月に開催されたG20茨城・つくば貿易・デジタル経済大臣会合およびG20大阪サミットで、AIの開発や利活用に関する原則が採択され、4年越しの取り組みが実を結んだ。

2月27日、AIに関する各国の取り組みについてタイムリーな情報共有を進めるためのオンラインプラットフォーム「AI政策に関するオブザーバトリー(観測塔)」をOECDで立ち上げた。「人間中心」の考えを踏まえたAI原則をいかに実装していくか、引き続き、マルチステークホルダーの参加を得ながら検討を行っていく。

■ 大阪トラック/データ流通

安倍晋三総理大臣は19年1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)において、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)が最重要の課題との認識を示しつつ、データガバナンスに焦点を当てて議論する「大阪トラック」の立ち上げを提唱した。軌を一にするかたちで、WTO(世界貿易機関)の有志国閣僚会合において、電子商取引に関するWTO交渉を開始する意思が確認された。

電子商取引を進めるうえで、重要なカギを握るデータは経済全体の成長エンジンでもある。安倍首相はこうした認識のもと、G20大阪サミットの際に「デジタル経済に関する首脳特別イベント」を主催し、デジタル経済に関する大阪宣言を発出するとともに、特にデータ流通や電子商取引に関する国際的なルールづくりに向けた議論を進める「大阪トラック」の立ち上げを宣言した。

こうしたなか、OECDでは、(1)データへのアクセスとデータ共有の強化(2)データ倫理(3)データポータビリティー(4)プライバシーガイドライン(5)データ計測――等の幅広い観点から分析・検討を実施している。とりわけ、G20大阪首脳宣言において、データとデジタル経済の潜在力を最大限発揮する国際的な政策討議の促進が示されていることから、今後OECDでデータ流通に関する検討の深掘りが求められる。

CDEPは議長国が毎年交代するG7・G20とは異なる役割を発揮し、高い専門性に基づく継続的な取り組みを通じて、WTOを含む国際フォーラムや各国首脳にインプットを行っていく。

【国際経済本部】

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