表紙イメージ 経済Trend ロゴ2009年6月号

これからの農業を考える〜食料供給力の強化に向けて
日中の経済関係の拡大に向けて〜中国の活力をどう活かすか
今月の表紙: 飯田弘道 作 「母と子の時間」 (アートビリティ登録作品)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い絵画を厳選してご紹介しています。

巻頭言

政策を総動員して成長軌道に回帰する
御手洗冨士夫 (日本経団連会長)

特集
これからの農業を考える
〜食料供給力の強化に向けて

日本経団連では、先ごろ「わが国の総合的な食料供給力強化に向けた提言」を取りまとめた。日本経団連が食料や農業についての提言を発表するのは1997年以来、12年ぶりである。総合的な食料供給力強化に向け、どのような視点が必要なのか。わが国が取るべき方策を探る。
座談会
荒蒔康一郎 (日本経団連農政問題委員会共同委員長(当時)/キリンホールディングス相談役)
わが国の総合的な食料供給力強化に向けては、自給力の強化と海外からの安定的な輸入を確保し、「食料生産基盤の強化」「国民・市場ニーズへの対応」「国際連携・協力の推進」を一体として確立していくことが重要な課題である。また、食の共通性をもつ東アジア地域との連携・協力は、食料安全保障にもつながるものであり、欠かせない。
小林栄三 (日本経団連農政問題委員会共同委員長/伊藤忠商事社長)
農業従事者の高齢化問題は深刻で、人材の確保、育成は喫緊の課題である。農業に関する関心が高まっている今こそ、課題解決に向けた具体的対策への着手、実践をしていかねばならない。また、効率的でより競争力のある農業事業体となるよう、経済界と農業界が一緒になって取り組むことが求められている。
茂木 守 (全国農業協同組合中央会(JA全中)会長)
農地を最大限かつ効率的に利用するとした今回の農地法改正法案は評価する。今後は、食料供給力の強化、農業の発展に向け、生産・流通・販売など経済界との連携・協力を一層推進していく。また、消費者のニーズに応えるべく、生産履歴等の徹底等を行い、「安心・安全」のJAブランドの確立に努めたい。
八木宏典 (東京農業大学国際食料情報学部教授)
日本の農業は独創的なアイデアと行動力によってさまざまな方向に発展する可能性を持っている。優秀な人材をいかに確保するかが競争力強化への課題だ。また、食料安全保障の観点からも東アジア共通の農業政策システムを考えていく必要があり、東アジア諸国の農業者の生活改善や収益向上、農村振興に資する協力関係の構築が重要となる。
椋田哲史 (司会:日本経団連常務理事)

●わが国の食料生産基盤の強化

●国民・市場ニーズへの対応

●国際連携・協力の推進

●農業の発展の可能性

「わが国の総合的な食料供給力強化に向けた提言」について
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/023/index.html
松崎昭雄 (日本経団連農政問題委員会企画部会長/森永製菓相談役)
西野伊史 (日本経団連農政問題委員会食の産業部会長/アサヒビール常勤監査役)
渡邉康平 (日本経団連農政問題委員会国際関係部会長/伊藤忠商事副社長)
新規就農と人材の育成で新たな担い手を確保
松本広太 (全国農業会議所専務理事)
農業に新しい変化をもたらす研究開発
三輪睿太郎 (農林水産技術会議会長/東京農業大学総合研究所教授)
【 食料供給力の強化、競争力ある農業を目指して 】
和郷園が目指す農事業と農業人材育成
木内博一 (和郷園代表理事)
  • 農業は「食品を供給する製造業」
  • 農家は“農業経営者”になれ
  • 作り手と買い手の距離を縮める
平田牧場・こめ育ち豚の挑戦
〜飼料用米プロジェクトの飛躍に向けて
新田嘉七 (平田牧場社長)
  • 飼料用米に取り組むきっかけ
  • 飼料用米プロジェクトについて
  • 飼料用米と「こめ育ち豚」
  • 今後について
セブンファーム富里が目指すもの
戸井和久 (セブンファーム富里社長/イトーヨーカ堂取締役執行役員)
  • 完全な環境循環型農業の確立へ
  • 生産、消費、地域社会の活性化に
  • 事業の拡大を通じて農業活性化に一役
てんしの光やさいが目指すもの
杉島凱夫 (フェアリーエンジェル取締役)
  • フェアリーエンジェルの目線〜お客様に心と体の健康を
  • クオリティの高い野菜を安定的に生産する
  • 「進化する植物工場」を目指して
地産地消の取り組み
〜郷土料理を社員食堂のメニューに
渡部浩治 (NECライベックス執行役員社長)
  • 農林水産大臣賞を受賞
  • 取り組みの歴史
  • 「地産東消」「地産大消」もある
  • NHI21の取り組みを展開
  • 全国各地からの協力で食材を調達
全農の農畜産物輸出の現状と今後の取り組みの考え方
成清一臣 (全国農業協同組合連合会(JA全農)代表理事専務)
農業教育の課題と挑戦
佐野幹男 (全国農業高等学校長協会理事長/東京都立農業高等学校長)
WTO・EPA推進に向けたわが国の課題と対応策
豊田 隆 (東京農工大学大学院共生科学技術研究院教授)
ダシの味わいを見直すことが食料自給につながる
伏木 亨 (京都大学大学院農学研究科教授)

特集
日中の経済関係の拡大に向けて
〜中国の活力をどう活かすか

世界が経済危機からの脱出を模索するなか、いちはやく大規模な景気対策を打ち出した中国。主要国随一の成長率を維持する中国の景気回復の行方に各国が注目している。日本は隣国・中国の経済活力をどう活かしていくことができるのか。今後の日中経済関係の課題を探る。
座談会
三村明夫 (日本経団連副会長・中国委員会共同委員長(当時)/新日本製鐵会長)
日本と中国は、単なる補完関係から互いに「なくてはならない関係」となっている。政治が向き合い、互恵関係ができたことは、経済人にとって大きな意味があり、政府には一層の関係強化を期待したい。日中経済関係における1番の課題は技術移転であり、知的財産権の問題も含め慎重に対応する必要がある。
中村邦夫 (日本経団連副会長・中国委員会共同委員長/パナソニック会長)
経済危機の裏側で、今「環境産業革命」とも言うべき経済の地殻変動が起こっており、中国でもエコな生活がライフスタイルとして加速的に広がりつつある。日中関係は有機的に結合しており良好な関係が続くだろう。日中経済関係の発展には、より多くの、質の高い「老朋友」関係を民間でつくっていくことが大切だ。
中兼和津次 (青山学院大学国際政治経済学部教授)
経済発展の余地が大きい中国は、総額4兆元の景気対策や投資減税、産業振興策の効果が十分に期待でき、2010年前後には中国のGDPが日本に並ぶことも予想される。中国の活力を活かすには、中国の若く優秀な人材を日本企業にいかに受け入れ、日本社会にいかに取り込んでいくかが課題となろう。
讃井暢子 (司会:日本経団連常務理事)

●世界経済と中国

●日中経済関係について

●中国ビジネスの現状と課題

●中国の活力をどう活かすか

中国におけるモノづくり 日系企業の課題と戦略
駒形哲哉 (慶應義塾大学経済学部准教授)
中国経済の早期回復は期待できるのか
金 堅敏 (富士通総研主席研究員)

提言
より良いコーポレート・ガバナンスをめざして
〜主要論点の中間整理
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/038.pdf
張 富士夫 (日本経団連副会長・経済法規委員長(当時)/トヨタ自動車会長)
  • 基本的考え方〜実質に着目し、実効性のある取り組みを
  • よりよいコーポレート・ガバナンスの実現をめざして
官民連携を梃子に国際協力の戦略的・機動的な展開を求める
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/033.html
槍田松瑩 (日本経団連副会長・国際協力委員長/三井物産会長)
矢野 薫 (日本経団連国際協力委員会共同委員長/日本電気社長)
  • 世界同時不況への対応
  • 官民連携の推進
  • 新JICAの機能拡充
  • 国際機関とわが国民間企業の連携促進
競争力人材の育成と確保に向けて
〜イノベーションを通じた産業競争力の強化
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/036/index.html
西田厚聰 (日本経団連副会長・産業問題委員会共同委員長/東芝社長)
原 良也 (日本経団連評議員会副議長・産業問題委員会共同委員長/大和証券グループ本社最高顧問)
  • 広義のイノベーションを支える競争力人材
  • 国内人材の育成と確保
  • 外国人材の育成と確保
日・EU経済統合の実現を目指して
〜日・EU EPAに関する第二次提言を公表
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/037/index.html
横山進一 (日本経団連ヨーロッパ地域委員会共同委員長/住友生命保険会長)
小林喜光 (日本経団連ヨーロッパ地域委員会共同委員長/三菱化学社長)
  • 日本にとってEUは重要なパートナー
  • ますます高まる日・EU EPA締結の必要性
  • 経済統合のための新たな枠組み〜期待される6要素
  • 規制面の協力を通じたWin−Winの関係構築
  • 首脳レベルが関与する協力の推進体制
日中環境植林プロジェクトの竣工
〜日中間に築いた緑の架け橋
関澤秀哲 (日本経団連中国委員会植林協力部会長/新日本製鐵取締役)
調査
2008年度新規学卒者の採用動向
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/034.html
日本経団連労働政策本部
  • 2008年度採用実施企業・09年度採用実施予定企業ともに前年下回る
  • 多様な人材を確保するため、さまざまな選考形態・手法を導入する企業が主流
  • 企業がもっとも重視する要素はコミュニケーション能力
  • 普及・拡大するインターンシップ制度
  • 大学卒業予定者・大学院修了予定者等の採用選考に関する企業の倫理憲章について
2008年9月度「退職金・年金に関する実態調査結果」について
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/029.pdf
日本経団連労働政策本部
  • 標準者の退職金(一時金・年金)の水準
  • 退職金の算定はポイント方式が主流
  • 6割の企業で適格年金廃止に対応済

● IT先進企業の経営革新〜活躍するCIOに聞く
CIOに求められる役割と取り組むべき重要課題
小尾敏夫 (早稲田大学大学院教授/国際CIO学会連合会会長)
● エッセイ「時の調べ」
コンピュータを捨てよ、海へ出よう
小久保英一郎 (理論天文学者・国立天文台准教授)
● あの時、あの言葉
悩みがあるってことは、可能性があるってェことサ
山田淳一郎 (TFPコンサルティンググループ会長兼社長)
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
ジャパン・アズ・ナンバーワン〜それから30年
陶 怡敏 (福岡大学商学部教授)

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