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月刊 経団連 最新号

月刊 経団連2024年5月号

特集 ネイチャーポジティブ

巻頭言

カーボンニュートラルへの取り組み

泉澤 清次 (経団連副会長/三菱重工業社長)

カーボンニュートラル(CN)が大きな課題として取り上げられ、各国・地域において取り組みが加速している。当初は再生可能エネルギーの導入が唯一の解決策との議論が進んでいたが、具体的なロードマップを描く中で、トランジションをどうするか、経済発展等と環境とをどう両立させるかといった観点から、選択肢が広がってきた。また、2023年のG7広島サミットにおいて、各国・地域の事情に応じた強靭なエネルギー移行の道筋を示すこととなった意義は大きい。

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特集

ネイチャーポジティブ

経団連は「サステイナブルな資本主義の実現」を掲げており、環境分野では、グリーントランスフォーメーション(GX)、サーキュラーエコノミー(CE)、ネイチャーポジティブ(NP)を一体的に推進することとしている。
2022年12月の国連生物多様性条約第15回締約国会議(CBD-COP15)における昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)採択など、生物多様性の保全が世界の潮流となる中、わが国も2023年3月、ネイチャーポジティブ経営の取り組みの推進をうたった「生物多様性国家戦略2023-2030」を閣議決定した。
そこで本特集では、ネイチャーポジティブをめぐる国内外の動向を俯瞰するとともに自然資本と企業経営との関係についての解説を通じて、ネイチャーポジティブ実現に向けた取り組みの必要性や課題を明らかにする。

特集:ネイチャーポジティブ

ネイチャーポジティブ


インタビュー

ネイチャーポジティブの実現に向けた国家戦略を世界に先駆けて策定
伊藤 信太郎(環境大臣)

  • 「生物多様性国家戦略」で定量的な状態目標・行動目標と具体的な施策を明示
  • ネイチャーポジティブ経営は新たなビジネス機会の創出につながる
  • ネイチャーポジティブ実現に向けた大きなうねりを生み出すために

GBFで定めたターゲット・ゴール達成には社会一体となった行動と協力が必須
デイビッド・クーパー(生物多様性条約(CBD)事務局長代理)

  • 生物多様性の喪失が人類の発展を阻害
  • 注目を集めるCOP16/17
  • DSIの利用をめぐる議論など、COP16に向けた協議は着実に進んでいる
  • 日本への期待①:GBF/国家戦略と整合する模範的行動やリーダーシップの発揮
  • 日本への期待②:産業界と政府との連携、重要課題への取り組み

日本のネイチャーポジティブ経営の実践が世界のシステムチェンジを促す
西澤 敬二(経団連審議員会副議長・自然保護協議会会長/損害保険ジャパン顧問)

  • 自然資本の保全・再興は企業の責務かつ経営基盤強化につながることを日本経済界は改めて認識すべき
  • 日本企業のネイチャーポジティブへの関心の高まりと取り組みの進化
  • 日本の風土の中でこそ生まれる新たな知恵や技術が企業価値の向上や社会システムの変革ヘとつながる

解説

昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)について
髙橋 宗嗣(生物多様性条約(CBD)事務局)

  • 昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の全体像
  • 2050年までの実現を目指すビジョン・目標(ゴール)
  • 2030年までの緊急的ミッション・対象(ターゲット)
  • GBFの課題および今後の動き

生物多様性国家戦略2023-2030の概要
鈴木 渉(環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性戦略推進室室長)

  • 生物多様性国家戦略2023-2030について
  • ネイチャーポジティブとは

自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言について
秀島 弘高(農林中央金庫エグゼクティブ・アドバイザー、
TNFDタスクフォースメンバー)

  • 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)開示枠組みとの整合性
  • TCFDとの違い
  • 部分開示からの開始が前提
  • 義務化をめぐる展望
  • TNFD採用社数は日本が世界一

経団連自然保護協議会の取り組み
饗場 崇夫(経団連自然保護協議会企画部会長/
トヨタ自動車環境エンジニアリング部担当部長)

  • 経団連自然保護協議会のこれまでの取り組み
  • COP15以降の国内外の動向
  • アクションプランの公表
  • 経団連自然保護基金による貢献
  • ネイチャーポジティブ経営の普及
  • 円滑なネイチャーポジティブ経営推進のための環境整備
  • 日本の取り組み発信と海外最新動向の把握
  • PDCA
  • 今後の取り組み

経団連自然保護基金の概要と新たな取り組み
渡辺 綱男(経団連自然保護基金運営委員長)

  • 昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)への貢献
  • 助成プログラムの刷新
  • SATOYAMAイニシアティブ推進プログラムへの支援
  • 企業とNGOとの交流促進による効果的な取り組みを
  • ■ 経団連自然保護基金の設立時を振り返って
  • 全地球的規模で環境保全が達成される未来社会の実現を目指す
  • 米国の自然保護団体から活動ノウハウを学ぶ

COP16に向けた生物多様性をめぐる国内外の動向
武内 和彦(地球環境戦略研究機関(IGES)理事長)

  • ネイチャーポジティブへの道筋
  • COP16での議論の焦点
  • 日本の生物多様性国家戦略の見直しと国際社会への貢献

自然共生サイトの法制化
白石 隆夫(環境省自然環境局長)

  • 生物多様性増進活動促進法案の概要

TNFD開示フレームワーク公表後の動向
デビッド・クレイグ(自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)共同議長)

枠組み作りから行動へ
―IUCNの「ネイチャーポジティブ評価測定アプローチ」
グレーテル・アギラー(国際自然保護連合(IUCN)事務局長)

ネットゼロ目標だけでなくネイチャー戦略の策定も必要との認識が高まる
―2024年のダボス会議
ニコール・シュワブ(世界経済フォーラム(WEF)ネイチャーポジティブ共同部門長)


企業事例

住友化学
リジェネラティブ農業を通じたネイチャーポジティブと食の確保への貢献
水戸 信彰(住友化学専務執行役員)

SynecO
ネイチャーポジティブな未来
―SynecOの技術とプロジェクト
舩橋 真俊(SynecO社長)

KDDI
KDDIのネイチャーポジティブへの取り組み
―私たちの「つなぐチカラ」でできること
最勝寺 奈苗(KDDI執行役員常務CFOコーポレート統括本部長)

三井住友フィナンシャルグループ
様々な地域・産業の企業とつながる結節点として顧客取り組みを支援
髙梨 雅之(三井住友フィナンシャルグループ執行役員グループCSuO)

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一般記事

【提言】
成長と分配の好循環の実現に資する経済・財政運営

―次期経済・財政再生計画に向けた提言
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/020.html
柄澤 康喜(経団連経済財政委員長/
MS&ADインシュアランスグループホールディングス会長)
鈴木 伸弥(経団連経済財政委員長/明治安田生命保険特別顧問)

  • 次期経済・財政計画の方向性
  • 財政健全化目標
  • 目標達成に向けた財政運営のあり方

【提言】
わが国の宇宙活動の自立性を維持・強化し、世界をリードする

―宇宙基本計画の実行に向けた提言
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/017.html
漆間 啓(経団連宇宙開発利用推進委員長/三菱電機社長)

  • 宇宙開発利用の重要性および宇宙政策の重要事項
    1. 宇宙安全保障の確保
    2. 国土強靭化・地球規模課題への対応とイノベーションの実現
    3. 宇宙科学・探査における新たな知と産業の創造
    4. 宇宙活動を支える総合的基盤の強化
  • 宇宙関係予算の確保および着実な執行のための体制構築

【報告】
日米関係の強化に向けた訪米ミッションの派遣

早川 茂(経団連審議員会副議長、アメリカ委員長/トヨタ自動車副会長)

  • 連邦行政府・経済界との懇談
  • 州知事・ワシントンDC市長との懇談

【報告】
女性エグゼクティブミッションを米国に派遣

―女性活躍をはじめとするさらなるDEIの推進に向けて
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/025.pdf
次原 悦子(経団連ダイバーシティ推進委員長/サニーサイドアップグループ社長)

  • ミッションの成果と得られた気付き
    1. (1) 日本企業の取り組みや成果へのポジティブな評価
    2. (2) 「揺り戻し」があっても揺るがない米国の多様性
    3. (3) データや指標を活用した人的資本経営
    4. (4) リーダーによる積極的なコミットメント
    5. (5) 国際機関と経団連とのパートナーシップ構築
  • ミッションの成果を踏まえた経団連の今後の取り組み

連載