[経団連] [意見書]

第5回 経済運営と経済情勢に
関するアンケート調査結果

2001年9月7日
(社)経済団体連合会

  1. 調査の概要
  2. 経団連経済政策委員会(委員長:櫻井 孝頴 第一生命保険会長)では、下記により
    「第5回経済運営と経済情勢に関するアンケート調査」を実施した。

    1. 調査対象
    2. 経団連常任理事(団体会員を除く)および会長・副会長。合計 209名

    3. 調査期間
    4. 2001年8月2日〜8月27日

    5. 回答率
    6. 61%(209名中 127名)

    (参考)過去の調査実施状況

    第1回調査
    調査期間1999年8月27日〜9月9日
    調査対象経団連常任理事(会長・副会長、団体会員除く)
    回 答 率58%
    第2回調査
    調査期間2000年1月11日〜1月27日
    調査対象経団連常任理事(会長・副会長、団体会員除く)
    回 答 率64%
    第3回調査
    調査期間2000年6月12日〜6月22日
    調査対象経団連常任理事(会長・副会長、団体会員除く)
    回 答 率59%
    第4回調査
    調査期間2000年12月4日〜12月20日
    調査対象経団連常任理事(団体会員を除く)および会長・副会長
    回 答 率58%

    なお、第1回、第2回調査は試行調査であり、調査結果については基本的に公表していない。


  3. 調査結果
  4. 【第一部 当面の経済動向について】

    1.日本の景気回復時期

     「2002年7−9月期以降にずれ込む」との見通しが最も多く、全体の約57%を占めた。〔回答総数 126 〕

    日本の景気回復時期

    2.米国の景気回復時期

     「2002年1−3月期」との見通しが最も多く、全体の約42%を占めた。〔回答総数 127 〕

    米国の景気回復時期

    3.日本の実質成長率の見通し

     2001年度における実質経済成長率(前年比)の見通しの平均値は、上期・下期ともに「ほぼゼロ成長」となった。2002年度については、平均で「0.6%成長」と見通されている。〔回答総数 124 〕

    実質成長率見通し(前年比)
    2001年度-0.1%
    上期-0.1%
    下期0.0%
    2002年度0.6%

    4.対ドル円レートの見通し

     対ドル円レートに関する見通しの平均は、2001年度中の最高値が約113円、最安値が約130円、年度末値(2002年3月末時点)が約121円となった。〔回答総数 122 〕

    (単位:円)
    2001年度中の対ドル円相場
    最高値112.5
    最安値129.8
    年度末値121.4

    5.2001年度補正予算編成の必要性

     景気対策として、2001年度中に補正予算を編成することについては、「国費増加額を2〜4兆円の範囲で実施すべき」との回答が約24%と最も多かったが、「不要」あるいは「国費増加額2兆円未満にとどめるべき」との回答も、合計で約37%に達した。〔回答総数 127 〕

    2001年度補正予算編成の必要性

    ○「その他」の主な意見
    • 原則不要だが、改革先行プログラムとして良い案件があり、その実施に必要であれば機動的に編成すべき。
    • 補正予算を編成する場合は、思い切った中身の見直しが必要。
    • 必要だが、小泉構造改革を阻害しない内容とすべき。
    • 景気動向をみながら検討すべき。
    • 景気動向によっては、真の景気対策となるものに限って検討すべき。
    • IT関連など、従来型ではない公共事業を対象とすべき。
    • 雇用対策に特化すべき。
    • 都市基盤整備や環境インフラ整備など、実需につながるとともに「未来の資産」となるものにすべき。
    • 無駄な歳出を省き、その分を景気対策に充てるべき。

    6.金融政策運営

     日本銀行が実施している、いわゆる量的緩和策については、「変更する必要はない」との回答が約28%あった一方で、「明確な目標設定を行うべき」「金融調整手段を拡充すべき」「明確な目標設定、金融調節手段の拡充がともに必要」と、デフレ解消に向けた一層の取り組みを求める回答が合計で約63%に達した。〔回答総数 127 〕

    金融政策運営

    ○「その他」の主な意見
    • 資金需要がない中で、量的緩和の効果には疑問があるが、何らかの手段を模索すべき。
    • 財政政策の影響をみながら判断すべき。
    • 景気・財政状況に応じた機動的対応が必要。
    • 本年10〜12月中にも、当座預金残高目標の引き上げ(現行6兆円→7兆円)が決定される可能性があるが、その効果は限定的なものとなる可能性が高い。
    • デフレ脱却は政治の目標であり、日銀のみに頼るべきではない。

    7.経済運営にあたって注目すべき経済指標(複数回答)

     今後の経済運営にあたって、動向に注目すべき経済指標としては、「株価」「完全失業率」「実質経済成長率」を挙げる回答が多かった。〔回答総数 357 〕

    経済運営にあたって注目すべき経済指標

    ○「その他」の主な意見
    • 名目経済成長率
    • 家計消費
    • 在庫指数


    【第二部 経済構造改革の進め方】

     以下は、経済財政諮問会議「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(2001年6月)で打ち出された、各種の経済構造改革に関する回答である。

    8.「7つの改革プログラム」の優先順位(複数回答)

     「基本方針」で示された「7つの改革プログラム」については、「民営化・規制改革プログラム」ならびに「財政改革プログラム」を優先すべきとの回答が多かった。〔回答総数 369 〕

    「7つの改革プログラム」の優先順位

    9.社会資本整備の優先度を引き下げるべき分野(複数回答)

     「基本方針」では、社会資本整備を重点的に推進すべき分野として、環境・高齢化対応・地方活性化・都市再生・科学技術振興・人材育成・ITを挙げているが、逆に「優先度を引き下げるべき分野」について質問したところ、「農業・農村整備」「新幹線」「道路整備」「沿岸漁場整備」を挙げる回答が多かった。〔回答総数 350 〕

    社会資本整備の優先度を引き下げるべき分野

    ○「その他」の主な意見
    • 各分野において、有効性の高い案件に予算を重点配分し、無駄を省くことによって予算総額を縮減すべき。
    • メリハリをつけた配分が必要。
    • 文化交流施設整備を縮小すべき。

    10.地方財政改革(複数回答)

     地方財政改革に向けて、当面重点を置くべき施策としては、「税源移譲を含めた、国・地方の税源配分の抜本的見直し」「行政サービス水準の見直し、地方行政改革等を通じた歳出削減」を挙げる回答が多かった。〔回答総数 337 〕

    地方財政改革

    ○「その他」の主な意見
    • 市町村合併を促進すべき。
    • 地方行財政に民間の経営センスを導入し、自立的経営を促進すべき。

    11.プライマリーバランスの改善策(複数回答)

     「基本方針」で掲げられた財政構造改革の中期目標である「プライマリーバランスの黒字化」に向けては、「公共事業改革」「特別会計・特殊法人等の改革」「国・地方の財政関係見直し、地方行財政改革」を求める意見が多かった。〔回答総数 368 〕

    プライマリーバランスの改善策

    ○「その他」の主な意見
    • 経済の安定成長を促すマクロ経済政策が必要。

    12.政策金融を縮減すべき分野(複数回答)

     政策金融機関による融資の対象分野のうち、今後縮減すべき分野としては、「住宅」「地域開発」などを挙げる回答が多かった。〔回答総数 291 〕

    政策金融を縮減すべき分野

    ○「その他」の主な意見
    • 各分野での適切な縮減が必要。
    • 民間で代替できるものは民間に委ねるべき。
以 上

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