Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年11月25日 No.3523  提言「国際的な意見発信や国内基準の開発を担うサステナビリティ基準委員会(仮称)の設立を求める」を公表 -財務会計基準機構(FASF)への期待

経団連は11月16日、提言「国際的な意見発信や国内基準の開発を担うサステナビリティ基準委員会(仮称)の設立を求める」を公表した。

経団連の提唱する「サステイナブルな資本主義」の実現のため、企業は、グローバルなサステナビリティ課題の解決に向け、グリーントランスフォーメーション(GX)やデジタルトランスフォーメーション(DX)といった社会変容を果敢にリードする必要がある。そのためには、官民挙げた中長期の巨額の投資が欠かせず、市場を通じて民間資金を持続可能な社会の実現に結び付ける「サステナブルファイナンス」の推進が喫緊の課題である。健全な市場機能の発揮や投資家との建設的な対話の実現には、企業によるサステナビリティ情報開示の充実が不可欠の要素となる。

こうしたことから、わが国企業および日本の金融・資本市場の競争力維持、強化に向けて、国際的なサステナビリティ基準に対する意見発信や、国内基準の開発にかかる日本国内の体制を早急に整備する必要がある。

1.国際的な意見発信の必要性

IFRS(国際会計基準)財団は、11月のCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)において、サステナビリティ基準のグローバルなベースラインを開発する「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)」の設立を表明し、来年6月に国際的に統一された気候変動に関する開示基準を公表すべく、急ピッチで作業を進めている。今後、ISSBに対して、わが国から、基準開発への積極的な貢献と強力な意見発信を行う必要がある。

その推進母体として、オールジャパンとしての意見集約、発信を担う体制の整備が必要である。

2.高品質な国内基準の整備

金融庁は、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報開示の取り扱いについて、検討を始めている。上場企業等が一定のサステナビリティ情報を開示することは、国内外の資金を日本の金融・資本市場に集めるための市場の要請でもある。その開示内容は、国内外の投資家のニーズ、急速に変化する国際動向、企業の実務負担等を的確に反映する必要がある。

そのために、民間の専門家の叡智を結集し、国際的にも整合性がとれた、高品質な国内のサステナビリティ基準を機動的に開発する体制を整備する必要がある。

3.サステナビリティ基準委員会(仮称)の設立

以上を踏まえ、国際的な意見発信、国内のサステナビリティ基準の策定の両方を担う民間組織を速やかに立ち上げるべきである。

この点、財務会計基準機構(FASF)は、会計基準の分野で国際的な意見発信および国内基準の策定を担ってきた企業会計基準委員会(ASBJ)の母体であり、IFRS財団のカウンターパートとして強固な信頼関係を築いていることから、その任務を担うのにふさわしい。

よって、FASFのもとに、「サステナビリティ基準委員会(仮称)」を立ち上げ、わが国の意見の積極的な国際発信、透明性のある国内のサステナビリティ基準開発を行うべきである。

経団連は、「サステナビリティ基準委員会(仮称)」の設立・運営を積極的に支援していく。

【経済基盤本部】