表紙イメージ 経済Trend ロゴ2009年1月号

国家戦略としての観光を考える
今月の表紙: 浅井力也 作 「ばら」
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い絵画を厳選してご紹介しています。

巻頭言

使命
御手洗冨士夫 (日本経団連会長)

特集
国家戦略としての観光を考える

観光庁が発足するなど、2008年は観光行政の推進体制が確立された年となった。本年は飛躍を図る年である。国民経済の発展や産業競争力強化にもつながり、諸外国との関係強化と友好にも貢献する観光の意義を理解するとともに、国家戦略としての観光を考え、いかに推進していくべきかを探る。
座談会
大塚陸毅 (日本経団連観光委員長/東日本旅客鉄道会長)
観光は「物見遊山」的な従来のイメージから脱却し、21世紀の新しい姿を確立すべきである。観光による人的交流の活性化は国家間の相互理解を促進することから、国家戦略の柱として推進する必要がある。その中で産業界は従来の観光産業という枠組みを乗り越え、全体で観光に取り組んでいくことが求められる。観光をsightseeing(物見遊山)からdiscover(再発見)、そしてtrust(信頼関係)へと高めていきたい。
佐々木隆 (ジェイティービー会長)
市場が成熟し多様化する中で、個人のニーズにマッチした情報をインターネットが提供する時代となり、産業としてのビジネスモデル確率が難しくなってきている。観光産業に携わる者がイッチ協力して「新鮮な経験」「新鮮な魅力」を掘り起こしていくこと、また産業全体の生産性を上げていくことが課題である。
本保芳明 (観光庁長官)
観光庁の創設は国家戦略として推進していく決意を示すものであり、具体的な姿勢をあらわす組織としての役目を担った。観光に向けた機運が高まっていく今こそ、具体的体制の整備を行い、観光立国に対する国民的認知度の向上、わが国の観光資源の海外への発信、人材の育成等の課題に取り組んでいく。
溝尾良隆 (城西国際大学観光学部教授)
4年制大学における観光学科の設立が年々増えており、これは昨今の観光立国宣言、観光立国推進基本法、観光庁の設立など国の観光重視政策による影響が大きい。観光学はすそ野が広いことから、それぞれの専門化がタコつぼ的研究に陥らないよう、学術交流を盛んに行っていくべきである。
生江隆之 (司会:日本経団連観光委員会企画部会長/三井不動産専務取締役)
観光産業における人材不足の解消には、若い世代だけに目を向けるのではなく、心身ともに元気な団塊の世代の活用も考えていくべきではないか。

●昨年の回顧と新年の抱負

●観光分野における海外との協力

●観光の新たな展開と求められる人材像

●国家戦略としての観光のあり方

真のリーディング産業として観光の発展を
佃 和夫 (日本経団連副会長/三菱重工業会長)
21世紀型観光への模索
清水愼一 (立教大学特任教授/ツーリズム・マーケティング研究所顧問)
【 観光による地域活性化 】
アートによる魅力的な地域創造と観光
福武總一郎 (ベネッセコーポレーション会長兼CEO)
  • 文化立国に向けた観光立国の推進を
  • 芸術を観光の核に〜ベネッセアートサイト直島の取り組み
  • 世界から評価される地域づくりに向けて
温泉旅館は日本文化のテーマパーク
星野佳路 (星野リゾート社長)
  • 温泉旅館の本来の潜在力
  • 連泊を阻む原因〜1泊2食の固定的料金の見直しを
  • 労働生産性をいかに上げていくか
  • 来るべきインバウンド2000万人時代に向けて〜国際競争力をいかに上げるか
沖縄県におけるこれからの観光戦略について
〜観光客1000万人の誘客を目指して
仲井眞弘多 (沖縄県知事)
  • 沖縄県の現状
  • 観光・リゾート産業を総合産業として位置づけ
  • 沖縄観光の現状〜観光客数は過去最高を記録
  • 1000万人を目指すための課題〜魅力ある観光地づくりを
  • 1000万人を目指しての展開(今後の方針)〜「ビジットおきなわ計画」を策定
【 観光の新たな担い手 】
〈製造業と産業観光〉
科学とのふれあいに人は集まる
〜東芝科学館の魅力
三浦 明 (東芝科学館館長)
  • 東芝科学館の概要〜企業科学館の草分け的存在
  • 産業観光の場として
「ノリタケの森」が伝えるもの
山田耕三 (ノリタケカンパニーリミテド取締役執行役員)
  • 「ノリタケの森」とは
  • 文化と出会い、森に憩う「ノリタケの森」
  • ものづくりのすばらしさを伝える場所として
『超おもてなし』の精神を持ったプラモデル生産工場
〜世界一の感動創造を目指す
木克彦 (バンダイホビー事業部ホビーセンター長)
  • 国内生産と生産技術
  • カスタマーサービスとしての工場見学―『超おもてなし』の精神
  • 『テーマパーク』としての生産工場とは―残された課題
〈エコツーリズム〉
地域の宝がエコツアーを生み出す
〜霧多布流エコツーリズム
三膳時子 (霧多布湿原トラスト理事長)
  • 「湿原を未来に残したい」が活動の原点
  • ファンづくりの活動のあれこれ
  • 「宝」を活かした魅力あるツアーを提供し続ける
〈グリーン・ツーリズム〉
グリーン・ツーリズムが目指すもの
上甲啓二 (愛媛県グリーン・ツーリズム推進協議会会長(愛媛県農林水産部長))
  • グリーン・ツーリズム推進の背景と目的
  • 愛媛県の取り組み状況
  • 里・山・海を活かした推進を
  • 田舎と都会をつないで
〈ポップカルチャー〉
秋葉原の魅力をいかにして発信していくか
寶田 篤 (秋葉原観光推進協会理事長/宝田無線電機社長)
  • 変化を続けて進化してきた街
  • 安全安心で楽しめる街に
  • 秋葉原活性化に向けたプロジェクト
  • 秋葉原観光推進協会を設立〜クール・ジャパンの代表「AKIBA」
訪日外国人旅行者誘致の今後の展開と課題
間宮忠敏 (日本政府観光局(JNTO)理事長)
【 観光学の新たな視点 】
観光学への新たなまなざし
〜文化表象論からのアプローチ
加太宏邦 (法政大学社会学部教授)
  • 醜怪な鉄の骸骨
  • 観光表象のメカニズム
  • メカニズム解明に迫る新理論
  • 「まなざし」というキーワード
  • 歴史や郷土性との親和
  • 観光の枠組み
  • これからの観光理論と観光政策
観光行政への期待
寺前秀一 (高崎経済大学地域政策学部教授)
  • 個性の発揮の尊重
  • 厳しい評価基準の醸成
  • 自治体財源の確保
  • 中央政府にしかできないアウトバウンド政策
【 海外の観光政策 】
スイスの観光政策と日本への期待
ロジェ・ツビンデン (スイス政府観光局日本・アジア支局長)
  • スイス観光の魅力は「大自然」と「多様性」
  • スイスの観光政策
  • 日本には素晴らしいデスティネーションが数多くある
  • 課題はデスティネーション・マネジメント
フランスの観光政策と日本へのアドバイス
カトリーヌ・オーデン (フランス政府観光局局長)
  • 観光業はフランスの富
  • フランスの観光業成功の要因
  • フランスの観光政策
  • メゾン・ド・ラ・フランスの任務と目的
  • 日本は魅力あふれるデスティネーション
  • より効果的な日本の観光促進
  • ニッポン大好きフランス人の思い
  • 大成功の日仏双方向キャンペーン

提言
道州制の導入に向け検討を加速せよ
「道州制の導入に向けた第二次提言」を公表
中村邦夫 (日本経団連副会長・道州制推進委員長/パナソニック会長)
道州制のフロントランナーとして
高橋はるみ (北海道知事)
第44回日本経団連洋上研修に乗船して
岡部 弘 (名誉団長/デンソー相談役)
提言
実効的な電子行政の実現に向けた推進体制と法制度のあり方について
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/082/index.html
秋草直之 (日本経団連電子行政推進委員会共同委員長/富士通取締役相談役)
〈調査〉
欧州に学ぶ電子行政の取り組み
星野哲郎 (日本経団連電子行政推進委員会電子政府推進ワーキンググループ座長/キヤノン情報通信システム本部情報通信システム企画部部長)
戦略的な経済連携に向け、タイ経済界首脳と闊達な議論を展開
〜第21回日タイ合同貿易経済委員会をバンコクで開催
丹羽宇一郎 (日本経団連日タイ貿易経済委員会共同委員長/伊藤忠商事会長)
西松 遙 (日本経団連日タイ貿易経済委員会共同委員長/日本航空社長)
コンプライアンスとは社会の要請に応えること
〜2008年度の企業倫理トップセミナー、関西企業倫理セミナー
立石忠雄 (オムロン特別顧問)
〈調査〉
日本経団連環境自主行動計画2008年度フォローアップ結果〔2007年度実績〕
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/085/index.html
日本経団連産業第三本部

● IT先進企業の経営革新〜活躍するCIOに聞く
目的を明確にしたIT化の推進が重要
本山和夫 (アサヒビール常務取締役)
● 経営者のひととき
日本を学ぶ
黒澤保樹 (シスコシステムズ シニアアドバイザー)
● あの時、あの言葉
この世は縁を戴きに来たところ
武 弘樹 (高砂香料工業社長)
● エッセイ「時の調べ」
おせちのお重と鏡餅
柳原一成 (近茶流宗家 柳原料理教室主宰)
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
人材育成とは次代への手紙である
小関 哲 (国際教育事業コーディネーター)
● NEW FACE
ヤンセン ファーマ

バックナンバー・定期購読のご案内


日本語のホームページへ